早稲田大学の教育・研究・文化を発信 WASEDA ONLINE

RSS

YOMIURI ONLINE

ホーム > キャンパスナウ > 盛夏号 プロ・ローグ

キャンパスナウ

▼盛夏号

プロ・ローグ

林 泰弘(はやし・やすひろ)早稲田大学理工学術院教授 略歴はこちらから

環境に配慮した電気エネルギーでみんなが幸せになる社会を作りたい

林 泰弘/早稲田大学理工学術院教授

 私は、「明るいね」とか「元気だね」とか言われることが多いのですが、その性格は、歌や踊りが大好きで、いつも元気な祖母ゆずりかもしれません。両親が共働きだったため、おばあちゃんっ子で育ちました。常々言い聞かされたのは「よく遊び、よく学べ」ということ。その教えが私の原点になっているのかもしれませんね。

 小中高と野球を続けてきましたが、大学時代はスキー、テニスなどにチャレンジし、成績は別として、講義はいつも前の方の席で受けるように努めました。恩師である研究指導教授の先生は、授業が分かりやすく、お人柄も魅力的で、今も憧れの存在。忘れられないのは、大学院生時代に、祖母が福井から上京した時のことです。祖母に先生を紹介すると、恐縮してしまって先生を拝みながらその場で土下座してしまいました。すると驚いたことに、先生も膝をついて祖母と話をしてくださったのです。田舎から出てきた祖母に対する恩師の心ある態度は、一生忘れることはないですね。

休日は、妻と3人の子どもたちと一緒に、自然のある場所に出掛けます。こんな風景を見ては、幸せを噛みしめています

 私の主な研究分野は、環境に配慮した電気エネルギーの安定供給です。太陽光や風力などの再生可能エネルギーは、まだ一定の品質で供給し続けることが技術的に難しく、従来の電力と一緒に使うことが簡単ではないというのが現状です。そのため再生可能エネルギーを蓄電するための技術や、さまざまな電力を同時に安定的に使うための技術開発がそれぞれの分野で進められています。大学では、未来社会が持続可能で環境に優しいエネルギーを利用できる形を目指して、中立的な立場で研究開発をしています。30代半ばくらいからライフワークとして人生をかけてみたいと考えるようになりました。このテーマに出会えたことを感謝しています。

 この春、久しぶりに母校に戻ってきましたが、後輩たちの目がきらきらと輝いているのを見て嬉しくなりました。間もなくゼミも始まりますが、学生たちに伝えたいのは、自分の研究を客観視することの重要性です。研究に入り込んでしまうと視野が狭くなり、本来の目的を見失ってしまうことがあるからです。我々は共同研究の機会も多いですが、常に相手側の信頼に応え、相手の立場に立つということが大切です。

 もう一つ学生たちに伝えたいことがあるとすれば、何事にも魂を込めて、ということ。熱いことを恥ずかしがる風潮もありますが、何にでも熱くなれるのは素晴らしいことです。自分が大事にしたいことに魂を込める思いで取り組めば、必ず何かが生まれます。これは自分にも課していることでもあり、私自らが情熱をもってのぞみたいと思っています。

 これまでの人生で実感しているのは、出会いと経験が人を育てるということです。様々な経験が視野を広げ、恩師、仲間、家族との出会いが自分を成長させてくれました。そして、感謝する気持ちがあれば、困難があっても前に進むことができるし、人を羨むこともなくなると思っています。誰だって社会の役に立っているのですから。あらゆることに感謝する気持ちを大切に、これからも人生を楽しみたいと思っています。

林 泰弘(はやし・やすひろ)/早稲田大学理工学術院教授

1967年福井県生まれ。早稲田大学理工学部電気工学科卒業後、同大学院に進む。同大学理工学部助手、茨城大学工学部講師、福井大学大学院工学研究科准教授を経て、2009年より現職。研究テーマは、環境に適した電気エネルギーの安定供給など。家族とバーベキューをしている時が一番幸せ。