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▼2017 新緑号

NEWS REPORT

東工大チームとの共同研究

コバルト酸鉛の合成に世界で初めて成功して新規の電荷分布を発見

本研究成果は2017年3月15日に米国化学会誌「Journal of the American Chemical Society」オンライン版に掲載されました

 早稲田大学の研究グループを含む東京工業大学を中心とした研究チームが、ペロブスカイト型酸化物のコバルト酸鉛の合成に成功し、鉛とコバルトの両方に電荷秩序を持った「Pb2+0.25Pb4+0.75Co2+0.5Co3+0.5O3」という他に例のない電荷分布が実現していることを発見しました。鉛とコバルトのエネルギー準位を制御することで特殊な電荷分布が実現することを、放射光X線と中性子線を用いて明らかにしました。電荷秩序が融解する際には超伝導や巨大磁気抵抗効果が発現することが多く、今後 PbCoO3の改質で、こうした現象が起きることが期待されます。今回の研究から、元素周期表を右に進むにつれて3d遷移金属の平均価数が系統的に減少し、反対に鉛の価数は増加することがより一層明らかになりました。今後 SPring-8 とJ-PARCを併用することによって、まだ明らかになっていないマンガン酸鉛などの電荷分布の解明が待たれます。