キャンパスナウ
▼2017 新緑号
- NEWS REPORT
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エステルからエーテルをつくる
世界初・脱一酸化炭素金属触媒の開発に成功
本研究成果は、アメリカ化学会誌『Journal of the American Chemical Society』のオンライン版に2017年2月21日に掲載されました
理工学術院の山口潤一郎准教授らの研究グループは、独自に開発した脱一酸化炭素金属触媒により、抗がん剤や抗マラリア薬などの医農薬に頻繁にみられる「ジアリールエーテル骨格」を芳香族エステルから合成することに世界で初めて成功しました。
これまでジアリールエーテル骨格は、遷移金属触媒を使った芳香族化合物とアレノール類のクロスカップリング反応で合成されてきましたが、原料が高価であることや廃棄物排出に関して改善すべき点がありました。今回の研究では、独自で開発したニッケルもしくはパラジウム触媒を用いて芳香族エステルから一酸化炭素を取り除いてジアリールエーテル化合物へと導くことに成功。ジアリールエーテル化合物を安価な芳香族エステルから合成することが可能となり、医農薬の開発研究に新たな標準手法を提供できます。