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キャンパスナウ

▼2016 早春号

NEWS REPORT

科学・技術による社会貢献

「研究の早稲田」から最先端の研究成果を報告

皮膚がん発生のメカニズムの理解、治療法確立への重要な成果

 胡桃坂仁志理工学術院教授らの研究グループは、染色体において紫外線によって損傷を受けたDNAの認識機構を世界で初めて解明することに成功しました。紫外線によって損傷を受けたゲノムDNA(生物の設計図)は、2015年のノーベル化学賞で受賞対象となったヌクレオチド除去修復と呼ばれる反応経路によって修復されます。今回の研究成果では、「ヌクレオチド除去修復に重要な因子が紫外線損傷によって形成されたふらふらとした不安定なDNAを染色体中から見つけ出す」メカニズムを明らかにしました。この発見は、ヌクレオチド除去修復関連遺伝子の変異が確認されている色素性乾皮症患者の皮膚がん発生のメカニズムの理解に重要な知見を与え、これを対象とした治療法確立のための基盤情報を提供する重要な成果です。今回の研究成果は「Scientific Reports」(Nature Publishing Group)にて論文「Structural basis of pyrimidine-pyrimidone (6-4) photoproductrecognition by UV-DDB in the nucleosome」として掲載されています。

「着る」から「貼る」デバイス形態へ
筋肉の活動を計測する電子ナノ絆創膏

ロールtoロール工程によって大量製造可能な導電性高分子からなる電子ナノ絆創膏

 11月16日、理工学術院の武岡真司教授、藤枝俊宣助教、先進理工学研究科一貫制博士課程3年山岸健人さんらのグループは、Italian Institute of Technologyの研究グループと共同で、皮膚に貼り付けて生体電気信号を計測可能な極薄電極(電子ナノ絆創膏)を開発したことを高分子学会広報委員会主催の記者発表会にて発表しました。電気を通すプラスチック(導電性高分子)からなる電子ナノ絆創膏は、厚さ240 ナノメートル※と非常に薄く柔らかいため、接着剤を用いずに皮膚に貼ることが可能です。この電子ナノ絆創膏を腕に貼り付ければ、屈伸運動に応じて筋肉の活動電位(表面筋電位)を瞬時に計測できます。電子ナノ絆創膏は、ロールtoロールのような印刷技術によって大量製造も可能なため、次世代型ウェアラブルデバイス開発の進展に大きく貢献すると考えられます。

※1ナノメートルは100万分の1ミリメートル

クワの葉に植物の宝石「プラントオパール」
リケジョ高校生が新発見

高校生がまとめた資料(冬芽の分析)の様子

 早稲田大学本庄高等学院の筒井音羽(研究開始時高校3年、現早稲田大学政治経済学部2年)さん、坂本玲(研究開始時高校2年、現教育学部1年)さん、尾林舞香さん、山川冴子さん(ともに現高校3年)、半田亨教諭、東京大学物性研究所松田巌准教授らの研究グループは、クワの葉の中に植物の宝石「プラントオパール」を発見しました。蚕のエサ、一ノ瀬クワの葉におけるプラントオパールの観測は、本研究が世界初。葉の中のプラントオパールの分布が不均一であることも突き止め、そこから一ノ瀬クワの成長機構を明らかにしました。

 文部科学省からスーパーサイエンスハイスクールとして指定されている早稲田大学本庄高等学院では、2010年より有志生徒がキャンパスに自生するクワの葉を対象に研究に取り組んできました。本研究は高校生自身が論文執筆を手がけ、教員の協力のもと、国際的な植物専門誌「Flora」に掲載される快挙に。今後は蚕の食欲増進や絹の増産につながる研究にも着手していきます。

※ 今回の研究成果は、オランダ系の植物学専門誌『Flora』オンライン版に、11月26日(現地時間)に掲載されました。