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キャンパスナウ

▼2015 錦秋号

NEWS REPORT

科学・技術による社会貢献

「研究の早稲田」から最先端の成果を報告

未知の暗黒物質に迫る
国際宇宙ステーション「きぼう」で観測開始

 早稲田大学と宇宙航空研究開発機構(JAXA)の共同研究により、日米伊の国際研究グループ(研究代表者:鳥居祥二理工学術院教授)は、宇宙に存在すると されている暗黒物質の正体など、宇宙の謎を解明するため「高エネルギー電子、ガンマ線観測装置」(CALET)の開発を進めてきました。

 8月19日、このCALETを搭載したこうのとり5号機/ H-IIBロケット5号機は種子島宇宙センターより無事打ち上げられ、国際宇宙ステーション(ISS)へ。

「きぼう」船外実験プラットフォームに設置され、初期検証段階を経て10月21日より2年間(目標5年間)にわたって観測が行われています。鳥居教授は「観測装置は予定通りにISSに設置され、観測データは期待通りに取得されています。早稲田大学理工学研究所内に設置した運用システムも正常に稼働しており、図に示すような宇宙線を可視化したデータが取得されています。大変スムースに観測がスタートできたことでひと安心ですが、これからが本番です」と意気込みを語りました。

カロリメータで観測されたテラ電子ボルト(TeV)のエネルギーを持つ電子イベント(候補)

CALETを用いて宇宙から飛来する素粒子・原子核(宇宙線)を可視化し、世界で初めて宇宙空間で高エネルギー宇宙線を精密に観測することを目指す

ひとつの細胞の発熱を測る?
計算と実験との間の矛盾と、その解決案を提示

 重点領域研究機構 鈴木団主任研究員、石渡信一理工学術院教授らの研究チームは、単一細胞からの熱産生計測に関する研究分野で世界的な研究課題となっている「10ギャップ問題」を解決するための具体的方策を提示しました。

 今回、研究チームは、細胞の発熱量を議論する際、細胞の種類、刺激の有無・種類について検討すること、温度上昇を計測する際、熱源からの距離を加味すること、細胞内の熱特性が解明されることにより、「10ギャップ問題」は消失しうると結論。この推測の真偽を確かめることは今後、細胞熱産生計測分野における主要な課題になるでしょう。

 本研究は「温度」という身近なパラメータを、細胞を対象とする全く新しい視点で見直します。ヒトをはじめとする生物・医学研究に幅広く影響するような、生理的に重要な成果に結びつくことが期待されます。

可視光領域を幅広くカバーする
白色発光光源を開発

 電子物理システム学専攻修士課程在学・小林直史氏(基幹理工学研究科)、笠原崇史助手(基幹理工学部電子光システム学科(当時))、庄子習一教授(基幹理工学部電子物理システム学科)、早稲田大学ナノ・ライフ創新研究機構水野潤研究院教授らの研究チームは、常温で液状の液体有機半導体を発光材料に用いたマイクロ流体白色有機ELデバイスの実現に成功しました。

 自在に形状が変形できる液体材料を用いることにより、従来の固体有機半導体薄膜を用いた有機ELデバイスとは異なる特徴を有する新しいディスプレイや照明への応用が期待されます。また、マイクロ流路への液体の注入により発光層が高真空プロセスを用いずに容易に形成できるという特徴を活かすことでオンデマンド励起光源が実現でき、生化学や医療分野で待望されるポータブルバイオチップへの応用にも繋がると考えられます。

※今回の研究成果は、英国Nature Publishing Groupのオンライン科学雑誌「Scientific Reports」に10月6日(現地時間)に掲載されました。