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▼2015 盛夏号

NEWS REPORT

「研究の早稲田」から最先端の成果を報告

夕・夜のストレスは体内時計を狂わせる

 理工学術院の柴田重信教授、高等研究所の田原優助教らの研究チームは、ストレスが体内時計を乱すことをマウスを用いて明らかにしました。私たちの体のほとんどの細胞には体内時計が存在し、様々な生理機能に昼・夜の情報を与えることで、生体の恒常性維持に役立っています。一方で、体内時計の乱れは肥満・糖尿病やがんなどの発症リスクを高めるといわれています。これまで、ストレスが個体レベルで体内時計にどのように影響を与えるのかは分かっていませんでしたが、今回の研究で朝よりも夕・夜のストレスが体内時計をより狂わせることが明らかに。さらに物理的・心理的ストレスにより脳や末梢臓器の体内時計が激しく乱れることや、耐性の獲得によりストレスで体内時計が乱れなくなることが分かりました。今回の研究成果は、英国NaturePublishing Group のオンライン科学雑誌「Scientific Reports」にも掲載されています。

ストレス負荷のタイミングと体内時計応答
マウスは夜行性なので、暗い時間に活動し、明るい時間に眠る。朝のストレスは体内時計変化なし。昼ー夕方、または夜中のストレスは体内時計を早めたり遅めたりする。寝始めの頃のストレスでは、体内時計が組織によってバラバラになり、腎臓では時計が止まったように見えた。

定説を覆し、光合成微生物の夜間休眠現象さらなる解明へ

 理工学術院の岩崎秀雄教授、高野壮太朗氏(先進理工学研究科修士課程修了)、教育・総合科学学術院の園池公毅教授と名古屋市立大学冨田淳助教授らは、光合成を行うバクテリア:シアノバクテリアの一種「シネココッカス」が暗期に入ると直ちにエネルギーを消費しながらmRNAを分解すること、つまり積極的に休眠状態に移行することを明らかにし、これまでの定説を覆す発見をしました。今回の研究は、昼夜の切り替わりに対する、光合成生物の適応戦略について新たな知見を提供するものです。夜間に転写を積極的・全面的に抑制する生物がいることは、これまで明らかにされておらず、他の生物の昼夜適応戦略を考える上でも興味深い発見であり、昼夜交代に伴う生命の柔軟な環境適応体制が明らかになることが今後も期待されます。

※今回の研究成果は、英国科学誌「BMC Biology」オンライン版にも掲載されました。