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キャンパスナウ

▼2013 錦秋号

NEWS REPORT

世界の平和と人類の幸福の実現に貢献する研究を目指して

「研究の早稲田」から最先端の成果を報告

究極効率のエンジンを生む
燃焼原理を発見

新原理確認実験のための自動車用プロトタイプエンジン

 理工学術院の内藤健教授らは、単体でサイズによらず、従来の2倍以上の熱効率ポテンシャルを持つエンジンを生み出すための画期的なエネルギー変換原理(新圧縮燃焼原理)を見出しました。同原理は、内藤教授が構築した新たな熱流体力学理論を駆使した思考実験とスーパーコンピュータシミュレーションと高速空気流実験により考案されたもの。今後、その有効性が確認できれば、新たな軽量高性能航空宇宙機だけでなく、自動車用の次世代高性能エンジンを生む可能性もあります。

 現在の自動車エンジンの最大熱効率は30%程度。単体熱効率60%以上の「安価な究極効率エンジン」の自動車なら、現在のハイブリッド車を凌駕する実質燃費も可能となると思われます。さらに、この高効率エンジン搭載車を使って各家庭で発電すれば、社会全体のエネルギー総合効率を向上させる可能性もあり、当面の環境エネルギー問題を解決する新機軸になると考えられます。

自律移動型
環境モニタリングロボットを開発

6つの楕円型車輪により、本体全長の半分の最大18cm程度の段差も楽々

 高西淳夫理工学術院教授の研究室と(株)JAPAN ROBOTECHは、スマートフォンを搭載した遠隔操作や自律移動ができる安価な環境モニタリングロボットを共同開発しました。ロボットは凸凹した山林も走行可能で、搭載スマートフォンや各種センサを使用して写真・データなどの環境情報を収集、移動と計測を自動的に繰り返しながら環境モニタリングを行えます。また携帯電話回線を使用して遠隔操作を行うため、日本にいながら海外で操作することも可能です。

 大規模な環境モニタリングは、機器の設置や持ち込みで環境を破壊する恐れがある一方、小規模なモニタリングでは十分な調査が困難です。このロボットを使用すれば環境負荷を最小限に抑えつつ、環境に関するさまざまな情報収集が可能となります。空中放射線量やPM2.5など有害物質の調査などで活躍が期待され、今後、コスト削減と実証実験を進め実用化を目指します。

放射性物質除染作業を
効率化するカメラ製品化

コンプトンカメラ(三脚とパソコンも含む)

 片岡淳理工学術院准教授のグループは、浜松ホトニクス㈱の大須賀慎二中央研究所第一研究室長代理らと、科学技術振興機構(JST)先端計測分析技術・機器開発プログラムの一環として、高感度で実用的な角度分解能を併せ持ち、軽量で低価格なガンマ線撮像用「コンプトンカメラ」の実用化に成功しました。

 同カメラは、ガンマ線がシンチレータ中の電子と衝突し、エネルギーの一部を失って飛行方向を変えるコンプトン散乱を計測することでガンマ線分布を画像化し、放射性物質の除染に役立てるために開発したものです。居住制限区域に相当する1時間当たり3.8から9.5マイクロシーベルト程度の環境下で、放射性物質の集積(ホットスポット)を数分程度で撮像できます。当面は、福島県の除染が必要な自治体に限定してモニター用として貸与し、来年には販売を開始します。

※放射線によって蛍光を発する物質。