早稲田大学の教育・研究・文化を発信 WASEDA ONLINE

RSS

読売新聞オンライン

ホーム > キャンパスナウ > 2013 早春号 NEWS REPORT

キャンパスナウ

▼2013 早春号

NEWS REPORT

科学・技術による社会貢献

「研究の早稲田」から着実な成果を発信

早大・東海大・日立・NEC・KDDI研究所が情報セキュリティ技術を開発

 東日本大震災以降、クラウドの活用によって低コストで災害に強い業務システムを実現する動きが高まっている一方で、クラウドの活用に際しては、オープンなネットワークを経由してリソースを共有するという特性から、情報漏洩リスクなど情報セキュリティ上の懸念が高まっています。そこで、被災者支援に貢献するクラウドサービスとその情報セキュリティ確保を両立するため、理工学術院・甲藤研究室と東海大学、株式会社日立製作所、日本電気株式会社、株式会社KDDI研究所は、災害発生時に自治体が取り組む被災者支援業務を、クラウドサービスを用いて迅速かつ安全に行うことを可能とする情報セキュリティ技術を共同で開発しました。この技術は、総務省の委託研究「災害に備えたクラウド移行促進セキュリティ技術の研究開発」のもと開発されたものです。この技術を礎に、自治体のサービスをクラウドで提供することを促進し、円滑な被災者支援に貢献していきます。

軽水冷却による高速増殖炉の実現核
燃料サイクル実用化へ新たな道

 岡芳明理工学術院特任教授は、放射能の密封性を損なうことなく水対燃料体積比を低減できる、核燃料棒を隙間なく束ねた新燃料集合体を考案し、世界で初めて軽水冷却原子炉による高増殖性能を計算上達成することに成功しました。日本の経験豊富な軽水冷却発電技術を用いての高速増殖炉実現や、使用済み核燃料の処分方策としての核燃料サイクル技術実用化へ道が開ける研究であり、原子力の平和利用や国際展開に役立つ成果といえます。

図:燃料格子と新燃料集合体

 ※この研究成果については2012年12月、日本原子力学会欧文誌(Journal of NuclearScience and Technology)オンライン版に論文“Plutonium breeding of lightwater cooled fast reactors”として掲載されました。

理工学術院総合研究所、「WINeST先端研究者交流会」を発足

 理工学術院総合研究所は産学をつなぐ大手企業との異分野・異業種交流会「WINeST先端研究者交流会(以下WINeST※)」を発足させ、昨年11月26日に第1回総会・講演会を開催し、法人会員およびその候補である30社の大手企業の方々と本学教員・若手研究者あわせて120名以上が参加しました。

 総会では、橋本周司副総長、山川宏理工学術院長の挨拶に続き、文部科学省科学技術・学術政策局の工藤雄之室長、および経済産業省産業技術政策局の佐藤文一課長より来賓挨拶があり、これまでに両省で展開されてきた産学連携事業を振り返りながらWINeSTという新たな取り組みに対する期待が寄せられました。

 「先端研究者交流会」は、産業界と本学とが国の政策なども鑑みながら、社会に役立つ新しい価値の創造を、人材の交流を通じて種々の形で具現化すること、および若手人材の育成、さらなる研究と教育の活性化を通じて産と学との発展に資することを目的とし、同会が提唱するウィークタイズ(WeakTies:緩やかな絆)なプラットフォームをベースに下記の活動を実施していく予定です。

1.産業界から早稲田大学への要望・提案に対するハブ機能
2.産業界に対する早稲田大学からの直接的な情報発信
3.産業界と早稲田大学とのコミュニケーション・ネットワークの構築
4.産学連携に関する会員相互の情報・意見交換
5.社会に対する産学一体となった戦略的提言
6.産学連携プロジェクトの増進

※WINeST:Waseda Innovation Network for Advanced Science and Technology

技術開発のロードマップにも影響する理論的限界を解明

図:デバイスの主要な雑音であるランダムテレグラフノイズ

 理工学術院の渡邉孝信教授、神岡武文次席研究員らは、電子がバラバラの粒子であることから生じる本質的な電流雑音により、半導体LSIの高性能化の限界が決まることを、シミュレーションを用いた検討によって明らかにしました。シミュレーションによれば、数10GHzから100GHzの動作周波数領域でLSIの素子を流れる電子の数が大きくばらつき、正常に動作しなくなると予測され、また、電子数の変動による雑音は本質的に避けられないため、これがLSIの動作周波数の限界を決定すると考えられます。

 これらの成果は、半導体デバイスの高速化や省電力化の理論的限界を明らかにしたという点で、今後の半導体集積回路技術開発のロードマップに影響を与えるものとなります。なお、この研究は科学技術振興機構の戦略的創造研究推進事業チーム型研究(CREST)の一環として行われました。