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▼盛夏号

NEWS REPORT

科学・技術による社会貢献を

「研究の早稲田」から着実な成果を発信

世界初のソフトウェア標準
(OSCAR API ver.2.0)を 開発・無料公開

 笠原博徳理工学術院教授らのグループが、IT・半導体・ソフトウェア関連12社および3大学と共同で、組み込み機器からスパコンまでに使われる並列プログラムを高速かつ低消費電力で動作させることができるソフトウェア標準(OSCAR API ver.2.0)を開発し、Web上で無料公開しました。

 このAPIとOSCARコンパイラを同時に用いることにより、情報家電(スマートフォンなど)、自動車、医療、科学技術計算用の低消費電力並列プログラムを短期間・低コストで開発することが可能となりました。

生きたマウスの体内時計を
正確に測る方法を開発

研究概要イメージ

 柴田重信理工学術院教授の研究グループが、世界で初めて1個体のマウスの体内時計を生きた状態で測定する方法を開発、「Current Biology」誌のオンライン版に掲載されました。併せて、マウスの末梢組織の体内時計を脳内にある視交叉上核と呼ばれる小さな神経核が制御していることも確認しました。

 地球の自転に合わせて約24時間の周期で振動する時計遺伝子は体の中のあらゆる細胞で発現しており、さまざまな生理現象に「昼・夜」という情報を伝える重要なシステムを担っていますが、実際の生体内で組織や臓器の時計の時間合わせの能力がどれくらい機能しているのかは分かっていませんでした。

 今回の研究によって、多くの基礎的な実験結果とともに新しく体内時計を正確かつ簡便に測定する方法が確立され、今後、他の分野での応用・発展が大いに期待されます。

大強度電子ビームの
超伝導加速を実現

光高周波電子銃と超伝導加速空洞を用いた 電子線形加速器

 本学および大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構、東京大学、独立行政法人日本原子力研究開発機構、広島大学、株式会社日立ハイテクノロジーズは、最先端の光高周波電子銃と超伝導加速空洞を用いた電子線形加速器により、20MV/m以上の高電界による大強度電子ビームの加速に成功しました。日本初の高電界超伝導電子線形加速を実現したことにより、従来は50m×50m程度だった高輝度光子(X線)ビーム源を10m×6m程度まで小型化することが可能となり、将来的には病院などに設置し、高度医療診断などへの利用に道を拓くものと期待されます。

 この成果は、電子ビームとレーザーパルスの衝突による高輝度X線の発生とその応用を目指す文部科学省の委託研究「超伝導加速による次世代小型高輝度光子ビーム源の開発」により得られたものです。本学からは鷲尾理工学術院教授が参加しています。

外力で細胞分裂を
制御できることを発見

細胞分裂期細胞の顕微操作像。左から、圧縮前、圧縮中、圧縮後

 理工学術院の板橋岳志講師と石渡信一教授は、同学術院の寺田泰比古教授、東京大学大学院の下山勲教授らとの共同研究により、哺乳動物細胞の細胞分裂の進行が力によって外部制御可能であることを発見しました。これは、生物物理学や分子生物学分野の技術を結集してマイクロマシン技術を統合することにより、ヒト培養細胞を定量的に直接顕微操作し、細胞分裂に必須の染色体分配を外部から物理的に補完・制御できるというものです。

 このような細胞力学操作の手法と成果は、染色体分配の動作・制御の力学メカニズムの解明に寄与するだけでなく、細胞自体、そして生体組織などの組織工学や再生医療への応用が期待されます。

理工・河合研究室と凸版印刷
「坪内逍遙 最終講義」映像を3D化

白黒フィルム映像をデジタルリマスタリングした、
「坪内逍遙 最終講義」の一場面
素材協力:早稲田大学坪内博士記念演劇博物館
制作・著作:凸版印刷株式会社

高精細デジタルアーカイブ化した、葛飾北斎「富嶽百景」の一場面
協力・底本提供:浦上蒼穹堂
制作・著作:凸版印刷株式会社

 理工学術院の河合隆史研究室と凸版印刷株式会社は、映像コンテンツの立体視(3D)化に関する共同研究を実施しました。その結果、歴史的な映像資料の臨場感を高め、絵画を空間的に鑑賞するといった、従来にはなかった表現・利活用の方法を提案し、その実現例として3Dコンテンツを試作しました。

 同共同研究では、奥行き情報が少ない既存の映像に対して、左右眼間の見え方の違い(両眼視差)を付加して3D化を行うことで、新たな表現手法や興味・関心への影響について検討を行っています。この検討対象として、記録映像「坪内逍遙 最終講義」と、葛飾北斎の浮世絵「富嶽百景」を選定。今後も研究の成果に基づき、既存映像の3D化による新たな価値の創出や利活用を推進していく予定です。