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NEWS REPORT

科学・技術による社会貢献を

「研究の早稲田」から着実な成果を発信

複雑な配電網で効率的に
電気を流すための計算手順を開発

標準解析モデルの最適構成

 本学先進グリッド技術研究所長の林泰弘教授らは、北海道大学大学院情報科学研究科の湊真一教授らのグループと共同で、配電網の膨大なスイッチ構成(ON/OFFの組み合わせ)を調べる超高速アルゴリズム(計算手順)を開発しました。この技術を用いて、電力品質を満たしつつ、送電損失を最小化する最適構成を得ることに初めて成功。さらに損失最小化への応用によって、その有用性の一端を明らかにしました。この技術によって、追加の設備投資なしに送電損失を最小化し、化石燃料を節約することができます。

 今回の成果には、将来のスマートグリッドを支える基盤技術としての活用が期待されます。

スーパーハイビジョン用
ビデオ復号LSIを開発

開発したチップ

 北九州市にある大学院情報生産システム研究科の後藤敏研究室が、ハイビジョンの16倍となる超高精細の解像度を実現したスーパーハイビジョン向けのビデオ復号LSIの開発に、世界で初めて成功しました。

 ビデオデータは、そのままではサイズが極めて大きいために 1/10~1/20程度の圧縮処理を行い(符号化)、データの転送後、伸張処理(復号化)でデータを復元しています。今回開発したスーパーハイビジョン用ビデオ復号LSIは、フルハイビジョンの16倍の7,680×4,320という画素数の高精細な動画が扱えるものです。

 この研究開発は文部科学省が福岡県へ委託した地域イノベーションプロジェクトの中で生まれたもので、今後、成果を企業へ移転し実用化に向けて努力する予定です。

世界初・細胞内の局所的温度変化を測定
細胞内を歩くナノ温度計を開発

蛍光ナノ温度計のコンセプト。蛍光色素(赤)を複数のポリマーで包むことで、他の環境因子(pHやイオン強度など)を遮断する

 理工学術院および重点領域研究機構・早稲田バイオサイエンスシンガポール研究所の石渡信一教授と武岡真司教授らのグループは、動植物の細胞内の局所的かつわずかな温度変化の測定を可能にする「細胞内を歩くナノ温度計」を開発しました。

 細胞内で分子モーターによって輸送されることにより、環境が時々刻々と変化する細胞内の局所的な温度を、正確に素早く測定することが可能となりました。

 ミクロンサイズの細胞内小器官について、その内部の温度変化を直接測定したのは世界で初めてです。また生きた細胞の中で、世界最高レベルの空間分解能で、温度変化や分布を高速に測定できる手法であることも示されました。この手法を応用することで、例えば細胞代謝に関する研究において細胞一個のレベルから詳細に解析することが可能になるなど、基礎医学分野への波及効果が期待されます。

理論的存在を初観測
新種の「毒蜘蛛パルサー」を発見

観測から見えてきた「毒蜘蛛パルサー」

 理工学術院の片岡淳研究室は、東京工業大学の谷津陽一助教らとの共同研究で、周囲にある星を高温で溶かしていくことから「毒蜘蛛パルサー」と呼ばれる新種の中性子星の観測に成功、3月19日から開かれた日本天文学会で発表しました。

 毒蜘蛛パルサー自体、これまで見つかった数はごく少数ですが、いずれも強い電波を発します。今回見つかったものは電波が検出されない全く新しいタイプのパルサーで、ミリ秒という高速な自転周期で回転をしていることが予想されます。理論的に存在が予想されていたものの、実際に観測されたのは今回が初めてとなります。