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▼錦秋号

NEWS REPORT

科学・技術による社会貢献を

「研究の早稲田」から着実な成果を発信

太陽光利用クリーンエネルギー生成技術の成果を期待
本間理工学術院教授の研究がJSTのCRESTに採択

 科学技術振興機構(JST)の戦略的創造研究推進事業の一つである「CREST(Core Research for Evolutional Science and Technology)」の平成23年度研究提案募集(第1期)に、本間敬之理工学術院教授の研究課題「固液界面反応設計による新規高純度シリコン材料創製プロセスの構築」が採択されました。

 本間教授の研究は、CRESTの研究領域「太陽光を利用した独創的クリーンエネルギー生成技術の創出」での採択課題の一つで、高純度Si(ケイ素)製造に必要な長時間の超高温反応が生産面・コスト面での大きな課題となっていることについて、原子レベルからの解明と精密な反応設計を実現し、低エネルギーかつ高速に高純度Siを生成するクリーンなプロセスの開発を目指すものです。また、国内に豊富な珪藻土(けいそうど )を原料とする新しい製造プロセスを開発することにより、高純度Siの安定供給という資源確保戦略への貢献も期待されています。

捜査支援のためのスペクトルイメージング装置の開発
宗田理工学術院教授の研究が「科学技術戦略推進費」に採択

 国の総合的・基本的な科学技術政策の企画立案および総合調整を行う科学技術総合会議が、科学技術政策の司令塔機能を発揮し、各府省を牽引して自ら策定した科学技術イノベーション政策を戦略的に推進するために、各府省の施策を俯瞰し、それを踏まえて立案する政策を実施するために必要な施策に活用される「科学技術戦略推進費」(文部科学省)の平成23年度公募に、宗田孝之理工学術院教授が研究代表を務める提案課題が採択されました。

 宗田教授のプロジェクト「捜査支援スペクトルイメージング装置の開発」は、公募プログラムの一つ「安全・安心な社会のための犯罪・テロ対策技術等を実用化するプログラム」分野での採択。「現場における鑑識資料のイメージング装置の開発」をテーマに、現場に残されたヒト由来成分、すなわち指掌紋や体液などに含まれる脂肪やたんぱく質(アミノ酸)を非破壊・非接触に多角的に分析でき、導入済み機器とのデータ互換性をもち、かつ現場への可搬性に優れた装置を開発し、その実用化を目指すプロジェクトです。参画機関として科学警察研究所とJFEテクノリサーチが、協力機関として岐阜県警・兵庫県警・三重県警の各科学捜査研究所が参加しており、協力して開発を進める予定です。

平山国際学術院教授が発表
翼竜の化石発見につづき日本最古のスッポン化石の鑑定

 7月7日、岩手県久慈市の久慈琥珀(こはく)博物館の琥珀採掘体験場で、白亜紀後期の8千5百万年前の翼竜の一部とみられる化石が発見され、平山廉国際学術院教授により、これまで国内で確認された翼竜の化石では最大で、東北地方では初めてであることが判明しました。

 また同教授は、7月28日に、1994年に見つかったカメの化石が、カメからスッポンへ進化する途中の新種であることが分かったと発表しました。今までスッポンの最古の化石は、福井県勝山市とウズベキスタンで見つかった1億1千万年前のものとされてきましたが、今回の発見は、それをさらに2千万年もさかのぼるものとなっています。化石2片は8月21日まで、白山市立松任博物館で特別公開されました。

 平山教授は「今回の発見により、スッポンの起源は約2千万年も古くなりました。現在も新たな化石を求めて石川県などでの調査は継続中です。今後もさらに重要な発見があるに違いありません」と期待を述べています。

翼竜の第4指中手骨

発見された化石(ABCは化石を別角度から撮影したもの)

ヒト染色体の中心領域の立体構造を世界で初めて原子分解能で解明
胡桃坂理工学術院教授、遺伝病や発がんの原因解明へつながる一歩

セントロメア領域が細胞分裂時に紡錘糸によって引っ張られ遺伝情報は失われずに2つの娘細胞に継承されます

 理工学術院の立和名博昭助教、胡桃坂仁志教授らのグループが、ヒト染色体の中心領域(セントロメア領域)の立体構造を世界で初めて解明することに成功しました。染色体の末端領域(テロメア領域)の構造解明にノーベル医学・生理学賞(2009年)が授賞されて以来、次の重要な研究対象としてセントロメア領域の構造解明は世界中で注目されていたものです。

 その意味で今回の研究の成功は非常に大きな成果であり、染色体不分離による遺伝病や発がんの原因解明にも重要な一歩になると考えられています。

人間科学学術院が大日本印刷(株)と共同で
聴覚障がい学生の講義への参加感を高めるノートテイク支援システムを開発

今回開発したノートテイク支援システム

 人間科学学術院は大日本印刷株式会社と共同で、聴覚障がいがある学生を対象とした新しい情報保障※のための支援技術を開発しました。この支援技術には、スウェーデンで開発されたアノトペンと呼ばれるデジタルペン技術と、大日本印刷株式会社が開発したプレゼンテーションシステム(OpenSTAGE(R))が使われています。

 現在、本学には聴覚に障がいがある学生が13名在籍(2011年7月末時点)。今回、既存の技術をうまく組み合わせることで、聴覚障がいの学生が大学の講義やゼミにおいて情報保障を受ける際の不便を解消し、より積極的に講義やゼミに参加できるようになります。将来的には、手書きとパソコンによるノートテイクをミックスした形も含めて検討しています。

※ 身体的な障害(特に視覚・聴覚など)により情報収集ができない人に、代替措置を用いて情報を提供すること。

その他の研究成果を本学Webサイト上(http://www.waseda.jp/jp/news11/)で紹介しています。

■ヘレン・ケラー1937年(昭和12年)来日時の音声録音を発見:演劇映像学連携研究拠点の研究チームの調査で
■分子内の超高速の電子運動を測定:世界初、1京分の1秒(100アト秒)の時間分解能で―理工・新倉准教授
■時計遺伝子の発現が止まっても時計の針は動かせる:体内時計の制御様式の新知見―理工・岩崎准教授
■顧客サポート業務の改善策の効果を事前に検証する技法を開発:理工学術院・高橋真吾教授と富士通研究所が共同で
■理工・逢坂教授らによる系統安定化用蓄電池システムに関する研究:NEDOの大規模蓄電システム開発プロジェクトに採択 他

1912年に京都で撮影された現存最古の能楽映像
演劇博物館GCOE日本演劇研究グループの調査で判明

 フランスのアルベール・カーン博物館に所蔵されていた能楽の映像が、大富豪アルベール・カーン(Albert Kahn,1860-1940)が日本に派遣した撮影隊によって1912年10月30日、京都・佛光寺の能舞台で撮影されたものであり、現存最古の能楽映像であることが、本学坪内博士記念演劇博物館のグローバルCOE日本演劇研究コースの研究グループ(児玉竜一文学学術院教授、原田眞澄演博研究助手、他)による調査で判明しました。

 これらの映像は、能楽研究および舞踊研究、映画研究など多方面の研究に資する重要な資料となります。児玉教授 は「100年前はどのように動いていたか、過去を再現することは非常に困難。文字資料ではわからないものを伝えてくれるこのような映像は、大変貴重な資料といえる」とコメントしています。

わしの所在

橋弁慶

エジプト学研究所と吉村作治名誉教授ら
「第2の太陽の船」復原プロジェクト始動

大テントから運び出された第1の石蓋(写真:アケト提供)

 吉村作治名誉教授が所長を務めるNPO法人太陽の船復原研究所と、本学エジプト学研究所の調査隊が、エジプト・カイロ近郊のギザで「第2の太陽の船」を発掘、復原するプロジェクトに挑んでいます。

 太陽の船は世界最古の大型木造船で、古代エジプトのファラオ(王)の魂が、永遠に天空を行き来するための船とされます。6月22日に幅5メートル、長さ30メートル、深さ3.5メートルのピット(船抗)をふさいでいる石蓋(平均17トン、枚数合計約40枚)を取り外す作業を開始。石蓋を1日1枚のペースで取り上げた後、分解されて埋まっている「第2の太陽の船」の部材のサンプリングをしてから検査・分析を行い、本格的な保存処理に向かいます。全体の発掘・復原には4年ほどかかる予定です。

 なお「第1の船」についてはエジプト政府が発掘・復原し、ピラミッド近くの博物館に展示されています。