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▼新緑号

NEWS REPORT

科学・技術による社会貢献を

「研究の早稲田」から着実な成果を発信

未来医療の創造や新しい国際医療人の育成などを促進
ASMeWと神戸大、先端科学と健康医療分野で連携

覚書を交わして握手する浅野茂隆 ASMeW機構長(左)と高井義美 神戸大学大学院医科学研究科長・医学部長(右)

 2月28日、本学先端科学・健康医療融合研究機構(ASMeW)と、神戸大学大学院医学研究科・医学部は、医学と理工学の融合による新しい研究・教育モデルの構築を図るため、双方の協力と連携に関する協定を締結しました。

 調印式では浅野茂隆 ASMeW機構長と高井義美 神戸大学大学院医科学研究科長・医学部長が覚書を交わし、研究者・学生交流の活発化、臨床研究の促進、早期診断と未来医療の創造や、新しい国際医療人育成と開発途上国の医療支援など、先進的な医療研究を加速させていくことを確認しました。

 本学は2010年7月、医療開発・産業化の迅速化、医療における国際貢献や国際医療産業都市の実現に向けて、神戸大学などの協力のもと「神戸BTセンター早稲田大学浅野研究室」を神戸ポートアイランドに開設しており、今後は研究者・学生の交流、実験設備などの相互利用などを推進していきます。

細胞培養で新技術
生存率を大幅に向上

開発した三次元細胞培養容器。チューブを通じて培養液を流しながら培養する

 武田直也理工学術院准教授の研究グループは、細胞の前後・左右・上下がゲルの繊維で取り囲まれる三次元培養系において細胞の生存率を大幅に向上させる培養技術を開発しました。コラーゲンでできたゲルの中に細胞を埋め込み、ここに培養液を流しながら細胞を育てることができる培養器材を開発し、培養液を流さない場合では12%だった細胞の生存率が、71%と約6倍に高まりました。神経細胞に特徴的な細長い突起を伸ばす細胞を用いた場合には、培養液を流して培養することで、突起の伸びが一定方向にそろえられることも発見しました。本研究は、さらに長期間の三次元細胞培養を可能にする培養システムへの発展を目指しています。また、神経突起が一方向にそろった状態で多数の神経細胞をまとめて培養して、生体に見られるような神経の束とし、移植に使えるような組織の作製へと展開することも期待されます。

若手・女性・地域の研究者への研究支援
「最先端・次世代研究開発支援プログラム」に選定

 将来、世界の科学・技術をリードすることが期待される若手・女性・地域などの研究者を支援し、「新成長戦略」に掲げられたグリーン・イノベーションおよびライフ・イノベーションを推進する内閣府の事業「最先端・次世代研究開発支援プログラム」に、本学から表の3名の研究課題が選定されました。

  グリーン・イノベーション ライフ・イノベーション
研究者 多辺由佳 理工学術院教授 竹延大志 理工学術院准教授 岩田浩康 高等研究所准教授
研究課題 キラル液晶の動的交差相関:機構解明とエネルギー変換デバイスの作製 超高性能インクジェットプリンテッドエレクトロニクス 低侵襲な知覚・運動支援により脳神経系の再構築を促す心身覚醒 RT
歌詞に適した写真をネット上で収集
楽曲スライドショー自動生成システムを開発

 理工学術院の甲藤二郎教授は、株式会社KDDI研究所(本社:埼玉県ふじみ野市、代表取締役所長:秋葉重幸)と共同で、歌詞の雰囲気に適した写真をネット上から収集し、効果的に楽曲と同期させて再生することが可能な楽曲スライドショー自動生成システムの開発に成功しました。このシステムにより、ユーザーは歌詞付きの楽曲をシステムに入力するだけで、手軽に楽曲スライドショーを作成することができます。

 今回開発したシステムは、歌詞全体から季節や時間帯などの印象情報の推定、楽曲の進行に同期した良質な写真をFlickrなどのタグ付き写真共有サイトから収集するための検索キーワード抽出、収集したタグ付き写真から印象に合致した写真の自動選定、歌詞の進行に同期した写真切替タイミング制御などの独自技術により、良質なスライドショーの自動生成を実現しています(図参照)。

「電気パルス粉砕」を開発
鉱石破砕の新手法、資源循環型社会形成にも貢献

電気パルス粉砕の概念

 理工学術院の大和田秀二教授は、さまざまな鉱物が含まれる鉱石を電気パルスで砕く新しい手法を開発しました。世の中の各種物質、特に鉱石から金属類を生産する場合、ローラーなどで押しつぶして破壊するため、エネルギー熱が固体の外に逃げてしまう効率の低い粉砕操作が行われます。電気パルス粉砕(Electrical Disintegration)は、基本的に水中で固体に直接電圧をかけることで、発生鉱物同士の境界面に微小爆発を起こして引きはがし、直接固体内に破壊するエネルギーを発生させることができます。有用資源を粉々にせずに回収することも可能で、大和田研究室は各種素材の複合物に関して、構成成分の誘電率・導電率・物理的構造欠陥などが境界面優先破壊に与える影響などを明らかにしました。最近は廃棄物の再資源化プロセスへの適用研究も散見されており、今後の資源循環型社会形成には必須の操作になり得ると考えています。

生活習慣の改善策に貢献
動脈硬化症予防のための身体活動の重要性を明らかに

身体活動量と酸化型低密度リポ蛋白質値との関係グラフ

 スポーツ科学学術院の研究グループ(中村好男教授、宮下政司次席研究員)は、日常生活中の身体活動量が多い高齢者では、動脈硬化症の予測に関係する血液評価項目である酸化型低密度リポ蛋白質値が低いことを明らかにしました。

 一般に、習慣的な身体活動が脂質や糖質などの血液指標項目を改善させ、動脈硬化症の予防に有効であることが知られています。しかし、動脈硬化の病巣の形成に深く関わる指標に着目し、日常生活中の身体活動の重要性について高齢者を対象とした研究によって明らかにした例はこれまでありませんでした。

 本研究グループでは、27名の高齢者を対象とし、生活活動下における身体活動量を、エネルギー消費量や身体活動強度の記録機能を持つ加速度計を用いて調査し、身体活動量と酸化型低密度リポ蛋白質値との関係を分析しました。

 学術的のみならず、動脈硬化症予防のための生活習慣の改善策につながることが期待されます。

イスラーム地域研究機構が参加
中東政変の今後を探るセミナーを開催

パネルディスカッションの様子

 3月2日、早稲田大学、東京大学、上智大学、京都大学、東洋文庫の5つの拠点からなる「人間文化研究機構(NIHU)イスラーム地域研究拠点」は、反政府運動などが相次いでいるアラブ地域について、NI HUプログラム「イスラーム地域研究公開セミナー」を東京大学本郷キャンパスで開きました。本学からはイスラーム地域研究機構の湯川武教授、鈴木恵美准教授が参加し、最新のアラブ情勢に関する報告などを行いました。

 本学拠点の主催として行われたパネルディスカッション「地域の激動と地域研究」では「、今回の運動は予測できなかった。大きな政治運動は、それなりの組織が行うといった思い込みがあったのではないか」「なぜムスリム人口は増加し続けているのか。家族観を知ることが大事なのではないか」など、さまざまな意見が交わされました。

大学の最先端技術と産業界をマッチング
環境・ライフサイエンスにおける先端技術の祭典

「Mini-HOKUSAI」を実際に運転する参加者

 1月14日、西早稲田キャンパスにおいて「Technology link in WTLO※」が開催されました。

 本学理工学術院の西出宏之教授とパナソニック電工株式会社の菰田卓哉技監の基調講演から始まり、大学と企業間の研究開発手法・体制の違いや、今後の産学連携の進め方などについて幅広い講演がありました。また本学教員による、最先端の研究テーマについての発表がなされました。

 ロビーでは、本学の特許シーズのポスター展示に加えて、理工学術院の各研究室で行われている研究テーマを紹介するポスターも展示されました。また、墨田区と本学が共同開発した2人乗り電気自動車「HOKUSAI」の展示と、同じく共同開発した電動車いす「Mini-HOKUSAI」の試乗体験も行われました。参加者からは、スムーズな発進や回転に新鮮な驚きの声があがり、スペックなどに関する質問も多く寄せられました。講演には総勢60名が訪れ、盛況となりました。

※ WTLO(Waseda Technology Licensing Organization):技術移転機関の略称。大学の研究者の研究成果を特許化し、企業へ技術移転する法人。