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▼錦秋号

NEWS REPORT

科学・技術による社会貢献を

「研究の早稲田」から着実な成果を発信

国際的な医療研究開発や医療人材育成の拠点へ
神戸BTセンター浅野研究室を開所

研究室の到達目標について説明する浅野教授

 本学はこれまで、全学の医療分野における学術的な蓄積をもとに先導的な研究開発を行い、先端生命医科学における高度な研究人材の育成に取り組んできました。そして今回、医療開発・産業化の迅速化、医療における国際貢献や国際医療産業都市の実現に向けて、浅野茂隆理工学術院教授(本学先端科学・健康医療融合研究機構長)を研究代表者とする「神戸バイオテクノロジー研究・人材育成センター(BTセンター)早稲田大学浅野研究室」を、わが国の先端的医療産業クラスターである神戸ポートアイランドに開所しました。

 神戸には多くの公的研究機関や医療関連企業が集積し、産学官の連携による新たな医療・健康科学と産業の胎動が起こりつつあります。未来医療の創造や、ポストゲノム時代の研究資源共有化、生命科学と人文・社会科学の融合による安心・信頼の医療構築、開発途上国の医療支援等々をコンセプトに、がん・白血病や母子健康などに関する合同プロジェクト研究を進める浅野研究室の開設により、国際的医療研究開発や国際医療人材育成のための拠点として、ますますの発展が期待されます。

 7月15日の開所式では、鈴木寛文部科学副大臣、矢田立郎神戸市長をはじめ多数の来賓からご挨拶をいただきました。

材料研究分野で連携強化
東北大学金属材料研究所東京分室を学内に設置

(左から)東北大の新家光雄金属材料研究所長、井上明久総長、本学の白井総長、川原田洋理工学術院教授

 本学は、東北大学と連携して次世代材料の共同研究を強化するため、本学研究開発センター内に東北大学金属材料研究所東京分室を設置し、7月22日、開設セレモニーを行いました。国立大学が私立大学内に研究拠点を持つのは非常に珍しく、国立・私立の垣根を越えた連携で産業界への技術提供が加速されることが期待されます。

 具体的には、東北大学金属材料研究所が持つ高機能金属ガラス開発技術と、本学ナノ理工学研究機構が持つ材料を選ばないマイクロ・ナノレベルの加工技術を融合させた新しいエレクトロデバイス、およびそれを利用したアプリケーションに関する共同研究・開発を行っていきます。この共同研究・開発を推進することで、材料の高度化と実用化を図り社会貢献を果たしていく予定です。

超高速の物理現象の解明に期待
分子中の電子の空間分布を測定する新たな方法を開発

分子に照射するレーザーパルスを生み出すアト秒軟X線レーザー発生装置(1アト秒=10-18秒)

 (財)科学技術振興機構の課題解決型基礎研究の一環として、理工学術院の新倉弘倫准教授らが、分子中に存在する電子の空間分布を測定する新たな方法を開発しました。

 分子は複数の原子核と電子から成り立ち、電子はそのエネルギーに応じてある存在確率で原子核の周りの空間に存在(分子軌道)。分子軌道の空間分布の形や広がりは、化学反応に大きな影響を与えており、多様な物理・化学現象が分子軌道の性質を元に説明されています。分子軌道とその変化を直接観測することは、物質科学における最先端計測の基盤技術となるだけでなく、新機能物質の開発や創薬などにも役立つものと期待されます。

 研究はカナダ国立研究機構と共同で行われ、成果は米国物理学会誌『Physical Review Letters』のオンライン版で7月30日に公開されました。

関東平野の都市基盤解明への貢献も期待
250万年前の丹沢山地巨大噴火が明らかに

中津(左上)→鎌倉(右上)→江東(左下)→銚子(右下)の順で同じ組成のざくろ石のサイズが小さくなり、火山灰が西から東へ流れたことがわかる。

 本学教育・総合科学学術院地球科学教室(高木秀雄教授)は、首都大学東京都市環境科学研究科地形・地質学研究室(山崎晴雄教授・田村糸子客員研究員)と関東平野の上総層群相当層に見いだされた4カ所(神奈川県愛川町中津、同鎌倉市、東京都江東区、千葉県銚子市)のざくろ石を多量に含む火山灰層についての詳細な層序学的・岩石学的検討を行った結果、それらの火山灰層が丹沢地域の同一の火山から250万年前ごろに同時に噴出されたことを明らかにしました。

 このことは、最近国際的に決定された新しい第四紀―新第三紀境界(258.8万年前)付近の地層の時代決定の重要な手がかりとなるだけではなく、この特色ある火山灰層が今後関東平野の都市基盤解明に貢献すると期待されます。研究成果は7月発行の日本地質学会『地質学雑誌』にも掲載されました。

人間の表現を探求する新しい理工学
科学技術と身体表現を融合したパフォーマンスをプレ公開

スリット・スクリーンを使用したパフォーマンス

 8月31日、理工学術院の三輪敬之研究室などは、10月29日からイタリア・ジェノバで開催されるサイエンスフェスティバルで招待展示するパフォーマンス「Dual 2010―Shadow Awareness II」を、大隈講堂でプレ公開しました。

 当日は、三輪研究室が開発した、スリット・スクリーンを舞台と観客席の境界に設置して影を映し出すシステムにより、演者自身の影とメディアが創る影とが二重に映しだされた幻想的な映像を表現(写真)。橋本周司研究室による投げたり振ったりすることで音と光を生み出すボール型の音響機器「TwinkleBall」も加わり、ダンスグループ「みんなのダンスフィールド」(主宰:西洋子東洋英和女学院大教授)が華麗な舞いを披露。舞台と観客が影を通じて出会い、影でつながる二重的世界(dual world)が講堂全体に創出されました。