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キャンパスナウ

▼2013 錦秋号

My study, My career

早稲田で活躍する女性研究者を紹介します。

2032年の創立150周年に向けて本学のあるべき姿を考える「Waseda Vision 150」。
そのVisionのひとつ「世界の平和と人類の幸福の実現に貢献する早稲田の研究」を推進するため、女性研究者の活躍を通じた新たな視点と思考の導入も期待されています。8回目となる今回は、山内暁先生にお話を伺いました。

山内 暁(やまうち・あき) 商学学術院准教授
略歴はこちらから

自分で決めたテーマを追求し、自分だけの研究を確立したい

山内 暁/商学学術院准教授

自分への挑戦

 私が会計の研究を始めたきっかけは、元をたどれば、会計学会というサークルに入ったことでした。当時の早稲田では、女子大の学生が大勢入っているサークルが多く、数が少ない早稲田の女子学生にとって勉強系のサークルは、居心地の良い場所でした。周囲にはモチベーションの高い人も多く、私も除々に会計の世界に魅力を感じるようになりました。長く仕事を続けるためにも、資格を取ってから就職しようと考えていましたが、資格のための勉強を進めるうちに財務会計を学問的に研究してみたいと考えるようになり、大学院に進学しました。

ゼミで東京証券取引所を見学

 修士論文のテーマに選んだのは、目には見えないものを会計情報として扱う無形資産会計です。何カ月もかけて悩んだ末、自分にとって最も難しく、その当時まだあまり開拓されていなかった分野に挑戦しようと考えたのですが、指導教授には何度も再考を勧められました。しかし、研究し尽くされているテーマより、難しくても自分が挑戦できるテーマを手掛けたいという思いで、初志貫徹しました。

 研究生活では、さまざまな壁にぶつかります。気持ちを強く持ち、なによりも研究が好きでないと続けられません。また、人生において困難なことがあっても、逃げることなく、立ち向かっていくことが重要だと考えています。それは、自分との戦いでもあるかもしれません。大学院時代は非常に忙しく、毎日が目まぐるしかったことを覚えています。限られた時間の中でやりくりすることにより、タイムマネジメントが多少なりとも上手くなったかもしれません。

歴史をひも解けば 会計の最先端がよく分かる

「 基礎会計学」の講義で配布した公認会計士協会発行のテキスト。会計の世界を知る最初の一歩として

 博士後期課程では無形資産会計の一分野である暖簾(のれん)会計をテーマとしました。暖簾会計をテーマとしたのはやはり、無形資産会計の中で最も難しい分野であると感じたからです。就職後に早稲田で学位をいただき、2010年にはそれを『暖簾の会計』という著書にまとめました。読み返すと不出来な点が多々あるのですが、多少なりとも評価された点があるとすれば、歴史的に暖簾会計を分析した点かもしれません。歴史をひも解くことで視野が広がり、最先端の会計の理解も深まります。現在は再び、無形資産会計について、歴史的な視点からの研究を進めています。今後も歴史的な視点を重視していきたいと考えています。

研究と教育のバランス

ゼミ生たちと(川奈のセミナーハウスにて)

 最初に就職したのは、少人数制で考える力を持った学生を育てることに注力していた大学でした。大規模な大学で教育を受けてきた私にとって、当初は戸惑うことも多くありましたが、まわりの先生方からそのような教育のあり方を学ばせていただくことができました。早稲田に来てからも、学部ゼミではなるべくゼミ生の自主性を引き出すことを心掛けています。大学院のゼミはまだ開講したばかりですが、各自が本当に興味を持てるテーマを選び、自由にのびのびと研究ができる環境づくりに努めたいと考えています。そのような自由な環境の中で、柔軟で新しい発見をしてもらいたいですね。

 大学の教員は、論文を書くことと学生に教えることとの両方とも好きな人が向いているかもしれません。研究と教育を同時に行うことで相乗効果もありますし、両者のバランスを大切にしていきたいと考えています。

 最後に、会計は一見すると近寄り難い学問にみえるかもしれませんが、会計の知識はビジネスの世界で必ず必要とされる専門知識です。また、女性が長く仕事を続けていくには良い分野のひとつだと思います。ぜひ、会計に興味を持って、好きになってほしいですね。

山内 暁(やまうち・あき)/商学学術院准教授

早稲田大学政治経済学部経済学科卒業、同大学院商学研究科修士課程修了、博士後期課程単位取得退学。早稲田大学商学部助手、多摩大学経営情報学部助教授、専修大学商学部准教授などを経て2012年より現職。博士(商学)。専門は、会計学(財務会計)。