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キャンパスナウ

▼2013 新緑号

My study, My career

早稲田で活躍する女性研究者を紹介します。

2032年の創立150周年に向けて本学のあるべき姿を考える「Waseda Vision 150」。 そのVisionのひとつ「世界の平和と人類の幸福の実現に貢献する早稲田の研究」を推進するため、女性研究者の活躍を通じた新たな視点と思考の導入も期待されています。6回目となる今回は、杉山千鶴先生にお話を伺いました。

杉山 千鶴(すぎやま・ちづる) スポーツ科学学術院教授
略歴はこちらから

好きなことを追求したことが
研究者としての第一歩に

杉山 千鶴/スポーツ科学学術院教授

いつの間にか研究者になる

 大学入学と同時にモダンダンスクラブに入部しました。サークル活動と授業を通してダンスのおもしろさを知り、個人的に練習を増やしたいと考えて、2年次の3月からさいたま市にある藤井公・利子舞踊研究所に通い始めました。公先生のユニークな、そして利子先生の情熱的な指導を受けて、ますますダンスに魅了され、卒業後もアルバイトを続けながら藤井夫妻のもとで踊り続けようと思っていたのですが、予定していたアルバイトの話が急になくなってしまいました。途方に暮れてクラブ顧問の大谷久子先生に相談したところ、舞踊教育学を学ぶことのできるお茶の水女子大学大学院への進学を勧められました。進学後もずっとダンスの指導者になりたいと考えていたのですが、学会発表をし、紀要に論文が掲載されるようになったりしているうちに、いつの間にか研究者となって、現在に至っています。

アプローチが多彩な舞踊学のおもしろさ

「われは草なり」(2008年12月早大モダンダンスクラブ第31回定期公演「おダンス日和」より)

 舞踊学は非常に広く深い学問です。舞踊といっても日舞、洋舞、民族舞踊や伝統芸能など、多種多様なジャンルがあり、さまざまなアプローチ方法があります。私の専門は、近代日本洋舞史で、1920年代の浅草という最大の娯楽地を賑わした浅草オペラと浅草レヴューについて、女性ダンサーに注目しながら調査・研究しています。また、帝国劇場は日本で初めてバレエ指導を行ったところですが、そこで上演された舞踊や、指導を受けた人々のその後の活動についても調べています。今は藤井夫妻の師である小森敏について調べています。

 一方で、私自身も藤井公・利子の主宰する東京創作舞踊団に所属し、藤井夫妻の作品を長く踊り続けてきたことから、踊り手の身体感覚や身体操作にも関心があります。またモダンダンスの場合、作家によってダンスの技法・スタイルが異なります。その作家固有のものが、どのように学ばれ伝えられていくのかについても関心があります。

教授も学生も同じ研究者

藤井公・利子先生を囲んで。2008年1月。桜井ただひさ撮影

 創作ダンスの授業では、学生が自由な発想で創ることを楽しむよう、倫理道徳を守った上で「何でもやってみよう」という空気を作っています。私の教育者としての姿勢は、これまで出会った恩師の方々の影響を受けています。学部時代の指導教員だった鹿野政直先生はご自身も学生と同じ歴史学徒であるとの姿勢をお持ちでした。藤井公先生・利子先生はダンスについて、大学院の指導教員だった片岡康子先生は研究対象について、深く考え理解できるよう、そしてますますハマっていくように導いてくださいました。

 学生たちに望むことは、マニアックになるということ。面白いと感じることを見つけたら、とことん追求してほしいと思います。そこを足がかりに世界が広がっていくのではないでしょうか。

ダンス人生の第二章はひたすら研究

 2008年に藤井公先生が亡くなって、自分自身が舞台に立たなくなったこともあり、舞踊を研究対象としてやっと突き放して見ることができるようになりました。

 大学院以来ずっと研究を続けている浅草オペラは、愛好家は多くても、研究者は多くありません。当時の浅草を知る人はすでに亡くなっていて、紙の資料しか残されていないということもあり、調査するにしても、あまり時間が残されていないことが気になっています。ライフワークとして取り組みたいと思っていますが、後に続く研究者が出てくるよう、そして彼らがさらなる成果を生み出すよう、盛り上げていきたいと考えています。

杉山 千鶴(すぎやま・ちづる)/スポーツ科学学術院教授

1985年早稲田大学第一文学部史学科日本史学専修卒業、1989年お茶の水女子大学大学院人文科学研究科舞踊教育学専攻修了。2001年早稲田大学スポーツ科学学術院助教授、2007年より教授。研究テーマは、モダンダンスの技法・スタイル研究、1920年代浅草における舞踊とダンサー、など。近著に「日本人のからだ・再考」(共著)。