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▼新年号

新総長就任

2010年11月5日付で法学学術院の鎌田薫教授が第16代総長に就任しました。

グローバル社会における知の具現、挑戦する人材の育成を目指す

改革の足元を固め新たな取り組みを展開

第16代総長
鎌田 薫(かまた・かおる)
略歴はこちらから

 このたび、第16代総長に就任いたしました鎌田です。どうぞよろしくお願いいたします。

 加速するグローバル化や技術革新、環境の変化、新興国の胎動など、先行きを見通すことが極めて困難な中で、大学には教育・研究機関として新しい時代を切り拓くために積極的な役割を果たすことが期待されています。

 奥島元総長、白井前総長は、本学の「建学の精神」にのっとり、国際化への対応や新しい時代の要請に応える学問の発展に関して最大限の努力をしてこられました。その基本的な姿勢を承継し、本学はグローバル社会における知の具現、挑戦する人材の育成を通じて、この歴史的転換期を乗り切る先導的役割を果たしたいと考えています。そのためには、これまで築いてきた改革の足元を固め、内部の連携を強める必要があります。学内体制の整備や連携の強化により、本学が従来持っている潜在的な力を発揮し、さらなる発展を目指します。

 本学はこの10年間で、専門職大学院や独立研究科、さらには東京女子医科大学など3大学と共同大学院を設置しました。また、理論と実践を活用し、問題解決能力や政策立案能力、マネジメント能力などを身に付けた高度専門職を養成するような、専門教育の充実を図ってきました。2012年度には大学院国際コミュニケーション研究科を開設(認可申請予定)し、世界の潮流である広義のコミュニケーション研究に対する専門的知識を備えた社会人・研究者の養成を英語で行います。

 一方、2010年9月より政治経済学部、理工系3学部および各大学院にて文部科学省の国際化拠点整備事業(グローバル30)が始まりました。これにより本学は、日本で最も多く英語だけで学士号および修士号を取得できるコースを設置している大学となります。また、社会的ニーズの高まりに応え、新規分野としてオープン教育センターで健康医療に関する科目を拡充することなどを検討しています。それにより自然科学と人文・社会科学とに通暁した人材を、狭義の医療分野のほか、医療ジャーナリズムや医療行政、病院経営などの幅広い分野に輩出していくことを目指します。

多様性が生み出すダイナミズムを最大限に活用

 現在の日本では、英語を使って外国の企業や機関の人たちと対等にコミュニケーションができる能力が求められています。本学では4,000名近い外国人留学生が学び、1,700名の早大生を海外に送り出すなど、国際化に関してかなりの実績を挙げてきました。学部段階から、全学共通科目として英語のスピーキング、ライティング、ヒアリングを強化する授業を設置していますし、2014年度には、東京・中野区に900名規模の国際学生寮が完成し、日本人学生が留学生や外国人学生とともに生活しながら学ぶ場が整います。さらに世界のトップ大学の授業を学生が自由に聴講できる環境を整備するとともに、本学の講義も積極的に世界に公開していきたいと考えています。

 本学は教育の国際化と並行して、教育の質の向上を目指しています。学生4名にネイティブのインストラクターが1名ついて実践授業を行う「チュートリアル・イングリッシュ」、論文などの文章力向上のための「学術的文章の作成」、数学的思考力を養う「数学基礎プラスα/β」、さらには実験・計量などの方法論科目の充実などを進めています。また、理論だけでなく、インターンシップや、学生がビジネスマンと一緒になって問題解決を探るプロフェッショナルズ・ワークショップ、さまざまな国内外でのボランティア活動など実践を学ぶ機会も提供しています。

 一方、大学院教育では、従来型の研究大学院と、専門職大学院などが併存することの利点を生かし、学理と実務の融合の進化、問題解決型思考による教育方法の改善、多様なバックグラウンドを持った院生の混在による相互刺激と視野の拡大などの相乗効果を発展させていきたいと考えています。

 今日のキャンパスでは、国際化による外国人学生の存在、産学官連携や専門職大学院を中心とした社会人の増大など、ますます多様化が進んでいます。近年、研究面においては、資料や設備などの資源と人材を共通化することで教育・研究の効率を高める動きが広まっています。本学でも、多様で豊富な知見の連携をできるだけ活用し、医理工連携、健康医療教育といった学際性の高い分野の教育も推進しています。伝統的な学問体系を超えた新規分野を開拓、応用、実践することが、本学の多様性が生み出すダイナミズムを最大限に生かす道です。

社会とともに歩み、社会とともに学んできた早稲田大学

 現在は、高等教育機関として研究の成果を問われる時代です。本学は世界的な研究拠点構築を目指す文部科学省のグローバルCOEプログラムに8拠点が選定されるなど、私立大学としてはトップクラスの実績を誇っています。たとえば、ナノテクノロジーを駆使した細胞シートや繊維に溶け込むナノ絆創膏などが生み出されたり、電力の消費を画期的に抑制できるグリーンコンピューティングシステムなどの成果が生まれています。さらに学内連携の強化を図るため、学部・研究科を学術院に統合するとともに、2009年4月には学術院の枠を超えた研究者間の交流を活性化させるべく、研究院をスタートさせました。また、研究活動の分析や評価、研究戦略の企画を担う研究戦略センターも設置しています。これに加えて研究機構やプロジェクト研究所の充実、高等研究所の設置による若手研究者の育成、研究者の雇用の柔軟化などに取り組んできました。今後は附置研究所のオープン化などを進め、外部資金への応募を円滑に行うための研究者マップなども作成していく予定です。

 最後に、私立大学が現代社会の要請に応え続けるためには、その経営基盤の確立が不可欠です。幸い本学の経営は健全であり、2010年もAA+クラスの評価を受けております。ただ、近年の経済財政状況をふまえ、今後もいっそうの効率化を図りながら、教育の質の向上を実感していただけるよう、教育・研究内容を充実させることで説明責任を果たしてまいります。

 また、本学は56万人の校友という貴重な財産を持っています。校友の方々に大学の新たな学問的成果、あるいはスポーツ面、文化面での成果を活用していただけるように、エクステンションセンターなどを通じた学外向けの発信を強化しています。同時に、さまざまな分野で多彩な活動をされている校友の実力や能力を本学における教育・研究に生かし、さらには校友によるアドバイザリーボードの設置などを通して、大学の運営にも生かしていきたいと考えています。

 本学は建学以来、社会とともに歩み、社会とともに学ぶことを伝統とし、誇りとしてきました。国際社会における日本の地位の低下が懸念される今日においてこそ、本学がその使命を果たすことが強く期待されています。グローバル化し、ますます多様化してきている現代の中で、発見され磨きあげられた資質を社会に問い、知の具現を目指し挑戦し続ける人材を送り出す大学を目指して、さらに力強く歩み続けていきたいと思います。皆様のご支援、ご協力をよろしくお願いいたします。

白井総長が、任期を終え退任

 白井克彦第15代総長が、11月4日をもって2期8年の任期を終え退任しました。今後は学事顧問として本学の支援にあたるほか、2011年2月までは引き続き日本私立大学連盟会長を務めます。

退任を前に、佐賀市にある大隈記念館に自筆の書を寄贈。右は秀島敏行 佐賀市長(11月3日)

白井前総長からのメッセージ

 創立125周年の2007年がそのピークでしたが、この8年間、本学はトップスピードで改革を進めてきました。教職員の皆さんは、本当によく頑張ってくれたと思います。また、それを理解し応援してくださった校友、父母、関係者の皆さんにも大変感謝しています。

 これまでグローバル化を進めてきた結果、本学の名前は、世界、特にアジアで知られるようになりました。これからは、その実力を示していく時です。学生、校友、教職員の皆さんの活躍に期待します。

 これからも、できることがあれば本学の発展のお手伝いをするつもりですし、また、より自由な立場で大学や教育を考える仕事をしたいと思っています。

鎌田 薫(かまた・かおる)/早稲田大学第16代総長

1970年早稲田大学法学部卒業、72年同大学院法学研究科修士課程修了、75年博士課程単位取得退学。78年フランス・パリ第2大学客員研究員。78年早稲田大学法学部助教授、83年同教授。2004年早稲田大学大学院法務研究科教授、05年同研究科長、10年11月より現職。専門は民法。09年より法制審議会民法(債権関係)部会部会長などを務める。