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ホーム > キャンパスナウ > 2017 早春号  Front Runner—活躍する若者—

キャンパスナウ

▼2017 早春号

Front Runner—活躍する若者—

学生生活のなかで身につけた視点や能力を生かして活躍している学生と若手校友をクローズアップして紹介するコーナー。
第12回は教育学部3年の木下勇馬さんと、株式会社文藝春秋の浅井茉莉子さんにお話をうかがいました。

楽しみながら、話す仕事を極めたい

略歴はこちらから

木下 勇馬さん/教育学部英語英文学科 3年

 早稲田大学の歴史と今を見学者に伝えるキャンパスツアー。海外からの見学者にも対応したツアーを作ろうと2015年に設置された「Waseda Student Ambassador」(WSA、以下「アンバサダー」)制度で、英語のキャンパスツアーガイドを務めているのが木下勇馬さんだ。月1度ほどのガイドツアーと後輩の研修指導を行い、14人のWSAメンバーをリードしている。

 木下さんがキャンパスツアーに出会ったのは、高校3年生の夏だった。高校の先生の勧めで参加したツアー。早稲田キャンパスの木々や学生の活発な雰囲気に包まれ、「大学らしくていいな」と予想していなかった魅力を感じて受験を決めた。中学・高校を通して得意だった英語を生かそうと、英語英文学科を選択。早稲田に来るきっかけをくれたキャンパスツアーの日本語ガイドを志望し、研修を受けた。

ブータン王国学生ツアーで12人をひとりでガイドする木下さん。ジョークを交えたにぎやかなツアーは終始笑いが絶えない和やかなムードで、訪問者の心をしっかりとつかんでいました

 ところが、日本語ガイドとしては苦戦が続いた。ガイドの研修は膨大な資料の暗記から始まる。キャンパス内の建物ができた年、学部の特徴、出身の著名人、図書館の蔵書数…。それらを覚えて研修に合格した後も、ガイドとして独り立ちするまでに「先輩に厳しく怒られたこともあった」という。つまずきかけた2年生の夏ごろ、WSA制度が設置されることを聞いて転身を決意した。始めてみると、大勢に向かって説明する日本語ガイドとは異なり、少人数の見学者と会話をしながら説明するアンバサダーには自由度があった。「しっかりしたプログラムに沿うより、相手に応じて自由に話す方が自分には向いていることが分かった」と木下さん。適性が花開き、さまざまな国の見学者から好評を得るアンバサダーとなった。

 自由度はあるものの、同時に相手に応じてツアー内容を変える臨機応変さも必要とされるのがアンバサダーの難しさだ。木下さんは、見学者の国籍によって事前に下調べをして、より興味を惹きそうな内容をツアーに盛り込んでいる。米・シカゴ大学からの見学者が来校した際は、1910年に早稲田大学とシカゴ大が当時の安部球場で野球の試合をしたことを紹介。現在の中央図書館が球場跡地であることを伝えると、大の野球ファンであった見学者は「知っているんですね」と大喜びしてくれた。「臨機応変に話すために勉強は必要だけれど、話す仕事は楽しい」と感じた瞬間だった。

 アンバサダーの経験を経て「人前で話す度胸や、人に伝える表現力が身についた」という木下さんは、今、アナウンサーなどの「話す仕事」に強い関心を寄せている。人気職業ではあるが、焦りはない。「好きなことを見つけ、それを続けて、仕事に結びついたらそれが一番ですね」。人には流されず、自分の信条に軸足を置いて学生生活を送っている。

木下 勇馬(きのした・ゆうま)さん/教育学部英語英文学科 3年

千葉県出身。2014年早稲田大学教育学部英語英文学科に入学。現在も千葉県内から通学しており、電車内での読書は日課。洋書にも抵抗なく挑戦する。流行に乗るよりも、時代に流されない良いものを好む性格で、骨董市や古着屋で気に入ったものを探すのが趣味。サークル活動も活発に行っており、早稲田祭関係のイベントでは1千人以上の人前でMC を務めるなど、「話す」役回りが多い。