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キャンパスナウ

▼2015 早春号

Front Runner―活躍する若者―

学生生活のなかで身につけた視点や能力を活かして活躍している学生と若手校友をクローズアップして紹介するコーナー。
第4回は大学院人間科学研究科1年の岡田まりあさんと、松竹株式会社の新垣弘隆さんにお話をうかがいました。

自分の心を揺さぶられたものに全力で取り組む

略歴はこちらから

新垣 弘隆さん/松竹株式会社 映像本部 映像企画部 映画企画室 プロデューサー

 大学受験で訪れた早稲田キャンパスのパワー、熱気に圧倒され「ここしかない!」と直感した。学生時代は“感受性を磨く”ことに徹し、1年次は毎晩夜中に映画を5〜6本観ていたため、授業は3限から。サッカーサークルにも所属しめいっぱい青春を謳歌した。生活が一転したのは、1本のマイナーな洋画に心を揺さぶられたのがきっかけだ。

 「父親の影響で幼い頃から映画を観るのは好きでしたが、作りたいわけではありませんでした。しかしエンドロールに流れた配給会社の名が目に留まり、自分の目利きで海外の素晴らしい作品を多くの人に届けるバイヤー(映画の買付け)という仕事を知ったことで、自分の夢が見つかったのです」

 まずは英語力が必要と考え、夏・冬の長期休暇の度にアルバイトで貯めた私費で語学留学。4年次にはアメリカ・ウィスコンシン州のベロイト・カレッジへ一年間の交換留学。留学先では「舞台芸術」や「映画音楽」など日本にはない授業を選択し、勉強と称してオペラやダンス、ライブなど、さまざまな芸術に触れる日々を送った。

 「どの授業も感受性を磨くことにつながりました。映画における音楽効果についての授業の課題で、30秒の短いシーンに音楽を当てはめ発表することがありました。映画も音楽も大好きな自分の発表が一番だと思っていたのですが、ミッキーマウスの白黒映画にヒップホップを合わせたクラスメイトの発表に度肝を抜かれ、映画の奥深さを学びました」

米国留学時代にルームメイトのアッサンと。彼は今でも生涯の親友

 海外映画のバイヤーを目指して入った映画業界では真逆の、邦画のライツビジネス(著作権ビジネス)に携わり、「男はつらいよ」など邦画の旧作を掘り起こす事業に従事。その一環で巨匠・木下惠介監督の実話を基にした映画「はじまりのみち」を全くの未経験ながらプロデュースしたところ、目標以上の経済効果を表わし、木下作品への注目が高まった。その実績が認められたのか邦画製作部門へ異動し、今は2015年8月公開の映画「日本のいちばん長い日」の製作にプロデューサーとして奔走している。

 洋画ではなく邦画を扱い、バイヤーではなくプロデューサーになり、やりたかったこととは真逆だけど、目の前の仕事に全力で取り組んできたと笑って話す新垣さん。一貫して胸に抱いているのは、自分がそうだったように、人の心を揺さぶる作品を提供するという夢だ。

「やりたい夢が見つからないのが普通です。学生には、夢が見つからない自分を肯定し、自分の感覚を信じて目の前にあることに全力で取り組んでほしいですね。ゼミ、サークル、アルバイト…何でもいい。無我夢中で取り組んでいると夢につながります。仕事にならなくても、きっと人生の役に立つはず」

 早稲田で学んだことが一生の誇り、もう一度早稲田で学び、いつか大隈講堂で講演してみたいと熱弁する新垣さん。多くの人の心を揺さぶる作品づくりに励んでいる。

新垣 弘隆(あらがき・ひろたか)さん/松竹株式会社 映像本部 映像企画部 映画企画室 プロデューサー

大分県出身。2003年早稲田大学教育学部卒業後、松竹株式会社入社。2005年ライツビジネスの営業担当などを経て、2014年より現職。松竹稲門会事務局長。早稲田ラグビーの熱狂的ファンで、試合会場まで観戦に行き、4年間練習を重ね最後の試合で10分間出場した選手の活躍を観て「俺はお前が頑張ってきたこと知ってるからな!」と目頭を熱くさせるほど。早稲田グッズの収集癖があり、趣味のマラソンの練習でエンジのジャージを着て荒川を走りながら一人悦に入って楽しんでいる。