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ホーム > キャンパスナウ > 2014 錦秋号  Front Runner―活躍する若者―

キャンパスナウ

▼2014 錦秋号

Front Runner―活躍する若者―

学生生活のなかで身につけた視点や能力を生かして活躍している学生と若手校友をクローズアップして紹介するコーナー。
第3回は先進理工学研究科1年の吉田智輝さんと、キヤノン株式会社の井戸田晴信さんにお話をうかがいました。

市場の変化に合わせたビジネスを展開できるグローバル人材に

略歴はこちらから

井戸田 晴信さん/キヤノン株式会社 医療機器事業部 医療機器事業統括センター

 もともとは欧米志向。大学1、2年の夏休みはアメリカとカナダへ短期の語学留学をした。カナダで親しくなった韓国人のルームメイトに誘われ、何の気なしに遊びに行った韓国は、ただただ衝撃の世界。それが運命を変えた。1999年のことだ。

 「1997年のアジア通貨危機で大打撃を受けた韓国が復興しようとしている時期でした。街中では労働者によるデモが起こり、大学では学生たちが一心に勉強している。日本とのギャップに驚く一方で、この変動している環境に身を置けば、何か自分を変えることができるんじゃないかと考えました」

 言葉も文化も分からないまま、すぐに韓国・高麗大学への交換留学を決意。当時、共に韓国へ留学したのはわずか3名だった。最初の1年は何を見ても新鮮で、ワクワクしっぱなし。それだけでは足りないと早稲田を休学してもう1年留学を延長した。その間、韓国の人たちとのつながりが深くなった半面、靖国問題や歴史教科書問題に対する日本人としての意見を問われることがつらいときもあったと言う。

高麗大学への留学中、テニスを通じて言葉や文化などを学び、交流を深めた。写真中央でトロフィーを持っているのが本人

 「留学当初は自分の主張ができるほど知識がなかったため、確証を持って意見できませんでした。でも日本人として“分からない”というのは議論しようとしている相手に失礼で恥ずかしいことだと思い、必死に勉強して自分なりの考えを持って伝えるようにしました。アジア諸国は第二次世界大戦への感情が根深いため、自分の意見を持って議論をする覚悟がないと留学もビジネスも難しい地域です」

 ビジネスの現場でもそれを実感した。キヤノン株式会社に入社後は販売推進業務に就き、留学経験を生かして韓国を担当。他地域の担当者から聞く情報を自分の担当エリアに落とし込む方法を考えるなど、グローバルな視点で市場の動きを見ながら販売戦略を練る。現在は中国・韓国・台湾など医療関係で急伸中のアジアの国・地域を担当。ビジネスでは日本語・英語・韓国語・中国語の4カ国語を流暢に操る。

 自分の考えがしっかりしていれば何でも挑戦させてくれる環境だと、仕事に対してポジティブな井戸田さん。学生には、多様性を受け入れる器を磨いてほしいと話す。

 「日本人同士ならある程度予想通りの結論になる空気感というものが、他国の人とのビジネスでは通じないことが多くあります。しかし仕事を進めるためにはベクトルを合わせなければなりません。大切なのは、自分にはない価値観を理解し相手を認めること。学生の間に多様な人々と交流し、“自分と違う”ことへの受容力をつけてほしいと思います。その点、地方出身の学生や外国人留学生などの多い早稲田は、留学せずとも学内で十分に多様な価値観、文化、性別の違いに触れることができる良い環境ですね」

 市場の成熟度に合わせたビジネス戦略を展開できるグローバル人材、それが井戸田さんの目指すキャリアビジョンだ。

井戸田 晴信(いどた・はるのぶ)さん/キヤノン株式会社 医療機器事業部 医療機器事業統括センター

高知県生まれ。2004年早稲田大学教育学部卒業後、キヤノン株式会社に入社。半導体露光装置の直販営業・販売推進業務に従事。2007年より半導体露光装置の輸出入業務、2009年よりアジアトレーニー制度で2年間の中国留学などを経て、2011年より医療機器事業部でX線パネルや眼科機器の販売推進で中国・韓国など東南アジアを担当。中学から始めたテニスは韓国留学時代に大会で優勝するほど。現在も実業団で活躍している。