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キャンパスナウ

▼2018 早春号

Feature

学生の未来を拓く早稲田の奨学金

Part04 Message

支援を活かす奨学生たち

 奨学金の支援を活用して有意義な学生生活を送る学生や、その後社会に出て活躍する校友に、奨学金の大切さについてお聞きしました。

文学部 
土方くるみさん(2014年入学)
受給した奨学金

  • 大隈記念奨学金
  • 山田泰吉・あさ奨学金
  • 日本学生支援機構奨学金
早稲田大学で過ごしたかけがえのない4年間

 当初、家族が学費の負担がよりかからない国立大学に進学してほしいと希望していましたが、学べる内容と校風から早稲田に行きたいと思った私は、親に相談の上、希望通り早稲田大学に進学しました。教職課程も取っていたので、アルバイトをする時間がなかなか取れませんでしたが、日本学生支援機構奨学金と学内奨学金をあわせて、学費と生活費を調達したことで、勉強と研究に集中することができました。本を買う余裕も生まれ、旅行に行くこともでき、充実した学生生活を過ごすことができました。卒業後、4月からは夢だった高校教師として教壇に立つことが決まっています。教え子たちには大学の情報だけでなく奨学金の支援についても情報を提供し、将来の選択肢を広げるお手伝いをしたいと思っています。

教育学部
姫野智子さん(1999年卒業)
受給した奨学金

  • 大隈記念奨学金
自分を鼓舞するために大隈記念奨学金に挑戦

 教育学部の数学科に入学したばかりの私は、大学数学の難易度の高さに面食らい、学ぶ目的を見失いかけていました。そんなとき、たまたま掲示板に貼り出されていた大隈記念奨学金の受給者の名前に知人の名前を見つけ、雲の上の存在だと思っていた奨学金の存在が急に身近なものになったのです。「私も頑張れば受給者になれるかも!」と思う気持ちを数学に向き合うモチベーションにして、1年間とことん勉強しました。その結果、数学の奥深さや楽しさを知ることとなり、受給者にも選ばれ、大きな自信を身に付けることができました。この、「最初苦手だと思ったことを、好き・得意にできた」経験は就職活動の面接時にも役立ち、その後の人生にも良い影響を与えています。学生に自信と誇りを与える成績優秀者を対象とした奨学金は、大きな意義があると考えています。

国際教養学部
キム・ヒョンテさん(2012年入学)
受給した奨学金

  • 公認会計士稲門会奨学金
  • 私費外国人留学生
    授業料減免奨学金(要確認)
  • 学習奨励費
奨学金とアルバイトでやり遂げた留学生活

 早稲田で学ぶ留学生は、ほぼ全員が奨学金を申請しています。私は学費と生活費を全て自分で賄っているので、アルバイトにも多くの時間を費やしていました。しかし、4年生で就職活動が始まると時間が足らず、奨学金が生活の助けになりました。勉強とアルバイトの両立は楽ではありませんでしたが、大変な状況も自分の力で乗り越えてきた経験から自信が生まれました。実は3年生の時、奨学金の申請を失念してしまったのですが、有給のインターンに応募して、貴重な経験と生活費を得ることができました。世界中で働きたいという希望と合致したので、その会社で4月から正社員として働きます。親の支援がなくても、少しの工夫と努力で夢は叶うと思っています。

先進理工学部
権田真太朗さん(2014年入学)
受給した奨学金

  • 高木幹記念海外留学奨学金
  • 日本学生支援機構奨学金
奨学金で実現した留学で将来の展望が広がった

 高額の留学費用を稼ぐためにアルバイト漬けの毎日を送っていた私は、勉強の時間が減り成績が悪化して、追い詰められていました。そんなとき、あまり期待せずに申請していた給付型の奨学金を受給できることになり、その結果アルバイトを減らし、勉強に集中できるようになりました。理系学部はカリキュラム上、4年で卒業することとの両立が難しいことから、留学を躊躇する人が少なくありません。しかし1年の留学生活で得た経験は、学問への興味を高め、私の人生に大きな糧を与えてくれました。今は、海外の大学院も視野に入れて、勉強に励むとともに奨学金の情報収集も始めています。人生の可能性を広げてくれた奨学金に感謝しています。

寄付者からのメッセージ

奨学金寄付者の皆様から、学生支援にかける思いを語っていただきました。

好きな研究に専念できる環境を

照田喜美枝建築学奨学金
照田喜美枝大学院進学支援奨学金
照田喜美枝さん

 奨学金設立のきっかけとなったのは、私の父である故・照田一二三が墨田区に造営した自宅(照田家住宅)が2008年、創造理工学部建築学科の中川武研究室の協力で、国の登録有形文化財の指定を受けたことでした。この時、日本の近代都市住居の保存と活用を研究する大学院生を支援したいと強く思い、「照田喜美枝建築学奨学金」を設立したのです。その後、総長をはじめ、教職員・学生の皆様とのお付き合いを深める中で、より多くの学部生が経済的な心配なく大学院に進学し、好きな研究に専念できるように支援したいと考え、2017年、新たに「照田喜美枝大学院進学支援奨学金」を創設しました。

 学生の皆様には、在学中は勉強を存分にして、卒業後には国内外で世のため人のために活躍していただくことを期待しています。皆様の夢を実現するために奨学金が少しでも役立てられれば、これほどうれしいことはありません。

 皆様のご活躍を心から応援しています。頑張ってください!

永く勤務した機械工学科への気持ち

オリーブ・佐々木洋子奨学金
佐々木洋子さん

 私は約40年間本学職員をつとめましたが、そのうち14年間、理工学部機械工学科連絡事務室に勤務しました。先生方、学生の皆様にとても良くしていただき、今でも卒業生との交流が続いています。その恩返しになればという思いで寄付をし、この奨学金を設立しました。

 この奨学金の特色は、当時の学生には私の名前よりニックネームだった“オリーブ”の方がわかりやすいということで「オリーブ・佐々木洋子奨学金」とその名を冠した点、また奨学金設置後に卒業生、先生方からもご寄付をいただいている点です。OB・OGの会である早稲田大学機友会のニュースレターに投稿し、卒業生に声をかけてきました。その結果、実際に多くの皆様からご支援いただき、おかげさまで2017年度からはさらに奨学金給付額を増やすことができました。学生と卒業生の絆を結び、学生を支援する輪がどんどん広がる―この奨学金がそのきっかけになったら幸いです。

起業をキャリアの選択肢のひとつに

鈴木啓太起業支援奨学金
鈴木啓太さん

 在学中に起業を志す学生の皆様に対して、少しでも学業および事業に特化していただける環境づくりの一助になればと思い、本奨学金の設置を早稲田大学にお願いいたしました。

 現在卒業される皆様の多くは、企業や官公庁への「就職」を目指すものと思われます。それ自体は全く否定されるものではありませんが、実は自然の流れとしてそのように進路が確定されているとすれば、個人的にはとても不思議なことです。本奨学金を通じて、皆様が起業もキャリアの選択肢のひとつとして考えていただければ幸いですし、あるいはすでに内在する起業家マインドの啓発のお役に立てれば、これほどうれしいことはありません。