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キャンパスナウ

▼2017 早春号

Feature

学生の未来を拓く早稲田の奨学金

Part01 Interview

全ての学生に“諦めない”学生生活を

早稲田大学 理事(学生、附属・系属校担当) 教育・総合科学学術院
村上公一教授

 早稲田大学の奨学金(以下、「学内奨学金」)の歴史は長く、少なくとも大正時代には学内奨学金が存在していました。今日に至るまで、国や学生の状況に合わせて柔軟に制度を更新しながら、意欲ある学生や経済的に困難な学生を支援してきました。

 学内奨学金の大きな特徴といえるのは、国や他大学に先駆けて進化をし続けていることです。例えば近年、返済が必要な貸与型奨学金の問題点が取り沙汰され、政府も返済不要の給付型奨学金を拡充する方針を打ち出しました。本学の奨学金にも、以前は貸与型がありましたが、2008年には全ての学内奨学金が給付型に切り替わっています。また、受験前に学内奨学金を予約できる「めざせ!都の西北奨学金」や、児童養護施設や養育里親家庭等で育った方を対象とした「紺碧の空奨学金」など、新しい独自の学内奨学金も生まれています。経済的困難に対する支援はもちろん、アスリートや成績優秀者など学生の頑張りに対する奨励、留学や起業などのチャレンジに対する支援と、現在約150種類の多様な形態の学内奨学金が用意されています。

 多様な学内奨学金が用意できるのは、多数の支援者の存在があるからです。「後輩を支援したい」「早稲田大学の意欲ある学生を支援したい」という思いを持つ校友や篤志家が多いことは本学の強みであり、個人単位の寄付による学内奨学金は毎年のように新設されています。いただいた奨学資金が学生へ支給され、学生は本学で思う存分学び、社会に出て活躍し、今度は後輩の支援者になる。そのような支援の循環を確立させるため、相談体制の整備、奨学金受給学生と支援者との交流に加え、今後は受給学生同士が卒業後も交流できる場を設けたいと思います。

 国内でもトップクラスの充実した奨学金制度を持つ本学ですが、学内奨学金だけで学生生活の全てをカバーするのは現実的ではありません。学内奨学金は、他の公的な支援を補完するのが理想の姿であり、日本学生支援機構や自治体、民間の奨学金と組み合わせることで、より充実した支援が受けられます。さらに、学内での経済支援という面では、学内アルバイトのスチューデント・ジョブも支援のひとつです。2016年度は、授業の合間等の時間を利用して、約8,000人の学生が教務補助、事務補助などに従事しました。学内外の奨学金を受給しつつ学内で働くことで、学費と生活費を賄うことができれば、勉学・課外活動ともに充実した学生生活を送ることができるでしょう。奨学金とスチューデント・ジョブは、本学の経済支援の両輪として、どちらも充実を図っていきます。

 学生が多様な経験を積むためには、どうしても資金が必要な場面があります。本学は、受験生や在学生がどんな立場にあっても学生生活を“諦めない”ための支援を第一に考え、多様な支援メニューで学生の意欲に応え続けていきます。

62万人の先輩が学生を支援「早稲田大学校友会」

 早稲田大学の同窓会組織である「早稲田大学校友会」。すべての卒業生(校友)が会員となり、校友の参加によって運営されています。校友会奨学金の給付や「100円朝食」提供協力、全学生を対象にした「校友会支援講座」の実施、卒業生との交流イベント開催などで、学生生活や就職活動を支援しています。

 校友会は年間予算の多くを奨学金・母校支援費として大学に寄付しています(2016年度の支援総額:2億5,528万円)。さらに、大学公式クレジットカードの「早稲田カード」は、カードの利用金額に応じて奨学資金を大学に寄付しています。これまでの奨学金累計金額は18億9,093万6,778円(2017年10月現在)に上ります。これらは、めざせ!都の西北奨学金、校友会給付奨学金などの資金となり、毎年約1,100人の学生に奨学金として給付されています。
http://www.wasedaalumni.jp/

大隈記念講堂で開催される校友会奨学生証授与式。奨学生代表が校友に向けて謝辞を述べる

校友会費納入者にのもとに届く『早稲田学報』では、毎号奨学生の声も紹介されている