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▼2017 早春号

進化する大学

社会人を対象として2017年に立ち上げた新事業「WASEDA NEO」。早稲田大学のリソースを活用し、従来の社会人教育にとどまらない新しいサービスを提供していきます。本事業について、立ち上げの意図や今後の展望を伺いました。

略歴はこちらから

あらゆる社会人が集いイノベーションを生む新しい学びの場づくり

太田 正孝/早稲田社会人教育事業室長 WASEDA NEO マネジングディレクター 商学学術院教授 博士(商学)

利用者と大学が共創するオープンイノベーション

「WASEDA NEO」は、グローバルビジネスの展開やイノベーション創出を目的として、実践的研修プログラムや学びの場のコミュニティサービスを提供する新事業です。変革志向の強い社会人や企業を主たる対象に、都心部にあり交通アクセスに恵まれた日本橋キャンパスにおいて2017年9月からプログラム提供をスタートしました。

 これまでは伝統的に、研究・教育機能を広く社会へ開放する“知の開放”の観点から生涯教育の役割を担ってきました。特に早稲田大学では1886年より『早稲田講義録』の刊行や巡回講話の開催を通じて、全国津々浦々の中等高等教育を受けられない方々に学びの機会を提供するとともに、経営面でも早稲田大学を支えていました。こうした役割は、1981年設立のエクステンションセンターによって再開され、オープンカレッジ(公開講座)など多様な学びの場を提供しています。いまやエクステンションセンターは国内最大規模の公開講座事業を展開する組織となり、学内で確立された研究・教育を一般向けに開放する“知の開放”の実績を着実に積み重ねるとともに、優れたノウハウを築いてきました。

 一方、WASEDA NEOが目指すのは、新しい知の獲得ならびに創造的な価値提起を促進するBlendipity※の実現であり、学内外の研究者と実務家との交流を通じた社会イノベーションの促進です。こうした過程を通じて開発される製品、サービス、ノウハウは大学本体が新しい教育プログラムを編成する際にも役立つでしょう。利用者だけでなく、大学にとってもウイン・ウインとなるオープンイノベーションを目指しています。学内外、国内外を問わずオープンマインドで新しい考えを取り入れるという意味において、WASEDA NEOは本学のバックボーンである「進取の精神」を今日の社会人教育ニーズにフィットさせたものなのです。

高い機動力で時代をリードするノンディグリープログラム

 日本橋キャンパスでは現在、変革志向を持つビジネスパーソンを対象としたセミナーや、会員制の学びの場であるコミュニティサービスを提供しています。講師には本学教員だけでなく、国内外の実務家や研究者を積極的に巻き込んでいます。本学には各界で活躍する教員と校友の優れたヒューマンキャピタルがあるため、それを梃子に「ハイブランド、ハイクオリティ、ハイパフォーマンス」なサービスを提供していきます。現在、段階的に各種プログラムを設置しておりますが、10月からは早朝出勤前の時間を活用できる「日本橋ブレックファストセミナー」も開設し、2ヵ月間で約100人に受講していただきました。

 WASEDA NEOが提供するプログラムの大きな特徴は、学位取得を目的としないノンディグリープログラムであることです。社会人教育に関しては、MBAなどのディグリープログラムが重視される傾向にありますが、時代のニーズに迅速に対応する社会イノベーションの開発にはノンディグリープログラムはよりフィット感が高いと言えます。設置までに多くの時間や手続きを必要とするディグリープログラムとは異なり、ノンディグリープログラムはタイムリーに設置できる優位性があるからです。また、本学教員は既存知識を教えることだけでなく、当然のことながら未知の分野を探求する潜在力も有しており、こうした研究者の強みを機動的に生かせるのもノンディグリープログラムの魅力です。現在提供しているプログラムとしては、University of Pennsylvania Wharton Schoolなど世界のトップビジネススクールと共同開催しているGlobal Resilient Leadership Program、日本社会の未来を切り開いてきた各界のパイオニアをお招きする月例パイオニアセミナー、さらにはデザインシンキング、ファシリテーション、プレゼンテーションスキルといったコミュニケーション能力を中心に学ぶ講座などを設置しています。さまざまなニーズに応えて今後さらにプログラムの設置をすすめ、多様な分野の知が混ざり合うことで画期的な発想が出現する“知のグローバル楽市楽座”へと着実に進化していきます。各学術院の先生方から新しい教育の試みをWASEDA NEOにご提案いただければ、プログラムとして設置できるようコーディネートいたします。

アジアの価値を発信するパイオニア育成に向けて

 質の高い学びと交流の機会は、個人に提供するだけでなく、企業などの組織にも提供していきます。オープンイノベーションに参画する企業や業界の発展、さらにはアジアの価値を世界に発信する創新的なグローバルリーダー育成にも貢献したいと考えています。WASEDA NEOらしいプログラムをデザインするとともに、多くの人にBlendipityの醍醐味を堪能していただけるコミュニティづくりの“地ならし”を続けております。

※WASEDA NEOでは「変革志向の人が出会い、交わる場と機会を提供することで、価値あるものを発見してもらう」ことを一言で表すコンセプトとして「Blendipity(Blending+Serendipity)」を提唱している

WASEDA NEOの提供するサービス

 現在、出勤時間前や就業時間後を自分の成長のために投資したい個人を対象としたオープンプログラムを設置。今後は昼間にもさまざまな分野の実践的研修プログラムを予定する。その他、各業界のイノベーターたちによる講座が受講でき、日本橋キャンパス内のビジネスセンターやラウンジも利用できる会員制の「パイオニア・コミュニティ」も提供している。

太田 正孝(おおた・まさたか)/早稲田社会人教育事業室長 WASEDA NEO マネジングディレクター 商学学術院教授 博士(商学)

早稲田大学エクステンションセンター所長(現職)のほか、これまで大学院商学研究科長(Waseda Business School を含む)、早稲田大学常任理事(教務、国際担当)等を歴任。最近の著書に、『カルロス・ゴーンの経営論』(日本経済新聞出版社、2017年)など。