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キャンパスナウ

▼2017 盛夏号

進化する大学

所沢図書館では、2017年4月に学生の主体的な学びをサポートするスペース「ラーニング・コモンズ」を設置し、個人からグループまで学習の目的に合わせて利用できる環境を整備しました。開館30周年を迎えた所沢図書館の取り組みや、図書館が目指す姿について伺いました。

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所沢図書館

人が集い学び合う“場”としての図書館へ

小川 渡/所沢図書館 課長

自然を取り込み地域とつながる図書館

 所沢キャンパスのちょうど中心に位置する所沢図書館は、1987年の人間科学部設置とともに開館しました。以来、書籍や資料などの学術情報資源の提供、学習環境の整備によって、教員や学生の研究・学習を支援してきました。緑に囲まれている立地を生かして、学習の合間にリラックスできるスペースをつくったり、大きな窓で自然の風景を取り込むなど、館内には至るところに所沢の魅力を生かした空間づくりがされています。また、日頃から本学への温かいご理解をいただいている近隣市民(所沢・飯能・入間・日高・狭山)の方々には、地域貢献の役割を担うために図書館を閲覧利用していただいています。今年5月からは乳幼児の同伴入館が可能となり、より多様な学生・教員・住民の方々が利用できるようになりました。

長時間過ごしたくなる“滞在型図書館”を目指して

 開館30周年となる今年4月、早稲田大学図書館では初となる「ラーニング・コモンズ」をオープンしました。ラーニング・コモンズは「Waseda Vision 150」で掲げる「対話型、問題発見・解決型教育」のための新しい図書館づくりの一環として、①所沢キャンパスで最もグローバルなエリア ②課題解決型の学習が可能なエリア ③長時間居たくなるエリア というコンセプトの下に、従来のAV資料コーナーや書架スペースを圧縮してつくりました。ちなみに、北米を中心とした世界では、資料をずらりとそろえただけの従来型の図書館から、資料をペーパーレス化し、空いたスペースを利用者の学習・交流活動に活用してもらう“場”としての図書館へ移行する潮流があります。所沢図書館も、ひとりでの調べ物からゼミのプレゼンテーションの練習にまで活用でき、学生が長時間居たくなるような“場”としての図書館を目指しています。

 ラーニング・コモンズ自体は、学内では「W Space」をはじめとした先行事例もありますが、所沢では図書館の特性を生かすことで、新しい魅力を生んでいます。ひとつは、従来の書架・閲覧スペースとグループ学習のスペースを隣接させることで、個人学習とグループ学習の相乗効果を狙うこと。ゼミの仲間同士で勉強する前後に個人で予習・復習をしたり、グループ学習中に近くの書架から原典資料を探して参照したりすることで、学習効果の向上が期待できます。

 もうひとつは、人的リソースを使ったソフト面のサービスができることです。ラーニング・コモンズ内に設置したサポート・エリアでは、ライティングセンター、グローバルエデュケーションセンター、キャリアセンターのスタッフが定期的に相談コーナーを開いています。さらに、このエリアには大学院生によるラーニング・アシスタント(LA)も配置。毎日の授業に付随するようなアカデミックな質問から資格試験の勉強方法まで、学生生活全般における“よろず相談”に乗っています。プロジェクターやホワイトボードなどハード面の完備に加え、学生にとって身近な存在である図書館でソフト面のサービスを提供することも、学習の質の向上に貢献できると考えています。

所沢独自のサービスで自律的な人材を育成する

 ラーニング・コモンズを設置してから半年経ちましたが、グループ学習エリアの予約は順調に入っています。学生がLAに気軽に相談する姿も見られ、概ねうまく活用され始めたとみています。図書館全体の来館者数も、今年4月~7月は約4万5千人と、昨年同期の4万2千人を3千人上回っており、新たな取り組みの成果だと捉えています。今後の課題としては、利用状況やニーズを詳しく調査すること、LAの調整や相談への対応能力の向上などがあります。引き続き、学生のより効果的な学習につながる方策を検討してまいります。

 また、所沢キャンパスの優位性を強調して、所沢独自のサービスを展開していくつもりです。今回新設されたラーニング・コモンズを利用した展示会やオープンゼミなど、館員の中では既に具体的なアイデアが出ており、一つでも多く実現させたい。それによって学生の意欲を刺激し、学びのために工夫する自律性のある人材の育成に貢献していきたいと考えています。

ラーニング・アシスタントの声

大学院 人間科学研究科修士2年
谷貝祐介さん

 大学生活は、わからないことだらけだと思います。特に、レポートや論文なんて、どこから手をつければよいかもわからないですよね。そんなとき、自分ひとりで考えることも必要ですが、誰かに聞いてみることも重要な経験になると思います。私たちラーニング・アシスタントは、そのためにいます。ぜひ、気軽に相談できる先輩としてラーニング・アシスタントを利用してもらえるとうれしいです。レポートだけではなく、進路や演習の不安など、どんな話題でも構いません。お待ちしています!

小川 渡(おがわ・わたり)/所沢図書館 課長

1990年4月早稲田大学入職。商学研究図書室、理工学図書室などを経て、2015年6月より現職。