早稲田大学の教育・研究・文化を発信 WASEDA ONLINE

RSS

読売新聞オンライン

ホーム > キャンパスナウ > 2016 盛夏号 進化する大学

キャンパスナウ

▼2016 盛夏号

進化する大学

大学の新しい組織・制度など、進化する大学のしくみについて解説します。
第10回は、大学史資料センターです。

略歴はこちらから

大学史資料センター

情報発信を担う早稲田の記憶の水源地

大日方 純夫/大学史資料センター所長

社会への発信と研究・教育への貢献

早稲田人名データベースの作成中。専門知識を持ったスタッフが古い資料をもとに着々とデータを蓄積していく

 大学史資料センターは、早稲田大学の歴史に関する資料の収集・公開、展示会やシンポジウム、研究・教育活動を幅広く手掛けている機関です。その業務内容は多岐にわたりますが、中心的なものをいくつかご紹介しましょう。

 まず第一に早稲田大学に関する資料の受け入れ、整理、保存、公開業務があります。昨年度もアルバムや戦争遺品、スポーツ関係など836点の資料を収集しました。そのほとんどが、校友や大学関係者の方々からのご寄贈や、学内からの移管文書です。一昨年度は元衆議院議長の河野洋平さんからお父上である一郎氏の遺品をご寄贈いただきました。

センター所蔵資料の一部。戦前の写真や書などが所狭しと並ぶ

 センター所蔵の資料は閲覧を申し込めばどなたでもご覧いただけますが、あいにく、センターは現在、早稲田から離れた東伏見キャンパスにありますので、少し不便です。そこで、いつでもどこでも資料を利用できることを目指し、データベースの構築にも力を入れています。現在、Webサイト上で、「早稲田人名データベース」や「写真データベース」等を公開しています。マスメディアや出版社からの問い合わせも年々増えていて、大学の歴史への関心が高まっていることを実感しています。ただ、人手不足で対応しきれていないのが辛いところです。

 センター業務のもう一つの柱は、企画展の開催です。大隈記念室(2号館)での常設展示も担当していますが、毎年二回開催される企画展は、センターが最も力を入れている事業の一つです。今年の春季は「早稲田の通信講義録とその時代 1886- 1956」展を行いました。手前味噌ですが、インパクトを与える展示ができたと思います。この秋には、戦後のスタートの時期を扱う展示を企画しています。(次ページ右下参照)

 この他、出版事業としては、昨年3月に完結した『大隈重信関係文書』全11巻をはじめ、毎年、定期的に『早稲田大学史記要』を発行しています。

 また、2009年度からはオープン教育センター設置科目として「早稲田学」を開講し、学生の皆さんに早稲田大学の歴史を学ぶ機会を提供しています。

『早稲田大学百五十年史』編纂の本格始動

 以上の通常業務に加えて、センターは今、もう一つの大きなプロジェクトに取り組んでいます。2032年の創立150周年を期した『早稲田大学百五十年史』編纂事業です。「Waseda Vision 150」の核心戦略の6「早稲田らしさと誇りの醸成を目指して—早稲田文化の推進」に位置づけられ、百五十年史編纂委員会のもとで進められていますが、その事務局がセンターに置かれ、ここで具体的な編集を行っています。

 大学史資料センターの前身は『早稲田大学百年史』編纂のために設置された大学史編集所です。『百年史』の完結から約20年を経て、センターは再び年史編纂に取り組むことになったわけです。『百五十年史』では、資料集はデータベースとしてWebサイト上で公開し、叙述部分はできるだけ簡潔で分かりやすい内容とすることになっています。

 また『百年史』では十分に扱うことのできなかった戦後の歴史を重点的に取り上げることになっています。しかし、戦後の資料はまだまだ不足しています。校務の実際がわかる教職員の資料や学生生活に関するものなど、資料をお持ちの方がいれば、ぜひ、ご提供いただきたいと思います。文字資料だけでなく、写真や映像などの収集にも積極的に取り組んでいきます。

大学のアイデンティティと社会的責任

 1882年の創立以来、130年以上に及ぶその歴史は、早稲田大学にとってかけがえのない財産です。もちろん、それは輝かしいものばかりではありません。負の遺産も含めて、真摯に向き合い、検討を加え、発信していくことが、各界に多くの卒業生を送り出してきた早稲田大学の社会的責任であり、また、そのような作業を経てこそ、より良い未来像を描くことができると考えています。

 大学史資料センターは早稲田の記憶の水源地です。未来への糧とすべき、財産の蓄積と発信を、これからも続けていきます。

『百五十年史』編纂のための資料をご提供ください

 百五十年史の編纂にあたっては、資料収集が不可欠です。大学に残されている記録物だけでは、制度史しか作れません。当時の学生が何を思い、どのような学生生活を過ごしたのかが分かる生の資料を求めています。スナップ写真や講義ノート、映像など、個人にとっての思い出の品が重要な資料になります。資料のご寄贈、ご提供をお願いいたします。

連絡先:
大学史資料センター
電話:
042-451-1343
E- mail:
archives@list.waseda.jp
早稲田大学建学の理念がわかる常設展示室「大隈記念室」

 大隈の遺品類をはじめ、選りすぐりの資料を通して、輝きの中に苦悩と挫折を併せ持った大隈の生涯を描き出しています。

場所:
早稲田キャンパス2号館1階大隈記念室(入場無料)
時間:
10:00 ~ 17:00(休館日あり)
『図録 大隈重信の軌跡』発売中

 大隈記念室の展示資料を中心に、さまざまな興味深い資料を新たに加えて、解説しています。

A4判・72ページ

定価:
1,000円(税込)
問合せ:
大学史資料センター
秋季企画展「占領期の早稲田(仮)」

 戦災にみまわれたキャンパスの再建、理念や組織の再編、スポーツ・文化活動の再開といったトピックに焦点をあて、戦後、早稲田大学が再出発する姿を活写します。

場所:
早稲田キャンパス26号館大隈記念タワー10階125記念室
会期:
2016年9月30日(金)~11月6日(日)(休館日あり)
問合せ:
大学史資料センター

大日方 純夫(おびなた・すみお)/大学史資料センター所長

早稲田大学大学院文学研究科博士課程修了。博士(文学)。東京都立商科短期大学教授を経て、1999年より早稲田大学文学学術院教授。2010年より、大学史資料センター所長。