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キャンパスナウ

▼2014 錦秋号

進化する大学

大学の新しい組織・制度など、進化する大学のしくみについて解説します。
第3回は、2014年度より「早稲田アスリートプログラム(WAP)」を始めた早稲田大学競技スポーツセンターです。

略歴はこちらから

早稲田大学 競技スポーツセンター

文武に秀でた学生アスリートの成長をサポートし、
社会を支えるグローバルリーダーを輩出する

川口 浩/早稲田大学 競技スポーツセンター所長、野球部長 政治経済学術院教授

スポーツを通じて
“人間としての成長”を促す

 早稲田大学を代表して活動する体育各部は44あり、約2,500名の学生が所属しています。競技スポーツセンターは、それら全体を統括し、全ての部員の競技活動を支えています。

 大学におけるスポーツ活動の目的は、世界で活躍するトップアスリートの輩出だけではなく、むしろ学生アスリートの人間的成長を促すものです。学生一人ひとりが競技力を高めるために切磋琢磨し、困難を乗り越えて勝利したときの喜び、あるいは敗北したときの悔しさを体験することで、人間としての成長を遂げると考えています。

 当センターでは、優れたコーチングスタッフの招聘をはじめ、施設の整備や活動費の補助、健康診断・血液検査の実施、スポーツ安全保険の加入、部員の心のサポートなど、競技力の向上のみにとどまらない支援を行っています。また、スポーツ科学学術院が研究・実習の場として「スポーツ医科学クリニック」を設け、スポーツ選手の医科学的サポートを提供している点は、先進的な取り組みといえるでしょう。

「早稲田アスリートプログラム」

 体育各部に所属する全ての学生が高いレベルの文武両道を体現し、社会性と豊かな人間性を兼ね備えた人間として成長することを目的に、2014年度より「早稲田アスリートプログラム(WAP)」をスタートしました。創立150周年の2032年に向けた中長期計画“WasedaVision 150”を進める上で当センターとして取り組むべき方向性と具体的内容を定めたもので、「人格陶冶のための教育プログラム」と「修学支援」の2本の柱で成り立っています。

人格陶冶のための教育プログラム

 人格陶冶のための教育プログラムは、部活動と両立しながら学生アスリートとして必要な教養やリーダーシップスキルを修得することを目指しています。①アスリートとしての教育プログラム、②キャリア形成支援プログラム、③ボランティア・地域貢献活動支援プログラム、④国際交流プログラムの4プログラムから成り、これまで各部が個別に行っていた活動を当センターが組織的に行うことで、より体系的な学びの機会を提供できると考えています。

 すでにオリジナルテキストの配付やCourseN@viを用いたオンデマンド授業の配信、学内外の講師を招いた講演会・セミナーを実施。また、スポーツボランティアや海外の大学との国際交流への参加などを通して、多様な価値観を涵養し、豊かな人格の形成を促します。

高いレベルでの文武両道を目指す修学支援

 修学支援は、①全ての部員の学業情報の把握、②アカデミックアドバイザーによるサポート、③褒賞制度(成績優秀者・団体を表彰)の3つの制度から成り、その最大の目的は体育各部の学生が学業の面でも優秀な成績を修め、不本意な留年に陥ることなく標準修業年限で卒業することです。

 成績不良を未然に防ぐために学年・学期ごとに最低基準単位数を定め、学業成績が基準に満たない場合は体育各部部長と連携して、練習参加の制限や対外試合への出場停止などを含む指導を行います。また、アカデミックアドバイザーを配置し、単位取得のアドバイスや学習面のサポートを行うと同時に、優秀な成績の団体・個人の表彰も一体的に行っていきます。表彰されることは、文武両道の証でもあり、誇りにつながるでしょう。

大学スポーツの
新たなモデルを目指して

 WAPのような学業と部活動の両立を目的とした取り組みは、アメリカに先例があり、日本の大学ではほとんど行われていませんでした。しかし、大学スポーツの盛り上がりにつれ体育各部に所属する学生の裾野が広がっている状況の中で、今後、日本の大学全体で“大学スポーツとは何か”を考え、これまでの歴史と現状に即した、学生アスリートの価値を最大化するための教育的施策が必要となるでしょう。

 明治30年前後の時期に体育各部が誕生して以来、日本の大学スポーツを牽引してきた早稲田大学が、WAPの成果を上げることで、スポーツ界の新たなモデルを示したいと考えています。

 

川口 浩(かわぐち・ひろし)/早稲田大学 競技スポーツセンター所長、野球部長 政治経済学術院教授

中京大学専任講師、同助教授などを経て、1994年早稲田大学政治経済学部助教授、1996年同教授。2004年より早稲田大学野球部長、2011年より早稲田大学競技スポーツセンター所長(2014年9月20日付で任期満了で退任)。

早稲田大学競技スポーツセンター Webサイト
http://waseda-sports.jp/

早稲田アスリートプログラム
WASEDA ATHLETE PROGRAM(WAP)2本の柱
教育内容の公開への取り組み
 アスリートとしての教育プログラム

NHKエグゼクティヴアナウンサーの刈屋富士雄さん(1983年社学卒・漕艇部OB)を招いて行った2~4年生対象の講演会「アスリートセミナー」

早稲田大学を代表して戦う学生アスリートとして必要な心構えや知識といった基本的なスキルを学ぶ。
 キャリア形成支援プログラム
センター主催のインターンシッププログラムや就職支援行事を通じて、卒業後(競技引退後)の自身の姿について深く考える機会を提供する。
  ボランティア・地域貢献活動支援プログラム
スポーツボランティアを通じて、早稲田スポーツを支えている方や地域への感謝の気持ちを育む。
  国際交流支援プログラム
海外の大学との交流を通じて競技力の強化を図るとともに、国際交流を通じてグローバル視点や思考力、感性といった人間的な価値の育成を目指す。

地域の方や早稲田スポーツファンの方と交流する学生たち

CourseN@viを用いたオンデマンド授業

早稲田アスリートプログラム・オリジナルテキスト

修学支援
 全ての体育各部員の学業情報の把握
成績不良者を未然に防ぐため、学年・学期末ごとに取得すべき最低基準単位を定め、4年間(標準修業年限)での卒業を促す。学業成績が所定の基準に満たない場合は、部長が面談を行い、練習時間の制限や対外試合の出場停止を含む指導を行う。
 アカデミックアドバイザーによるサポート支援
アカデミックアドバイザーを配置し、単位取得のアドバイスや学習面のサポートを行う。
 褒賞制度
文武両道の証として優秀者・団体を表彰し、自信と誇りを醸成する。
●最優秀学業成績
平均GPA(成績評価方法の一つ)が最も高い部を団体賞として表彰する。
●最優秀学業成績個人賞・優秀学業成績個人賞
学年ごとに平均GPAが高い部員上位10%を優秀学業成績個人賞として表彰し、さらにその中から1人に優秀賞を表彰する。