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キャンパスナウ

▼2014 盛夏号

進化する大学

大学の新しい組織・制度など、進化する大学のしくみについて解説します。
第2回は、2014年2月に誕生した早稲田大学大学総合研究センター(大総研)です。

略歴はこちらから

早稲田大学 大学総合研究センター / Center for Higher Education Studies(CHES)

大学のあるべき姿を考え、新しい教育方法を提案・検証

橋本 周司/早稲田大学大学総合研究センター所長、副総長 理工学術院教授

自律的・持続的に進化する大学を目指して

 大学総合研究センターは、大学の教育、研究、経営の質向上に資する自律的・持続的な大学改革を進めることを目的に、2014年2月に設置されました。「高等教育研究部門」「教育方法研究開発部門」の2つの部門からなり、高等教育に関する研究および授業方法の企画・開発・普及促進とその実践を支援する機関です。当センターが中心となって本学の高等教育のあり方や大学経営、教育方法について常に検証・見直しを行う体制を整えることで、進化する大学を目指します。

高等教育研究部門
Center for Higher Education Research(CHER)

 高等教育研究部門(以下、CHER)は、高等教育のあり方や理念など高等教育全般についてを常に考究する、早稲田大学ではこれまでになかった組織です。当面は高等教育研究を専門とする学内の教員を中心に高等教育のあり方や理念の研究、あるいは本学の社会的役割と教育成果に対する評価・点検活動、入学試験を含む高等教育に関するさまざまな調査や分析を進めます。そしてこれらの研究活動の基盤となる、教育や経営に係る各種データの収集・分析(IR: Institutional Research)を恒常的に行うことにより大学改革のエンジンとなる組織を目指します。

教育方法研究開発部門
Center for Teaching, Learning and Technology (CTLT)

 教育方法研究開発部門(以下、CTLT)は旧遠隔教育センターと旧FD(Faculty Development)推進センターを統合し、さらに発展させた組織です。オンデマンド授業やCCDL(Cross-Cultural Distance Learning)などをはじめとするICT(情報技術)・遠隔教育を基盤とした教育手法の研究開発や普及はこれまで通り継続しつつ、同時に、反転授業など新たな教育手法の普及により“対話型、問題発見・解決型教育”への移行を加速させるなど、教育方法論の研究と実践の連携を進めようとしています。

※反転授業:
教室で講義を受け、より高度な演習問題を宿題として課す従来の授業方法を反転させ、講義部分はオンデマンド化して事前学習させ、教室ではグループワークやディスカッションなど演習を中心とした学習を行う授業方式。

早稲田のあるべき姿を考え続ける

 本学は、“Waseda Vision 150”において創立150周年となる2032年に向けて取り組む改革の方向性をまとめました。その土台となったのは「高等教育機関としての早稲田大学のあるべき姿」です。1990年代以降、日本の社会は大きく変化し、大学はその要請にさまざまな形で応えてきました。一方で大学は、教育という視点から社会に対して課題を指摘し、その課題を解決する人材を育成する存在でもあります。10年あるいは20年先を見据えた本学の弛(たゆ)みない改革には、高等教育を専門とする教員による研究成果だけでなく、教職員の改革に対する意識の共有も必要です。CHERは、高等教育が社会に果たす役割を定義し、早稲田大学の進む道を考えます。

 また、ここ数年間のeラーニングやブレンディッドラーニングの普及には目覚ましいものがあります。多様な教育方法の登場は、大学の授業は教室で教員が学生に講義するものという従来の概念を覆し、大学教育のあり方を変えようとしています。CTLTは、新しい教育方法の研究、開発を行うとともに、その普及を図ります。

※ブレンディッドラーニング:
eラーニングと対面授業を効果的に組み合わせた授業方式。反転授業もブレンディッドラーニングの一つの形態。

人が躍動するキャンパスへ

 早稲田は授業の内容など大学をオープンにすること、そして世界中から人が集まるキャンパスにすることで国際化を進め、学生がグローバル人材となるキャンパスを目指しています。多様な人々が交わりながら経験を積むことで、さまざまな角度から物事を見ることのできる思考の柔軟な学生・教職員が育つでしょう。そうした問題発見・解決型の人材が社会の問題を解決するのです。社会あるいは日本に早稲田があって良かったと思われる大学を目指し、まずは学内での大総研の認知度を高め、高等教育や本学のあるべき姿を考究していきたいと思います。

 新設であるCHERは、第一歩として、具体的な取り組み内容の明確化を進め、今秋からの実働を目指しています。また、既に始動しているCTLTも含め、定期的に早稲田大学の将来を語り合い、情報共有する場を設ける予定です。同時に、教育システムや大学経営のモデルを国内外に公表することで、アジアのリーディングユニバーシティとしての確固たる地位を築いていく所存です。

橋本 周司(はしもと・しゅうじ)/早稲田大学大学総合研究センター所長、副総長 理工学術院教授

1970年、早稲田大学理工学部応用物理学科卒業。1979年東邦大学講師、1989年同助教授、1991年早稲田大学助教授を経て、1993年より早稲田大学理工学部教授。専門は計測・情報工学。理工学術院長、理工学部長、理工学研究科長などを歴任。2010年11月より早稲田大学常任理事に就任。2014年2月より大学総合研究センター所長を兼務。

早稲田大学大学総合研究センターWebサイト
http://web.waseda.jp/ches/

教育内容の公開への取り組み
オンデマンド授業コンテンツの活用、展開の一例
 WASEDA COURSE CHANNEL(WCC)
早稲田大学が公開する授業映像・資料を集約したサイトで、119科目、約1,600コンテンツを公開しています(2014年6月現在)。
Webサイト:http://course-channel.waseda.jp/
 iTunes U
iTunes上に開設した早稲田大学専用チャンネルに、850動画コンテンツを公開しています(2013年7月現在)。パソコンだけでなく、iOSモバイル端末にも対応しています。
 講義動画
講義の概説紹介あるいは講義初回分をオンデマンド形式の映像としてあらかじめ収録し、Webシラバスより全学生・教職員が閲覧できる体制を構築。授業内容の透明性を高め、科目選択の幅を広げることを目的としています。2014年度春学期は144科目、168コンテンツを公開しています。
 JMOOC(日本オープンオンライン教育推進協議会)運営支援
無償で大学が提供する講義を受講でき、課題をこなすことで修了認定まで受けることができる大規模なオンライン講座MOOCの日本版の取り組みを運営支援しています。2014年6月より政治経済学術院の栗崎周平准教授による「国際安全保障論」の講座提供をスタートしました。
Webサイト:http://www.jmooc.jp/
Good Practiceの普及・展開
「Waseda e-Teaching Award」

早稲田大学でICTを活用した授業のGood Practiceを表彰する取り組みとして2012年度よりスタートしました。