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▼新年号

教室の窓から

「教育の早稲田」と呼ぶにふさわしい質の高い教育を実践している取り組みをご紹介します。

早稲田大学では、ファカルティ・ディベロップメント(以下FD)を推進するため、2008年にFD推進センターを設立し、教育の質を高めています。社会科学総合学術院の上沼先生に、同学術院で導入された「Course N@vi 標準パッケージ」について伺いました。

※ ファカルティ・ディベロップメント(Faculty Development)……教員が授業内容・方法を改善し向上するための組織的な取り組みの総称

上沼 正明(かみぬま・まさあき)早稲田大学社会科学総合学術院 略歴はこちらから

Course N@viの利用率向上で教育環境の充実を目指す

上沼 正明/早稲田大学社会科学総合学術院

基本的機能をパッケージ化し、簡単な操作で利用が可能に

 Course N@vi標準パッケージは、学習・教育用のサポートツールであるCourseN@viの基本的な機能をあらかじめひとまとめにしておくことで、教員が比較的簡単な操作でシステムを利用できるようにしたものです。本学術院では2011年度の4月から全科目にスタートアップとして設定し、独自に運用を開始しました。教員・学生の双方にとっての利便性を高め、授業改善などに寄与することが目的です。

 もともとCourse N@viは2007年度に全学でリリースされたもので、多機能かつ自由度の高い設計であることから、専任の教員を中心としたヘビーユーザーは自分なりにカスタマイズするなどフレキシブルに使いこなしています。反面、そうした特徴が初期設定の複雑化を招いているのも事実。そのため非常勤の教員など使用頻度が比較的少ないユーザーがシステムをスムーズに使いこなせるようになるには、多少の手間と時間が必要となります。こうしたことから、システムの有用性を感じながらも授業への導入に二の足を踏む教員が少なからずいました。

 本学術院の執行部では、数年前からCourse N@viの操作に関する講習会を開催するなどして、教員のサポートを行ってきました。ただし、それだけでは限界があるため、もっと踏み込んだ施策が必要であると考えていましたし、職員側からもシステムの利用率向上を望む声が挙がっていました。教職双方が意見を出し合う中で辿り着いたのが、システムをパッケージ化するという構想でした。教授会の方針決定を受けて以降、関係各所から協力を得ながら具体的な仕様を詰めていくことで、ようやく標準パッケージが完成したのです。

 その導入を開始してから半年以上が経過しました。前期が終了した時点でアンケートをとったところ、Course N@viが全科目の約75%で利用されていることが分かりました。2010年度後期の利用率は50%程だったことから、標準パッケージが多くの教員に受容されるようになったと実感しているところです。

レビューシートを使って一人ひとりにコメント

教職協働の成果を挙げる仲間たち

 Course N@viにおいて私が個人的に重宝している機能は、学生が授業の感想や理解度などを記入する「レビューシート」です。授業の進め方の参考にしているほか、私は一つひとつにコメントを付けるようにしているため、学生個人に語りかけられる貴重な場だと感じています。

 その中で私が学生に伝えたいと考えているのは、授業では「分かっていないことに気づくこと」に意味があるということです。レビューシートを通じて私に何かしらの答えを直ぐ得ようとする学生が結構いるのですが、教員はあくまでも学生が考えるためのきっかけやヒントを与える存在にすぎないと考えています。学生には、授業で分からないと感じたことについてフロートさせて自分自身でさまざまに思考を巡らせ、あるいは、それにまつわる経験を積み重ねるといったことをしてほしい。そうすれば、あれこれが巡りあって授業の内容が突然ストンと腑に落ちる日が訪れるはずです。そのような過程が学びであり、教育のあるべき姿ではないでしょうか。

教員と職員の連携が深まっている

 さて、印刷物の教材とは異なり、CourseN@vi上の電子教材はすぐに改訂することができます。現在、本学術院では語学教材などに関する改善提案が職員から積極的に挙げられており、教員と職員相互の協力の下で順次進めているところです。このような職員による手厚いサポートが得られるようになったのも、Course N@viの利用率向上による恩恵と言えるでしょう。というのも、採点簿の授受などの手間が省けるなど職員の業務効率が大幅に改善されており、皆が教育の質向上といった取り組みにより力を注げるようになっているからです。今後は教員と職員の連携をいっそう深め、さらなる教育環境の充実を目指したいと考えています。

標準パッケージ機能概要

 Course N@viは、教育効果を高める支援機能満載の早稲田オリジナルシステムで、2007年度より全学に導入されています。社会科学総合学術院では、以下の機能を標準パッケージ化しました。

お知らせ 講義フォルダ
履修者リスト 出席管理
レビューシート 講義の資料BOX
レポートBOX 成績管理 など

Course N@vi利用のメリット

負担軽減と経費削減、環境配慮につながり、効率的に研究や業務に取り組める。
ペーパーレス化を進められる。
資料を掲載し、会議や連絡を効率的に運営できる。
成績管理などセキュリティ対策となる。

上沼 正明(かみぬま・まさあき)/早稲田大学社会科学総合学術院

早稲田大学大学院経済学研究科修了。社会科学部助手、専任講師、助教授を経て、1993年より現職。専門分野は政策科学。趣味はウォーキング、水泳、バード・ウォッチング。