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▼新緑号

教室の窓から

「教育の早稲田」と呼ぶにふさわしい質の高い教育を実践している取り組みをご紹介します。

教育の質をさらに高めるために早稲田大学はファカルティ・ディベロップメント(以下FD)を推進しており、2008年にFD推進センターを設立しました。教務部副部長時代に、全学的なFD推進体制の確立に貢献した横山教授に、FDによる授業の進化や学生への期待などをお話しいただきました。※ ファカルティ・ディベロップメント(Facurty Development) ……教員が授業内容・方法を改善し向上させるための組織的な取り組みの総称

横山 将義/早稲田大学商学学術院教授 略歴はこちらから

考え方を養い、個性を引き出す。それが「質の高い授業」の一つの形。

横山 将義/早稲田大学商学学術院教授

教育の質を上げ、学生の成長につなげる

 早稲田大学におけるFDの考え方は、基本的に「教員からのボトムアップ」です。FDを推進する以前から、個々の教員は積極的により良い授業のあり方を追求していました。制度など一定の枠組みを構築することが必要ですが、実際に授業を行う教員の自主性を大切にした方が成果は上がると考えています。

 最終的な目標は、教育の質を上げることによって学生の成長につなげることです。授業を受けて新しい世界を知った、もっとレベルの高いことを学びたいと学生に思ってもらえる。そのような授業をしなければなりません。

 そのためには教員個々人のFDに対する意識をさらに高めていくことが大切ですし、ポータルオフィスを中心としたサポート体制、教員と職員との協働がこれまで以上に重要性を増していくでしょう。

Course N@viで授業スタイルが変わった

 授業の質を高めるツールの一つがCourse N@viです。私は2007年度からCourse N@viを使い始めました。以来、自分の授業スタイルが大きく変わったのを実感しています。

 150人近くの学生が出席する大教室での授業の場合、以前ならば私と学生との関係は1対150でした。しかしCourse N@viを使えば、学生一人ひとりが何を求めているのか、何が分からないのかが直に伝わってきます。「1対150の関係」から「1対1の150通り」の関係になるのです。学生とインタラクティブな関係を築け、声を授業に反映できる。これは教育の質を高める上で非常に効果的です。

 この2年間のデータを見ると、学生の成績が上がってきています。Course N@viで小テストができますし、予習復習にも使えます。教室での小テストの解説もCourse N@vi上でできる。授業を補完するツールとしてとても役に立っており、それが成績にも表れているのでしょう。

 ただ、課題も浮かんでいます。Course N@viでのテストに比重を移したため、レポート提出の回数を減らしました。近年、学生の文章表現力の低下が危ぶまれています。学生の文章力を高める仕組みが必要でしょう。また、教員の作業量が増えてしまうことも課題の一つです。

自分で考え、自分で答えを導き出していく

 私は、授業を通して学生にものの見方・考え方を身につけてほしいと思っています。よく出るのが「なぜ数学を学ぶのか」という議論です。世の中に出たら数学は役に立たない、と言われがちですが、数学を学ぶことで論理的な思考力を養うことができます。その力は将来企業に勤めて顧客と交渉する際にも役に立つでしょう。数学に限らず、さまざまな授業を通してものの見方・考え方を養ってほしいと思います。

 そして、自主的に学ぶ姿勢が必要です。自分で考え、自分なりの答えを導き出していく。その姿勢が一人ひとりの個性を高めることにつながりますし、私たちは個性を引き出す授業をしなければいけないと思っています。

Course N@vi(コースナビ)

 Course N@viは、教育効果を高める支援機能満載の早稲田オリジナルシステムで、2007年度より全学に導入されています。主な機能に、

  • ●教員から受講生への「お知らせ」メールの送信
  • ●授業で利用する資料のアップロード
  • ●教員や受講生同士の意見交換(電子掲示板)
  • ●小テストやアンケート
  • ●レポート受付

などがあります。

横山 将義(よこやま・まさのり)/早稲田大学商学学術院教授

早稲田大学商学部卒業、大学院商学研究科博士課程単位取得満期退学。博士(商学)。主な専門分野は経済政策、国際経済学。教務部副部長時代にFD推進センターの開設準備に関わる。08年より商学部教務担当教務主任。