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キャリアの羅針盤 学生と進路選択

中野 修一(なかの・しゅういち)教育学部 教員就職アドバイザー 略歴はこちらから

いつの時代も求められるもの
それは教育への使命感と情熱

中野 修一/教育学部 教員就職アドバイザー

企業の採用担当者や専門職の養成に携わっている方に、その分野で求められる人材像についてお聞きします。今回は本学で教員就職アドバイザーを務められている中野さんに、教員に求められる資質について伺いました。

教育者としての信念があれば
壁は乗り越えられる

 社会でグローバル化や情報化が急速に進展するなか、教員にも時代に応じた資質が求められています。1997年に発表された教育職員養成審議会による答申では「今後特に求められる資質能力」として、「地球的視野に立って行動するための資質能力」、「変化の時代を生きる社会人に求められる資質能力」などを挙げています。そのため大学在学中、学生たちにはサークルやボランティア活動などを通じてさまざまな立場、年代の人々とフェース・トゥー・フェースでの交流を行ってほしいと考えています。多様な価値観に触れることで視野が広がりますし、コミュニケーション能力や課題解決能力も磨かれるからです。

 ただ、どのような時代においても一番大切なのは、人に何かを教えたり子どもたちを支え成長を見守ったりすることを喜びにできる心です。逆にそういうことにやりがいを感じられなければ採用試験で苦労するでしょうし、現場に出てからも行き詰まる可能性があります。教員を志す前に、まずは自分の素質をきちんと見極めることが必要でしょう。

 また、そうしたベースの上に教育者としての確固たる信念を築いてほしいと考えています。実際に教養審の答申には「いつの時代にも求められる資質能力」として、教育者としての使命感、人間の成長・発達に関する深い理解、子どもたちへの教育的愛情などが挙げられています。教育は国や社会の発展を支える土台にもなるものですから、常に大きな視野に立ち、使命感や情熱を自らの核として取り組んでほしいですね。近年の教育現場はさまざまな問題を抱えており、教員が厳しい場面に直面することも多々ありますが、教育者として信念を持ち合わせていれば壁は乗り越えられると信じています。

意欲がある学生には
すぐ現場に飛び込んでほしい

教員就職指導室の様子

 私は教員の資質としてもう一つ大切なものがあると考えています。それは学び続ける姿勢です。「率先垂範」という言葉に表される通り、子どもたちに「勉強しなさい」と言うだけでなく、自らが学ぶ姿勢を示すことが教育者のあるべき姿と言えるのではないでしょうか。特に私が学生たちに伝えているのは、実践家から学んでほしいということです。森信三※や東井義雄※をはじめ、現場経験を通じて培った素晴らしい教育哲学を持った偉大な先達たちの著作を学生時代から読み込むようにしてほしいですね。

 もちろん実際の現場を知る努力も必要です。教員就職指導室には協定を結んでいる新宿区の教育ボランティアや各地の自治体から特別支援学級のサポートなど学校ボランティア募集の情報がたくさん寄せられていますので、こうした情報を活用すれば教育実習を経験する前に、直接現場に触れる機会が得られます。ボランティアに参加する際、学生たちにはぜひしっかりした問題意識を持って取り組んでほしいと思っています。そうすれば得られるものも違ってきますし、採用試験で行われる論文テストや集団討論でその時の経験が必ず生きるはずです。

 昨年起きた東日本大震災を契機に、社会のシステムや価値観の転換が求められています。私自身は新たな日本を担うのは高い志を持った若い人材だと考えています。特に教育現場では教員はもちろん子どもたちも、若い先生を求めています。経験は浅くともより近い目線で接してくれる相手の方が、いろいろな話ができますし、学校運営にも若いパワーが必要ですからね。だから意欲のある学生たちにはすぐにでも教育現場に飛び込んでほしい。そう願って止みません。

※森信三:全国の教育現場に「しつけの三原則」「学校職場の再建三原則」「立腰教育」 などを広めた教育者。数多くの名言を残したことでも知られる
※東井義雄:小学校長として活躍、綴り方教育に情熱を傾ける「どの子も子どもは星」を教育信条に「村を育てる学力」「培其根」など著作多数「ペスタロッチー賞」受賞

キャリアセンターより
民間企業との併願は細心の注意が必要

 教員志望者にとって、民間企業を併願する場合は、就職活動の時期が違うのでスケジューリングには細心の注意が必要です。できれば教育実習に行くまでに民間企業の内定を獲得しておくことが望ましいです。教員採用に関する相談は教員就職指導室が、民間企業に関する相談はキャリアセンターが行っておりますので、大いに活用してください。

中野 修一(なかの・しゅういち)/教育学部 教員就職アドバイザー

埼玉県出身、1972年早稲田大学教育学部卒業。
中学生の時に恩師の勧めがきっかけで教職の道を志す。卒業と同時に埼玉県の教員となり、県内の中学校で教鞭をとる。1998年以降は、校長や県教育局の主席管理主事・主席指導主事などを歴任。また埼玉県中学校体育連盟会長や県陸上競技協会副会長なども経験。現在は本学の教育・総合科学学術院教育学部に設置された教員就職指導室で、幅広い視点に立った就職指導を行っている。

教育学部教員就職指導室
主に採用試験の対策指導を通じて、教員を目指す学生たちをサポート。論文添削や面接指導などの個別相談を行っているほか、キャリアセンターと連携しての採用情報提供、年6回開催している教員就職指導会では教育関係者による講演会や集団討論の練習など実践的プログラムを実施。学生たちに貴重な場を提供している。

オープン時間(個別相談の予約は不要)
月~金 10:00~17:00
土   10:00~15:00