早稲田大学の教育・研究・文化を発信 WASEDA ONLINE

RSS

読売新聞オンライン

ホーム > キャンパスナウ > 早春号 キャリアの羅針盤

キャンパスナウ

▼早春号

キャリアの羅針盤 学生と進路選択

大久保 幸夫(おおくぼ・ゆきお)リクルート ワークス研究所 所長 略歴はこちらから

グローバル社会を生き抜く力を大学生のうちに鍛えよう

大久保 幸夫(おおくぼ・ゆきお)/
リクルート ワークス研究所
所長

採用担当者に就職活動の最新事情や、普段どのような意識で採用活動に携わっているかをお聞きする「キャリアの羅針盤」。今回は「人」と「組織」に関する研究機関であるリクルート ワークス研究所所長の大久保さんに、これからの企業人に求められる条件や学生時代の過ごし方についてお聞きしました。

グローバルか、ローカルか?

 就職のために、大学4年間のうちに準備できることは、社会人としての基本的なスキルを磨くことだと思います。大学生は、アルバイトを除けば職務経験がありませんから、「自分が仕事の世界でどのように活躍していくのか」をイメージすることには限界があります。しかも、20~30代は気持ちが変化する時期で、関心の矛先は変わっていきますから、自分の可能性は広くとっておいたほうがいい。普通の人がこの仕事でやっていこうと気持ちが定まるのは、大体40歳頃だと言われています。また、今は上場企業の寿命は40年という時代ですし、転職市場も広がっていますから、入社した会社で一生勤め上げる人は少数派になっています。

 今後、日本の人口が減少し続ければ、過去のような経済成長は望めないため、企業は海外に市場を求めないと生き残ることができません。海外の顧客や外国人の同僚は珍しくなくなり、すべての企業人にグローバル化が訪れます。学生の皆さんも、まずそのことを念頭に置きましょう。一方、生まれ育った地域から出ることなく、地元に根を生やしてネットワークを作って仕事をする人もいます。グローバルかローカルかという二者選択になってくると思いますが、今すぐどちらにするか決める必要はありません。しかしどこかで腹をくくる必要はあるでしょう。

タイムプレッシャーとダイバーシティプレッシャー

 早大生の多くは、グローバル企業で働くことを視野にいれていると思います。グローバル企業が人材に求めている条件は二つ。一つは、タイムプレッシャーに勝てること。グローバルビジネスは24時間動き続けていますから、一晩経ったら状況が変わっていることもあります。そうした変化に迅速に対応する力が求められています。海外を飛び回っても平気な強靭な体力が必要ですし、走りながら考えることのできる行動力も必要です。学生時代をぼーっと過ごしていると、当然のことながらそうした環境に対応できません。

 もう一つの条件は、ダイバーシティプレッシャーに勝てるかどうかです。グローバル企業では、文化も価値観も違う人々と一緒に仕事をします。学生時代は同質的な人間との付き合いになりがちですから、他大学の学生や年齢の違う人や外国人など、自分とは異なる背景を持つ人々と何かを一緒に成し遂げる経験を持ちましょう。早稲田大学には多くの留学生がいるのですから、目の前に大きなダイバーシティチャンスがあります。アクティブな4年間を過ごし、タイムプレッシャーとダイバーシティプレッシャーに耐えられる大人になってください。間違っても、家と大学とバイト先を往復するだけの学生時代を送ってはいけませんよ。ちなみにローカルで仕事をする場合でも、リーダーになれば、二つのプレッシャーはつきものです。

大学4年間は人生の大切な時間

 私自身のことをお話しますと、高校生のときは人見知りで、人前で話すことが大の苦手でしたが、大学入学を機に、違う自分になろうと決意し、落語研究会に入部し、苦手を克服しました。そのことが今、自分の財産になっています。大学時代は自分を変えるチャンスです。行動すればするほど、世界が広がり、自分を変えることができます。

 ご両親にとっては、子離れする大事な時期です。成人した子供をしっかりと自立させるのは親の役目であり、大学4年間はそのファーストステップ。親が子離れしないと就職活動も厳しくなると思います。学生だけでなく、親にとっても大学4年間は大切な時間。悔いなく過ごしてほしいですね。

キャリアセンターより
学生時代に経験を積み、自分を変える努力を

 よく就職活動の時期になると対策予備校に通おうとする方がいます。確かにある程度自分の売り込み方を知っておくことは必要ですが、やはり企業がみているものは、学生生活での経験とそこから得られた力です。その意味において大久保さんの勧める学生時代の経験は、就職活動において大きな武器となることでしょう。こういった経験をしっかりした上でキャリアセンターの対策講座を利用すれば「鬼に金棒」、かなり就職活動を有利に進められることでしょう。

大久保 幸夫(おおくぼ・ゆきお)/リクルート ワークス研究所 所長

1983年一橋大学経済学部卒業。同年株式会社リクルート入社。人材総合サービス事業部企画室長、地域活性事業部長などを経て1999年にリクルート ワークス研究所を立ち上げ、所長に就任。2010年より内閣府参与を兼任。2011年専門役員就任。著書に『キャリアデザイン入門 I II』(日経文庫)、『30歳から成長する!「基礎力」の磨き方』(PHPビジネス新書)など。

リクルート ワークス研究所
1999年設立。株式会社リクルートの中にある「人」と「組織」に関する研究機関。次世代の労働市場のあるべき姿やキャリアなどに関する研究活動、調査活動、情報発信などを通じて、「一人ひとりが生き生きと働ける、次世代社会の創造」をミッションに活動。