早稲田大学の教育・研究・文化を発信 WASEDA ONLINE

RSS

読売新聞オンライン

ホーム > キャンパスナウ > 新年号 キャリアの羅針盤

キャンパスナウ

▼新年号

キャリアの羅針盤 学生と進路選択

太田 友典(おおた・とものり)三井物産株式会社 人事総務部 人材開発室 略歴はこちらから

前例のない仕事を楽しめる好奇心と挑戦心を求めています

太田 友典(おおた・とものり)/
三井物産株式会社
人事総務部
人材開発室

採用担当者に就職活動の最新事情や、普段どのような意識で採用活動に携わっているかをお聞きする「キャリアの羅針盤」。今回は三井物産で採用を担当する太田さんに、商社で働くことのやりがいや学生へのアドバイスをお聞きしました。

未解決の課題に取り組む

 商社の仕事を一言で言えば、「世界中にある課題を見つけて、ビジネスの観点から解決すること」と表現できるのではないかと思います。未解決の課題に取り組むのですから、“誰も行ったことのない土地で、誰もやったことのない仕事”をすることになります。前例のない仕事にチャレンジすることこそ商社の醍醐味と考えています。当社の大切にする理念の一つに“挑戦と創造”というものがありますが、この言葉も当社社員の仕事に取り組む姿勢を端的に表現していると思います。

 もう少し具体的に言えば、ゼロから情報を集め、課題を見極め、周囲の人々を巻き込んでプロジェクトを進めていくことに、嬉々として取り組めるような人が商社に向いているのではないかと思います。大勢の人を動かすことは非常に難しいですし、うまくいかずに悩むこともありますが、そこにやりがいを感じることができる人は商社の仕事も楽しめるのではないかと思います。

 現在、当社の業績は順調で、一見安定して見えますが、世界を取り巻く環境が急速に変化する中で、社員のマインドには、早く次のビジネスの種を見つけ、挑戦しなければならないという強い思いがあります。従来のビジネスモデルに依存しない、新たな仕組みを考え出すことが当社には常に求められているのです。

好奇心が仕事の原動力

 当社では、人材育成の観点から入社から9年の間に2部署もしくは2業務を必ず経験しなければならないという制度があり、環境の変化に適応できる人材となるようさまざまな仕事の経験を積んでいきます。さまざまな仕事に取り組む中で、未知の領域に対しても好奇心と探究心を持つことが、日々学びにつながり、仕事の原動力につながるのだと思います。

 社風は一言で言えば自由闊達。これは、「上司が部下の意見を聞き入れる度量がある」ということを表しています。自分の経験を振り返ると、新人の時上司から「お前はどう思うんだ?」と会議の中で突然意見を求められ戸惑ったこともありますが、徐々にこの風土に慣れ、今では自分の意見を発信し、物事が自分の思いを起点に進んでいくことに働きがいを感じています。若手が上司に向かって意見を主張し、生意気なくらい反抗しても、それが正しく論理的に説明できるのであれば、「失敗してもいいからまずはやってみろ」と見守ってくれます。

根本から考える力をつけ自分の確固とした軸を

 私は、就職活動とはマッチングだと考えています。面接で判断するのは優劣ではなく、お互いの相性が合っているかどうか。自分らしさを隠し、その企業に適した人物を演じて無理に入社したとしても、相性の合わない職場で仕事をするのはつらいだけです。面接では、偽りの自分を見せるより、それまでの人生で打ち込んだことや、楽しかったことを生き生きと語ったほうがいいのではないでしょうか。

 採用を担当していて感じるのは、思考停止に陥っている学生が多いことです。学生から「OB訪問で何を質問すればいいのですか?」と質問され、困惑したこともあります。一因として考えられるのは、大学に入ったことで満足し、自分が将来何をやりたいのか考える機会もなく、就職活動の時期を迎えてしまうことにあるのではないでしょうか。両親も「どう生きるべきか」といった人生哲学のようなものを持たず、大学受験までは過保護に指導し、子供が大学に入った途端に手を放してしまう。初めての挫折が就職活動という例も少なくありません。近頃、中国や韓国などの海外の学生と接する機会も増えてきていますが、日本の大学生が持っていないハングリー精神や、自分の考えの軸を持ち、非常に勉強熱心です。日本の学生は、国際競争に晒されたら太刀打ちできないかもしれません。

 学生の皆さんには、まず、なぜ大学に進学したのかを改めて考え、学生時代しかできないことに打ち込んでほしいですね。英語力を鍛えておくことに越したことはないですが、それよりも、すべての土台となる、自分の頭で物事を考える思考力を身につけてほしいと思います。社会に出ると、正解のない問題ばかりです。特に未解決の課題に取り組む商社の仕事は、自分に確固とした軸がないと判断ができないので、難しいでしょう。時間のある学生時代に、“根本から考える力”を身につけていただきたいと思います。

キャリアセンターより
社会人になるための地力を蓄えよう

 「将来やりたいこと」「社会との関わり方」について自分なりの明確な考えを持つためには、社会が抱える課題の現場をできるだけ多く体験することが必要です。そして、「物事を深く考える力」がなくては、その貴重な体験を成長の糧に転化することはできません。こうした点を意識し、学生時代のできるだけ早いうちに行動を起こしてください。動き、悩み、考える中で、社会人になるための地力を蓄えていってほしいと思います。

太田 友典(おおた・とものり)/三井物産株式会社 人事総務部 人材開発室

2007年、東京大学経済学部卒業。コンシューマーサービス事業第一本部戦略企画室を経て、メディア事業部でBtoCビジネスを手掛ける事業会社の管理、マーケティング、決算管理を担当。2009年より、中国、ブラジル、インドネシア、台湾、ベトナムへの海外展開を手掛け、2010年9月から現職。大学時代はアメフトに捧げた体育会系。

三井物産株式会社
1947年設立(旧三井物産は1876年設立)の日本を代表する総合商社。世界中の顧客ニーズに応える「グローバル総合力企業」を目指し、66カ国にグローバルネットワークを持つ。資源・エネルギー、物流ネットワーク、生活産業、インフラの4つの事業分野で、多岐にわたるビジネスを展開。