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キャリアの羅針盤 学生と進路選択

上原 淳(うえはら・じゅん)東京海上日動火災保険株式会社 人事企画部 人事・採用グループ 課長 略歴はこちらから

働くことにワクワクしてほしい

上原 淳/東京海上日動火災保険株式会社 人事企画部 人事・採用グループ 課長

企業の採用担当者に就職活動の最新事情や、普段どのような意識で採用活動に携わっているかをお聞きします。今回は東京海上日動火災保険株式会社の上原さんにお話を伺いました。

保険とはお客様の発展を支えるもの

 当社は1879(明治12)年に創業した日本最古の損害保険会社です。損害保険はもともと国の経済成長を支えるための仕組みとして考え出され、私たちは創業以来お客様の発展とともに成長してきました。そのためすべての社員が、経済の根幹を成す事業にかかわっているという意識を強く持っており、短期的な利益ではなく、長期的な視点でお客様の発展を支える息の長いビジネスを模索してきたと言えるでしょう。

 保険は経済が発展するために必要不可欠な仕組み。これからもあらゆる企業や個人の挑戦を支援していきます。

小さなことでも「気づく力」を身に付ける

 当社の求める人材像は「自分で考え、発信し、行動できる人材」。当社の商品は保険ですが、お勧めできる商品はお客様によって違いますし、お話をお聞きしながらオーダーメイドでプランを作って提案することが必要です。絶対的な解はなく、お客様の数だけ解がある。ですから、難局にぶつかった時に、慌てたりひるんだりしないで、「必ず解決する」という強い意志を持ち、前向きな姿勢でチャレンジしていく姿勢、また自分の仕事もオーダーメイドで組み立てていくという考え方が大切ですね。

 では、どういう人が自ら考え、発信し、行動できるのかというと、一言「気づく力」のある人だと思います。最近の学生さんを見ていると、「気づく力」が極端に衰えているように感じることが多いですね。主な理由としては、学生さん自身の問題ではなく、気づきがなくても生きていける今の社会にも問題があるのでしょう。学校でも家でも子供をあまり叱らない、叱られないから子供たちはおかしいことに気づかない。「気づく力」を身に付けるための経験が極めて不足しているのです。「気づく力」を身に付けるためには、まず周りの人に興味を持つこと、そして環境の変化に敏感になることが必要です。「気づく」というのは何も難しいことではなく、例えば「通勤途中の道の店がリニューアルしたな」とか、「友達の髪形が変わったな」など、ささいなことの積み重ね。あらゆることに興味を持ち、どれだけ多くの気づきを得られたかで、人間の成長度合いは大きく変わります。アルバイトや部活、そして就職活動でも同じ。「何を目的にしているんだろう?」「なぜうまくいかなかったんだろう?」など、さまざまな視点からの疑問を持てるかどうかで、入手できる情報量も自身の考え方の整理スピードにも大きく差がつきます。当社が求めるのは、そんな「気づく力」を「思考力」につなげて、成長のエネルギーに変えていける人。気づきがないと成長がない。ぜひ学生時代から意識して、「気づく力」に磨きをかけてほしいと思います。私は面接の場で学生の皆さんと接する際、「気づく力」を持っているかどうかを重視しています。

なぜ働くかを考えてほしい

 もうひとつ、必ず確認しているのは、働くことがきちんとイメージできているかという点です。「働くこと」がイメージできていない学生さんに対しては、面接で「あなたにとって働くとはどういうことですか?」「社会に出ることをどう考えていますか?」と何度も問いかけをするようにしています。それがきっかけで学生さんが気づき、成長することを期待しているのです。毎年、なるべく多くの学生さんと会い、気づくチャンスをつくってあげたいと思っています。

 また、最近の採用活動で残念に思うのは、今の学生さんが働くことに対してワクワクせずに、内定を取ることが就職活動の目的になっているということです。しかし本当に大切なのは就職活動中に「何のために働くのか?」「社会に出るとは?」を考え抜くことではないでしょうか。それを考えるには、社会で働く大先輩として一番身近な存在であるご両親と話すことが一番の近道だと思います。

 就職活動で大切なのは、自分の能力や志向を自覚して将来のキャリアを描くことです。その上で、自分自身が10年後に活躍できる企業を選ぶべきでしょう。最近、就職浪人という言葉をよく耳にしますが、その原因は学生さんが有名な企業や特定の業界に絞って就職活動をしているからだと私は考えています。規模の大小や特定の業界にこだわることなく、さまざまな会社を見てもらいたいですね。そして、その企業が本当に自分に合うのかを知るためには、そこで働く社員にどんどん会うべきです。

 最後に卒業生として一言、「早稲田色をどんどん出し、早稲田を誇りにしてほしい」と思っています。

キャリアセンターより
志望理由を明確に

 就職協定があったころの会社訪問解禁日、東京海上ビルの前にずらっと並んだスーツ姿の学生たちの写真が新聞紙上に掲載されていたのをご記憶の方も多いことでしょう。

 損害保険を含めた金融業界は昔も今も学生の人気を集めています。昨年春就職した早大文系卒業生の4名に1名が金融業界へ進みました。いまだに「安定している」という漠然とした志望理由の就活学生もいますが、それは勉強不足。採用試験では禁句です。

上原 淳(うえはら・じゅん)/東京海上日動火災保険株式会社 人事企画部 人事・採用グループ 課長

1994年入社。早稲田大学政治経済学部を卒業。どんな業界にどんな仕事があるのかを知るため、数十人の先輩社会人を訪問。堅いイメージがあった金融業界だったが、自分の仕事に誇りを持って働いている先輩が多かった同社に興味を持ち応募。入社後は、本店でコマーシャル営業部門に6年間、仙台でパーソナル営業に5年間従事し、2005年7月より現職。新卒採用では、「学生さんにとって一生に一度の就活を意義あるものにしてほしい」「仕事をすることを真剣に考えてほしい」という思いで、学生一人ひとりが成長できるような問いかけをし、誠実に接することを心がけている。

東京海上日動火災保険株式会社
1879年創業。従業員数は16,742名(2010年3月末時点)。国内損害保険業界のリーディングカンパニーとして、「安心と安全」の提供を通じた社会への貢献を目指している。