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キャリアの羅針盤 学生と進路選択

北畠 元一 略歴はこちらから

学生の未来と組む。入社後に何をしたいかを重視

北畠 元一/株式会社集英社 人事部人事課課長

 企業の採用担当者に就職活動の最新事情や、普段どのような意識で採用活動に携わっているかをお聞きします。今回は株式会社集英社の北畠さんにお話を伺いました。

出版社の仕事の本質は面白さの追求

 当社では『週刊少年ジャンプ』『non・no』などに代表される雑誌、そしてあらゆるジャンルの書籍を発行しています。雑誌に関しては綿密なマーケティングを実施し、それぞれの年代に最も興味を持っていただける内容にしているため、幼い頃から長らく当社の雑誌に親しまれている方もいらっしゃるかもしれません。

 近年では、出版事業を軸に電子書籍などのデジタル事業、ファッション誌に掲載する商品を取り扱うブランド事業、そしてコンテンツに付随する権利を運用するライツ事業など、当社の事業領域は大きく広がりを見せています。また雑誌の海外出版も始めており、アメリカ版『少年ジャンプ』などは現地でも非常に好評です。

 社会の変化に伴い事業内容は多様化しましたが、私は出版社の仕事の本質はただ一つだと考えています。それは人々を惹きつける魅力的なコンテンツを生み出すこと。言い換えるなら面白さを追求し、それを具体的な形に落とし込むことです。あらゆる事業の核となるものですから、当社にとってコンテンツの創出は非常に重要な要素となります。

基本は「何でもあり」 企画力が大切

 続いて当社が求める学生像についてお話ししたいのですが、正直なところ一般化するのは難しいかもしれません。もちろん「明るい、好奇心が旺盛、礼儀正しい」といった基本的な素養は必要となりますが、それ以上のことを求める場合に、特定の基準が存在しないからです。文学、マンガ、ファッション、ひいては理系の化学や物理まで、学生が何に興味を持ち、どんな勉強をされていても我々は一向に構いません。言うならば「何でもあり」なのです。実際に当社の社員も多様性に富んでいて、実にさまざまなタイプの人間が働いています。

 ただ、これが得意なら仕事で役に立つだろうと思うのは、新しい企画を考えられる力ですね。生み出したアイデアをさまざまな角度から検証して、頭の中でブラッシュアップできればなお良いと思います。先ほども述べたように、出版社では面白いものを作り出すことに価値があるため、企画に強い人はさまざまなシーンで助かるのではないでしょうか。

 また、私自身は学生の将来性を重視したいと考えています。採用の時点で備わっている力も重要ですが、会社ではそれまでの人生以上に長い時間を過ごします。学生の方には自分がどのような人生を歩んできて、入社してから何をしたいかを語っていただきたいですね。我々は「学生の未来と組む」という意識で接しているのですから。

学生時代の経験は決して無駄にならない

 学生時代には興味を持てずに勉強していたことや息抜きのつもりでやっていたことが、仕事に生きるというケースを私はこれまで数多く経験してきました。あらゆる経験が財産になる点は、総合出版社である当社の大きな特徴。学生時代にはさまざまな経験を積み、知識の幅を広げることが大切です。当社を受ける上では無駄になることは一つもありません。

 また、出版社で働く立場から、この業界を志望する学生の方におすすめしたいのは、書店に足を運び、隅々まで見て回ること。陳列された本や雑誌には編集者たちの思いや社会のトレンドが凝縮されているだけでなく、気になる本を意識することで、自分がどのような分野に興味があるかを知る機会にもなります。出版業界を志望する学生の方はもちろん、そうでない学生の方にも、就職活動に取り組む前にはぜひ試していただきたいですね。

キャリアセンターより
本が好きだけでは厳しい業界

新刊出版数が年々増加する一方、景気の低迷、電子書籍の普及、グーグル社の書籍データベース化が火をつけた著作権問題等々、出版業界も難問山積です。「本が好きだから」という素朴な理由で編集者を志望する学生は多いのですが、よくよく聞いてみると、多くは単なる読書好き。業界動向にも疎い。つい「これからは、ベンチャー精神がない人の採用は難しいよ」と、聞きかじった知識でお説教をしてしまいます。

北畠 元一(きたばたけ・もとかず)/株式会社集英社 人事部人事課課長

1959年東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、集英社入社。各種芸能誌で編集を担当し、『Myojo』編集長を経て、2010年5月より現職。

株式会社集英社
1926年設立。従業員数は797名(2010年12月時点)。マンガ、ファッション、芸能、文芸などのジャンルで、あらゆる年齢層に向けた雑誌を発行。また文芸書や文庫本などの出版も行っており、日本を代表する総合出版社の一つである。