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キャリアの羅針盤 学生と進路選択

魚返 善敬 略歴はこちらから

海外で経験した苦労と挑戦にこそ本当の価値がある

魚返 善敬/東芝物流株式会社取締役

 企業の採用担当者に就職活動の最新事情や、普段どのような意識で採用活動に携わっているかをお聞きします。今回は東芝物流株式会社の魚返さんにお話を伺いました。

真のグローバル人材に必要なのはバランス

  当社は東芝グループの物流を統括する会社です。製品の梱包から、どのような輸送手段で運ぶかといった物流システムの設計・運営を行っています。業務上、以前から海外との連携で遂行する仕事は多かったのですが、近年は東芝グループ全体で海外を舞台としたビジネスが加速しており、当社でもグローバルに活躍できる人材がより一層求められるようになりました。実際に2010年の新入社員のうち、その半分以上は海外の大学出身か長期留学の経験者です。

 世間一般では「語学が堪能=グローバルに活躍できる人材」という認識があるように思いますが、当社ではそのようには考えていません。もちろん語学能力は高いに越したことはありませんが、それ以上にコミュニケーション力や柔軟性、そして挑戦心を重視します。日本と勝手が違う海外においては、仕事はなかなか思い通りに進まないもの。そのような状況で必要となるのは、日本とその国の文化や風土を理解した上で、既成概念にとらわれず、周囲と協調・連携しながら局面を打開する力なのです。

 また見落とされがちですが、グローバル人材は健康であることも非常に大切です。海外に行けば要人との交渉などもあり、体調を崩せば相手に迷惑をかけるだけでなく仕事の進捗にも影響します。海外で仕事をする上では自己管理能力が不可欠です。語学に加え、さまざまな能力をバランス良く兼ね備えた人こそグローバル人材と呼ぶことができると思います。

「自分史」を聞かせてほしい

 私は採用試験の面接なども行っていますが、学生にはよく「自分史を話してください」と声をかけます。留学に行った学生であれば「自分を留学へ駆り立てたものは何か」「事前準備にどんな努力をしたか」「自分はどう変わったか、変えようとしたか」「学んだことを今後社会でどう活かしたいか」といったことですね。繰り返しになりますが、大切なのは「何でも見てやろう、食べてやろう」という前向きな姿勢と、状況を変えていくための粘り強さであったり挑戦心です。おそらく海外で生活するにあたり、最初に戸惑わない学生はいないでしょう。友人もいなければ、言葉の壁もあります。そんな状況下で、学生たちがどのような経験を積んで、自分の場所を確保しグローバルな視点を身につけていったかという点こそ、私たちが最も知りたいことなのです。

 当社では選考が進むと、学生にネイティブの人間と会話をしてもらっています。時間は5分程度ですが、学生がどのような時間を過ごしてきたかは言葉使いなどから伝わってくるものです。学生の方々は、ぜひ自信を持って「自分史」をお話しいただきたいですね。

強い好奇心を持って留学へ

 就職先を決めるにあたっては、自分の気質、性格に合ったところを選ぶべきだと思います。たとえば、テンションが高くないとついていけない会社にそうでない人が入った場合、やがてつらくなってしまうのではないでしょうか。普段着の自分でかつ研鑽に励みながら働けるというのは大切なことです。そのためには情報収集が必要ですが、これはネットでは分からない情報です。訪ねて、自分の目で見て、実際に話してみることが重要です。

 入社時は誰もがゼロからのスタート。強い向上心を持っていれば、語学のスキルなどを高めることは十分に可能です。でも、仕事を教わる相手には年下も年配者もいるし、自分の周りに今までいなかったタイプの人もいるかもしれません。だから、謙虚な人、素直な人が伸びます。仕事を通じて社会人として成長していく若い人を見るとうれしくなりますね。

 最後に、これから留学する学生の方には、異文化の人たちとのふれあいの中で、好奇心を持って多くのことを吸収して視野を拡げてくださいとエールを送ります。語学の習得以上に、見知らぬ土地で苦労する経験やグローバルに考える力はかけがえのない財産になるはずです。我々が求めているのは、そんな果敢な挑戦をし続ける学生なのです。

キャリアセンターより
グローバル人材がブームに

現4年生の求人で特徴的だったのは、外国人留学生も含めた「グローバル人材」に対するニーズが急増したことです。あらゆる業界で、グローバル化が待ったなしの状況になっているようです。

魚返 善敬(うがえり・よしゆき)/東芝物流株式会社取締役

福岡県出身、中央大学法学部卒業。(株)東芝入社後、広報・総務部門の役職を歴任。東芝物流(株)では、常務取締役総務部長として、内外のキャリアフォーラムに参加。グロ-バル人材の発掘採用、マスコミにも紹介された新人配属先管理職研修などのキメ細かな人材育成を実施。現在は、建設業経営業務管理責任者を務める一方、学生と企業のパイプ役として活動。僧籍でもある。

東芝物流株式会社
1974年設立。東芝グループ内での物流統括を担うとともに、一般企業への各種物流サービスを行う。中国、アジア、米国、欧州に合わせて13の現地法人があり、グローバルにロジスティクス事業を展開している。