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早稲田大学平山郁夫記念ボランティアセンター(WAVOC)
福島県立双葉高校に学習支援を実施

 早稲田大学平山郁夫記念ボランティアセンター(WAVOC)の活動の一環で、学生6名が栃木県小山市にて8月4~10日にかけて、福島県立双葉高校の11名の生徒に学習支援を行いました。

 学習内容は双葉高校教員のアドバイスを得つつカリキュラム作成。国語、数学、英語の3教科を教えました。白鴎大学の協力により校舎を学習場所として使用し、宿泊場所はNPOライフ(ドメスティック・バイオレス被害者支援シェルター)の協力を得て、被害者一時保護施設であるシェルターに宿泊しました。

福島県立双葉高校学習支援を終えて

兵藤 智佳 早稲田大学平山郁夫記念ボランティアセンター助教

 活動の最終日、高校生がつぶやいた「東京の人たちなんて、福島のことなんか全然考えてくれてないと思ってた。」という言葉が突き刺さる。福島第一原発から3.5キロに彼らの母校、双葉高校は立つ。大好きな学校にもうもどれないかもしれない不安の中で、双葉高校の生徒たちは現在、福島県内の4つの学校に分かれて勉強を続けている。サテライト校として「間借り」している場所では、常に気兼ねしながらの勉強である。冷房もないし、みんなで部活ももうできない。そして、なにより震災が起きたときに彼らに刻まれた記憶は、「支援トラックが福島にはこない」という事実であった。何も悪いことしてないのになぜ自分たちは見捨てられるのかという不信感は、言葉にならない悲しみとして常に彼らの胸の中にあり続ける。

 そういった状況の中、早稲田大学ボランティアセンターの大学生6名は1週間にわたり、栃木県小山市で受験を控えた3年生7名を含む高校生11名に勉強を教えるという活動をした。夜中まで1日10時間以上にわたる「真剣勝負」である。勉強だけでなく花火もフットサルも楽しいこともたくさんした。しかし、未来のために、今、彼らは勉強したいし大学に行きたい。大学生たちの思いは、「こうした苦しい環境の中でもなんとしても勉強への気持ちを高めたい」というものだった。もちろん、大学生たちは教育のプロではないので授業がうまくできるわけではない。しかし、「今、この高校生を応援したい」という情熱だけで夜は寝ないで予習をした。事前に何度も授業の練習もした。高校生のどんな質問も一緒に考える。そんな大学生たちの思いや行動は、地域のNPOや企業からの教材やお菓子の提供といった支援につながった。そして、毎日24時間一緒に過ごす中で、高校生たちも段々と大学生に気持ちを伝えるようになる。「看護師になりたい。」「数学の先生になりたい。」語られる言葉は将来の夢だった。

 そんな時間を一緒に過ごした最後のお別れの会で、大学生も高校生に語りかける。「大人とか日本政府とか、今、福島で何を信じていいかわからない時に精一杯、私たち大学生を信じてくれてありがとう」。1週間にわたって双葉高校の生徒に勉強を教えて、勇気をもらって励まされたのはボランティアの大学生たちだった。

(2011年8月23日)