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現場レポート 今、我々ができること

堺 裕介/スポーツ科学部4年、ラグビー蹴球部 主務

チャリティーマッチの様子

 私たち早稲田大学ラグビー蹴球部は、今回の震災に対して、さまざまな取り組みをしてきた。銀座の街頭で実施した早稲田、慶応、明治3校合同の募金活動や、杉並区で行われた南相馬市の「チャリティーバザー」にて被災地の子どもたちとの「ラグビー教室」、試合会場で義援金を募る「早慶明チャリティーマッチ」の開催、石巻市での「泥かきボランティア」への参加等である。

 これらの活動の中でも、現地に直接赴き、被災地の現状を目の当たりにした「泥かきボランティア」が特に印象的だった。

ボランティア先での作業風景

 活動の内容は、石巻市の普誓寺(ふせいじ)というお寺の床下に蓄積したヘドロを出すというものだった。お寺の復旧を急ぐ理由は「今回の震災で亡くなった方を早く供養するため」と伺い、胸が詰まる思いだった。床下に潜り続け、ヘドロの入ったバケツをリレーして行く作業は、屈強な現役ラガーマンをもってしても、肉体を酷使する大変な作業であった。

 そんな中、2日目の作業中の昼休みに、今回、被災した石巻高校のラグビー部員の2名が、自転車で1時間以上かけて、作業場まで来てくれた。その後、少しの時間ではあったが、辻監督を中心に、ラグビーのセッションを行うことができた。最初は緊張した面持ちでいた2人が、ラグビーボール一つで、一体感が生まれ、濃密な時間を過ごすことを通じて、最後は、笑顔で帰って行ったのがとても印象的であった。

石巻高校のラグビー部員(前列4、5人目)と

 今回の活動を通して感じたことは、丸2日がかりで、お寺のヘドロの撤去は完了したが、逆に、丸2日使っても、お寺一つの復旧しかできなかったという、人力での作業の困難さだった。復旧には重機や、それを動かす人を雇うお金が必要である。そのために、先述したチャリティーマッチや、募金活動で集まった収益を復旧に生かしてもらいたいと願っている。最近、震災直後とは違い、生活も普通に戻り、震災に対する気持ちが風化していると感じる。しかし、復旧には、まだまだ時間がかかる。これから、それぞれの立場で長期的な支援を考え実行していくことが大切だと考えている。

(2011年6月2日)