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現場レポート 
平山郁夫記念ボランティアセンター(WAVOC)主催
震災ボランティア(宮城県石巻市第二便)

髙橋 優/社会科学部2年

説明を受けて作業開始

神社の敷地内の倒れた桜が咲いている横を通る

祭りを開けるように、境内を片付け

 4月25日深夜から26日にかけて、私は東日本大震災で壊滅的な被害を受けた宮城県石巻市でのボランティアプロジェクトに参加した。

 参加しようと思ったきっかけは、同学部の友人が茨城県で被災し、水やガスが止まっていたことから、震災をこれまでになく身近なものに感じたことにある。 その友人がWAVOCに所属していたことから、このプロジェクトの情報を得た。現地での活動時間が1日と限られ、正直何ができるか不安ではあったが、意識が変わるかもしれないと思い決断した。

 活動場所となったのは石巻市渡波町の、とよばれる神社であった。5月5日にお祭りを開きたいとのことでの撤去・清掃の依頼を受けた。作業に従事したのは総勢52名。 防塵マスク、防護用ゴーグル、長靴、カッパという完全装備で臨んだが、作業にあたり多くの困難があった。濡れた畳は想像よりもはるかに重く1枚を5、6人がかりで運ばねばならなかったり、 崩れた屋根を鋸(のこぎり)で切らなければならなかったり、木材を撤去する際に釘でカッパを切る人が出たり、打ち上げられた魚の腐敗臭が鼻をついたり、 マスクをしているにも関わらずすぐに咳をひきおこしそうな粉塵が侵入してきたり…。 しかし、班ごとのチームや重機を使うことのできるボランティアとの連携により、昼までになんとかお祭りのスペースは確保できた。

 午後には宮司の方が地元の人たちを招き、ともに話をしてくださった。震災当日同地区でも高いところにあるこの神社の床まで水が来たこと、チリ地震を経験し、 予測10mの津波でも被害が甚大でなかったことから今回の地震でも被害は少ないと見積もっていたという。また、待ち合わせをしていて津波に飲み込まれた人が多くいたこと、 遺体を実際に運んだ時のこと。お話が進むにつれて、震災の悲惨さを痛感し、このことを多くの人たちに伝えなければならないと強く思った。

 今回の作業は神社のまわりから瓦礫を撤去し、道路に出して自衛隊のトラックが運び出す手伝いをしただけにすぎない。まだ瓦礫は大量に残っていて、 多数の個人の住宅の片づけは手つかずであるのを見ながら帰るのは心苦しかった。せめてもの救いは宮司の方の言葉だった。「隣の人を助けなさい、そうすれば隣の人がすぐ隣の人を助けるから」。 この言葉によって私は東京にいても出来ることを見つけられた気がする。それは、「家族間、学校の友人間、職場の仲間で地震が起こったらどう対処するか、考えてみること」。 宮司の方の言葉を心にとどめ、この行為を周りの人とともにやっていくことを私は決意した。それが、一方向の支援ではなく、支援の受け手の気持ちを考えることにもつながると信じている。

 神社には、一本の桜が津波に押し倒されたにも関わらず満開の花を咲かせていた。来年の5月5日再び、あの桜を見に行きたいと願いつつ帰路についた。

(2011年5月12日)