ENGLISH

ブックレット一覧へ

 早稲田大学では11月末より、本学教員を中心とする執筆陣による『早稲田大学ブックレット〈「震災後」に考える〉』を(株)早稲田大学出版部の尽力を得て刊行致します。

5月の出版物

土田健次郎
「日常」の回復  江戸儒学の「仁」の思想に学ぶ

早稲田大学ブックレット 《震災後》に考える No.15
縦組み 106ページ
早稲田大学出版部: 「日常」の回復 江戸儒学の「仁」の思想に学ぶ

 東日本大震災の被災地では、壊滅した街の瓦礫の中で、人びとは、前日までと同じように分けあい、助けあった。全国の数多くの人々が、日々の仕事のなかで支援を考えて実行し、学びの中でボランティアとして現地に赴いた。非常時にも日常の倫理を喪わない日本人の心性の源泉はどこにあるのか。著者はそれを近世の儒学思想、とりわけ伊藤仁斎の「仁」の思想に求め、明日への生き方を確かめる

目次
はじめに*日本人にとって「日常」とは何か
第1章 集団主義
第2章 江戸時代の歴史意識
第3章 個人、家、天下
第4章  日常の思想——伊藤仁斎における「仁」の意味
第5章 伊藤仁斎と他の儒者
おわりに*「ならぬもの」のありか

著者のプロフィール
現在の日本を代表する近世儒学の研究者。中国思想史についての深い思考と、現代の思潮への幅広い関心とにもとづき、儒教をはじめ東洋思想の豊饒な世界を描き出すパワーに定評がある。最近の著作に『儒教入門』(東京大学出版会、2011年)がある。

花田達郎+教育学部花田ゼミ 編著
新聞は大震災を正しく伝えたか

学生たちの紙面分析
早稲田大学ブックレット 《震災後》に考える No.18
横組み 120ページ
早稲田大学出版部: 新聞は大震災を正しく伝えたか

今までと同じ文献研究のゼミナールでいいのか?
学生たちは、東日本大震災の衝撃にまっすぐに向き合おうと、動いた。
彼らに開放されて工房と化した教授研究室で、大量の新聞紙面に目を凝らし、定規を当てて測りつづける一方、被災地を訪ねてその声に耳を傾け、中央紙・地方紙の記者たちに疑問をぶつけ、彼らの想いに共感し、またいくつかの行動には批判の目を向けた。
ひたすら新聞報道の実像を追った学生たちの思考と行動の記録。

目 次

第1部 実証的視点

 全国紙が見た震災/地方紙が見た震災—記事面積分析は何を教えるか(柏樹利弘・前原達也)
 震災報道の「顔」—『河北新報』の情報源を検証する(林怡蕿)
 津波被災は持続的に報道されたか—阪神淡路大震災との比較から(篠原紀彦)

第2部 批判的視点

 新聞はなぜ「大本営発表」と批判されるのか (片岡弘太)
 プルトニウム報道に見る在京紙と地方紙—超猛毒物質から福島県民を守るのはだれか(出澤広介)
 写真分析から見えた新聞記者の葛藤—報道の責任か、身の安全か (平井紀一)
 新聞が伝える「死」—「死」と向き合い、考える(蓮見嵐太)

第3部 4つの場所から考える

 石巻市立大川小学校—検証記事をどう活かすか(六田悠一)
 南三陸町防災対策庁舎—報道対象の一極集中はなかったか(新田 修)
 長野県栄村—もう1つの被災地と地域の営みからの報道(朴 哲宏)
 牡鹿半島・十八成浜−「『がんばれ』は思考停止の言葉」(築比地真理)
 あとがき この本はどのように生まれ、どのように読まれるべきか(花田達朗)