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未来貢献プロジェクト for SDGs

団地の再生を通して多様な世代が生き生きと暮らし続けられるまち「ミクストコミュニティ」の実現に取り組むUR都市機構(以下、UR)は、国連の掲げるSDGs(持続可能な開発目標)に貢献しています。広大な敷地に様々なスタイルの団地が立ち並ぶ洋光台エリア(横浜市磯子区)でも2015年から「団地の未来プロジェクト」が進んでいます。「集まって住む」団地ならではの新たなコミュニティーのあり方を紹介します。

2021年11月、会場分散化などの工夫を加え開催された
ハロウィンイベントは地元の子育て世帯を中心に賑わった

Interviewインタビュー

UR都市機構
東日本賃貸住宅本部
団地マネージャー

佐野 陽一さの よういち

令和3年4月から現職、3人のスタッフと郊外住宅地再生モデルプロジェクトとしての成果を発信すべく奮闘中。

アナウンサー

渡辺 真理わたなべ まり

国際基督教大学教養学部卒業後、TBSに入社。「筑紫哲也 NEWS23」などに出演、現在はフリーとして活動。横浜市出身。

UR都市機構ウェルフェア
洋光台プロジェクト
各世代の多様な
コミュニティーの形成について

渡辺横浜出身の私にとって、高校時代の恩師のお住まいがお隣の港南台だったこともあって、このエリアには親しみがあるんです。高度経済成長期に郊外型の住宅地として開発され、団地が整備されたのですよね。

佐野洋光台エリアへはJR横浜駅から電車で南へ約20分。1970年から入居が始まりました。現在、207.5ヘクタールの敷地に約3.3万人が暮らしています。まちも50年をむかえ、団地を核としたまち全体の魅力向上を図るための様々な取り組みが行われるようになっています。その一つがここ、洋光台エリアを舞台に展開している「団地の未来プロジェクト」です。

渡辺近年、ニュースなどでも郊外にある団地の様々な活性化策が報道されるようになりました。洋光台で行われているプロジェクトの特徴はどのようなものですか。

佐野地域や行政と連携しながら団地を核としたまちの活性化を図るのが大きな目的です。そのために、コミュニティー、防災、高齢者・子育て支援など、団地を中心にしたエリアマネジメントを進めています。ソフト的な取り組みにも力を入れていて、2014年から始めた「Happyハロウィンin洋光台」のように若い人が中心となって参加できるイベントの提案などを行っています。2020年は新型コロナウィルス感染症拡大の影響で中止となってしまったのですが、2021年は11月7日に会場分散化などの工夫を加え実施し、多くの人で盛り上がりました。

渡辺快適な住環境を提供するということに加え、団地は「集まって住む」ということが特徴ですから、その魅力を引き出すことも大切になりますね。

洋光台のまち・人・活動をつなぐ窓口「まちまど」

佐野「建築」と「活動」をセットにした新しい住まい方を提案することも大きな目的になっています。例えば、20年11月にUR洋光台北団地第一集会所をリニューアルした「団地の集会所-OPEN RING-」にはコミュニティカフェを併設し、団地居住者以外の人も立ち寄れる場所としてにぎわっています。壺焼きの焼き芋が人気で、遠方から車でわざわざ買いに来る人もいるほどです。

渡辺団地の集会所に隣接した、芝生の広場も開放的で素敵な空間ですね。

佐野こちらも20年11月にリニューアルしたばかり。広場に設置された木製の家具は団地の未来プロジェクトのロゴをモチーフにしています。また、広場を囲む住棟の壁は白を基調とし、木目のデザインを随所に施しています。これらはクリエイティブディレクターの佐藤可士和さんに監修してもらいました。

団地の集会所、団地のラウンジ、団地のライブラリーは
地域住民の居場所や交流の場となっている

隈研吾氏監修で改修された洋光台中央団地の外壁・広場

渡辺JR洋光台駅から北団地に向かう途中の広場も広々していて、デザインもおしゃれ、気持ちが自然にワクワクしてきます。

佐野こちらは建築家の隈研吾さんにデザインの監修をお願いし、18年に中央団地広場をリニューアルしたものです。団地の建物に沿って山形に波打つ庇を巡らせ、縁側空間を現代風に甦らせました。この広場では雑貨などを手がける作家が全国から集まる「団地のマルシェ」などのイベントが定期的に開かれています。

渡辺こうしたソフトとハード両面の取り組みがURのブランドイメージの刷新にもつながるわけですね。最近の若い方たちはコミュニティーへの関心が高く、核家族化が進む中、子育て世帯が子育てサロンを活用するなど横のつながりを積極的に持ちたいと望む傾向もあるとか。洋光台のプロジェクトは、そうした若い世代にも魅力的に映るのではないでしょうか。言ってみれば、緩やかな「ご近所の復権」。各世代の多様な人たちが集まって住むことで、様々な助け合いが自然発生的に起き、コミュニティーとしての魅力が増していく。これからも洋光台のプロジェクトから目が離せません。

URの取り組むSDGs「ミクストコミュニティの実現」

UR都市機構は、地方公共団体や団地の自治会、地域の社会福祉協議会などと連携をしながら、「地域医療福祉拠点化」という下記3つの取り組みを通して、多様な世代が住みやすいまちづくりを行っている。これらはSDGsの「すべての人に健康と福祉を」「住み続けられるまちづくりを」といった目標に沿うものであり、今後も全国の団地を中心に、地域コミュニティの活性化を推進していく。

UR都市機構が取り組む「地域医療福祉拠点化」の主な3つの取り組み

Interview地域代表インタビュー

団地を含む
洋光台のまちの活気を取り戻す

私自身、北海道の出身で、北大で建築学を学んで関東の建築会社に就職して洋光台との縁ができました。1971年に洋光台の団地に入居し、ずっと同じ住戸に住み続けています。間取りは3K。入居当時の思い出は、子どもたちのにぎやかな声。たいていの家に子どもが2人以上いて、子どもたちの声があちこちから聞こえてきたものです。
建築家としての職業柄、暮らしに身近なまちの移り変わりを見続けるのが楽しくなり、洋光台から離れられなくなりました。20歳代から町内会にも関わり、住民としてまちづくりに参加するようになりました。

磯子区連合会町内会長 会長

三上 勇夫みかみ いさお

ところが90年代以降、日本経済が停滞し、住民の高齢化が進んだこともあって団地から活気が徐々に失われていきました。私自身は、子育てをしやすい環境を整えることの大切さを訴え続け、URとも数え切れないほど話し合いを重ねてきました。その成果が、今回のプロジェクトにも反映されていると思います。これからも一住民として洋光台のまちの変容を見守り続けていきたいと思っています。

Movie動画

UR都市機構は持続可能な開発目標(SDGs)を支援しています。