高齢化で急増する目の疾患「白内障」
白内障は目の中でレンズの役割を果たす水晶体が濁って見えにくくなる疾患です。先天性のものもありますが、それ以外の後天性の9割が加齢による白内障です。40歳を超える頃から症状が表れる方が増えはじめ、50代で約半数、60代で約7割、70代では約8割。80代になると、ほぼ全員に症状が見られます。
治療法としては、水晶体を取り除き人工の眼内レンズに入れ替える「白内障手術」を受けることが必要です。医療機器の進化によって短時問で済む安全な手術となり、近年は入院しないで帰宅できる“日帰り”手術も一般化しています。国内の手術件数は年間120万件を超えていますが、その一方でライフスタイルに応じた「見え方」に関する要求が高度化・多様化しています。
進化する白内障の手術環境と眼内レンズ
従来は焦点が1か所だけに合う「単焦点眼内レンズ」がほとんどでしたが、焦点の数が複数ある「多焦点眼内レンズ」も登場しています。乱視を矯正する「トーリックレンズ」や、遠景から近くまで連続的に見られる「EDOF」と呼ばれるタイプなど、様々な眼内レンズが開発されています。
ただし、多焦点眼内レンズではまれに人によって不適応になるケースもあります。この場合は癒着したレンズを剥がして入れ替えることになるので、熟練眼科医の技能が必要です。
多焦点レンズを使った手術は選定療養へ
2020年4月1日から、多焦点眼内レンズを用いた白内障手術が先進医療の適応から除外され「選定療養」となりました。今まで白内障手術は、単焦点眼内レンズを使う場合には保険診療で、多焦点眼内レンズを使う場合には自費診療でした。「選定療養」により白内障手術自体は保険適応になり、多焦点眼内レンズを選択する場合は、そのことで増える費用のみを自費で支払うことになります。
白内障の手術は、ケース・バイ・ケース、患者さんが自分の希望をかなえられるオーダーメイド治療といえます。ですから希望に応えられる先進の治療機器や目の状態を診断する計測機器をそろえていることも、眼科医選びのポイントといえます。また、過去に行った単焦点眼内レンズを挿入した目でも、追加手術で多焦点にすることも可能になってきました。
しかしながら、機器や機材が手術をするわけではないので、やはり経験豊富な医師を擁する眼科を選ぶことが、最も大切なことではないでしょうか。
[広告]企画・制作 読売新聞社広告局