大腸がんは、大腸の粘膜からできる悪性腫瘍のひとつです。40歳過ぎから増えはじめ、高齢になればなるほど罹患率が高くなる傾向があります。発生部位によっていくつかの種類に分けられますが、日本人は、S状結腸と直腸にがんができやすいといわれています。
令和2年の東京都福祉保健局「人口動態統計」によると、東京都のがん部位別死亡数のうち、大腸がんは男女ともに第2位となっています。
大腸がんは生活習慣との関わりが大きく、飲酒や喫煙に加え、肥満がリスク要因といわれています。
また大腸がんの中には、「家族性大腸ポリポーシス」と「遺伝性非ポリポーシス大腸がん」という2つのがん遺伝家系があり、 がん発生の原因となる遺伝子も見つかっています。そのような家系でなくても血縁者でがんになった人がいる場合には、そうでない人より遺伝子に異常が起こりやすいと考えられています。
大腸がんは、早期の場合は症状がほとんどありません。しかし、血便(便に血が混じる)、下血(肛門から出血する)、便通異常(便秘と下痢を繰り返す)、便柱狭小(便が細くなる)、残便感(便が出きらない感じ)、腹痛、腹部膨満感、腹部のしこり、貧血、吐き気など、進行するにつれて症状が現れます。
早期に症状が現れにくい大腸がんを見つけるには、定期的にがん検診を受けることが大切です。40歳以上であれば、毎年1回、検診を受診しましょう。
大腸がん検診では、問診と便潜血検査(2日法)を行います。便潜血検査は、自宅で2日分の便をとるだけの簡単な検査で、痛みも食事制限もありません。便の表面をこすりとることで、便がポリープやがんなどの表面と接触することによって付着した、目に見えない出血の有無を調べるものです。
- 1
- がん検診に申し込みましょう
お住まいの区市町村からの案内や、ホームページなどを確認して、がん検診に申し込みましょう。問診票と検査容器が送られてきます。問診票に記入する際には、これまでにかかった病気や家族歴などを事前に確認しておくとスムーズです。
- 2
- 便を採取しましょう
採便キットで便の表面をまんべんなくこすりましょう。精度を高めるために、2日に分けて便を採取するか、同じ日でも別の便で採取を。採便後は、日の当たらない涼しい場所(冷蔵庫等)で保管し、採便から検査受付までの日数はできるだけ短めにしましょう。痔や月経中は要精密検査の判定が出てしまうことがあるため、検査を控えてください。
- 3
- 異常が見つかったら精密検査へ
検査結果は、基本的に2週間以内に郵送または医療機関の受診で受け取れます。異常が確認された場合には、精密検査(全大腸内視鏡検査)を行います。全大腸内視鏡検査では、大腸ポリープや早期大腸がんを発見できます。また、今後がんになるポリープや、がんの大きさによっては、内視鏡で切除することも可能です。
- ※
- 検診結果が「要精密検査」であった場合は、必ず全大腸内視鏡検査を受けましょう。便潜血検査の再受検は精密検査ではありません。
- ※
- 大腸全体を内視鏡で観察することが困難な場合は、S状結腸までを内視鏡で観察し、奥の大腸はバリウムを流し込みエックス線で調べます(S状結腸内視鏡検査・注腸エックス線検査)。
- ※
- 検診では、がんではないのに「要精密検査」と判定される場合(偽陽性)や、がんがあるのに見つけられない場合(偽陰性)があります。
検診の受診に加えて、生活習慣を見直すことも大切です。大腸がんのなかでも結腸がんにおいては、日常的な運動が発症リスクを下げるという研究結果も報告されています。
推奨される身体活動の目安は、毎日60分程度のウオーキングなどの運動に加えて、息が弾み汗をかく程度の運動を週60分程度※とされています。運動習慣が全くない方は、まずは習慣にすることを目標に無理のない範囲ではじめましょう。
そのほか喫煙や飲酒を控えたり、食物繊維が豊富なバランスの良い食事をとることも、予防への第一歩です。
今日からできる生活習慣改善と、定期的な検診受診で、健康づくりをしてみませんか。
- ※
- 厚生労働省「健康づくりのための身体活動基準2013」
「Tokyo健康ウオーク」は、大腸がんに関する知識を楽しく学べる参加型のウオーキングイベントです。
JR中央線国立駅南口の「旧国立駅舎」をスタートし、国立市内約8kmのコースを巡ります。
11月13日(日)は、指定された時間にスタートする「みんなでウオーク」、11月14日(月)~20日(日)は、期間中にスマートフォンアプリを使って自由にウオーキングを楽しむ「アプリでウオーク」を開催します。
また、40歳以上の希望する参加者は、無料で大腸がん検診を受けることができます。
色づく紅葉の下で楽しく歩きながら、大腸がんについて学んでみませんか。