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2024.03.27
Sponsored by 帝人フロンティア株式会社

「繊維to繊維」に注目!
大量の衣料品廃棄問題に立ち向かう
「帝人フロンティア」の挑戦とは?

「ファッションロス」と呼ばれる、大量の衣料品が廃棄されている現実。サステナブルな社会実現のためには、解決すべき課題のひとつです。今回、モデル・タレントとして活躍するトラウデン直美さんが、国内最大級の古着リサイクル工場を実際に訪問。「繊維to繊維」の技術開発や衣服の循環システムづくりに取り組む「帝人フロンティア」の担当者も加わり、この問題を語り合いました。

日本最大級の
古着リサイクル工場に潜入

関西国際空港から車で約20分。大阪府泉南市の古着リサイクル工場にやってきました。「ファイバーシーディーエム(F.CDM)」が運営するこの工場の年間取扱量は約2億着(約5万トン)で、国内最大級を誇ります。同社の中井紗也さんが案内してくれました。

一歩足を踏み入れると、高さ5メートルはありそうな大量の古着の山が目に飛び込んできました。

わぁー、すごい量ですね! 毎日こんなに捨てられているなんて、もったいない。 この工場だけで1日約30トンあり、ほかの工場の約70トンをあわせると、1日約100トンが搬入されてくるんですよ。

工場内のベルトコンベヤーには、回収袋から出された古着がどんどん流されます。スタッフが職人芸のような早業で、国内で販売できそうなもの、海外で需要がありそうなものなどを次々と選別し、かごに入れていきます。

仕分けはすべて人の手なんですね。どうやって選別しているんですか。 セーターやアウターなど、1人当たり10種類ほどを担当し、見た目や素材の感触で190種類ほどのアイテムに細かく分けています。

販売用に選ばれなかった古着は、衣料品以外の用途に再利用するため、素材別に仕分けられます。綿系は機械の油を拭き取るための工場用雑巾「ウエス」に加工され、ウール系は車の緩衝材などの原料になります。

衣料品以外に再利用される割合はどれぐらいですか。 7~8%がウエスに、25%が緩衝材などになります。素材別の仕分けは品質表示のタグをひとつずつ確認していきますが、洗濯で擦り切れて表示が見えなくなっていたり、チクチクするからと切り取られたりして、分別できないものも多いんです。 私もタグを切ってしまう時がありました。反省です。タグを切らないこともリサイクルには大事なんですね。

見学を終えて、トラウデンさんは「最初の古着の山はショッキングな光景でした」と率直な感想を話してくれました。

一着でも多くの古着を
救うために

では、衣料品廃棄の問題解決に向けて、繊維業界ではどんな取り組みが進んでいるのでしょうか。「帝人フロンティア」サステナビリティ戦略推進部の友滝勇気さん、鶴田遼さんが加わり、座談会を行いました。

「繊維to繊維」の広がりをめざして

リユースできない古着のなかでも、綿やウールと違い、ポリエステル系はほとんど使い道がありません。私たちの会社は、ポリエステル100%の古着を、再びポリエステル繊維にリサイクルする「繊維to繊維」の技術を持ち合わせています。

その「繊維to繊維」の技術について、開発を進める鶴田さんがサンプルを手に説明してくれました。

まずは、回収した衣服からボタンなどポリエステルではない素材を取り除き、化学的に分解し、「モノマー」と呼ばれる原料に戻します。続いて、モノマーを重合(合成)して、扱いやすい粒状の「ペレット」にします。これを熱で溶かして液状にし、シャワーヘッドのようなところから押し出し、冷やすことで繊維にしていきます。

これは単一素材だから、この工程がスムーズにできるということですか。でも、世の中に出回っている衣服は、ポリエステル100%だけというわけではありませんよね。 何%ぐらいがポリエステル100%だと思いますか。 えー、結構少ない気が。10%もないんじゃないかな。 そう、約10%です。 ということは、残り90%は、他の素材など何かと混ざっているんですね。いろいろ混ざっているとリサイクルできないんですか。 ポリエステルに限らず、単一素材で作られている衣服は全体の約27%です。他は2種類以上の素材が混ざっていて、そのままでは繊維から繊維にリサイクルすることが難しい。そこでリサイクルの前に、素材を分離する技術についても開発を進めています。 最近は着心地の良さが求められ、ポリウレタンと呼ばれるストレッチ性を出す素材が、少量ですが多くの衣服に入っています。ポリウレタンが混じっているとウエス(工場用雑巾)などには向かなくて、再利用やリサイクルも対象外となることが多いのです。そのため、私たちの会社では、まずポリウレタンとの分離にとりかかり、2023年にポリウレタンの分離技術を開発したことを発表しました。 その他の素材は、まだ分離するのは難しいんですか。 そうですね。簡単にはできないので、他の素材についても一つひとつ分離技術の開発を進めているのが現状です。

実は、繊維から繊維、衣服から衣服にリサイクルができているのは、現時点では全体の1%もないんです。 1%……。全体の廃棄量を考えれば1%でも結構な量なんでしょうけど、途方もない道のりですね。 限りある資源なので、その途方もないことをひとつずつやっていかないと、この先はつながっていきません。また、ポリエステル以外の綿やウールなど各素材のリサイクル技術を持つ企業と協力し、回収された古着を有効活用していくための取り組みを進めようとしています。 まさに、F.CDMさんのように仕分けをしてくれる会社とも連携しながら、ということですね。

キーワードは「クローズドループ」

やはり作る段階からリサイクルの視点を入れて考えないとダメですね。そういうものをあえて選び、できるだけ長く着ることが大事ですね。 身の回りでそれが達成されている商品がありますが、何か分かりますか。環境に配慮し、リサイクルしやすい商品設計が当たり前になっているもの。 なんだろう、わからないです。 ペットボトルです。透明ですし、ボトル本体・キャップ・ラベルなどが単一素材で作られていて分離しやすく、リサイクルしやすいように作られています。 そういえば、ペットボトルはリサイクルしやすいから、争奪戦になっているという話を思い出しました。ペットボトルのように、服も循環していけるようになったらいいんですけど。 衣服の分野でも、ファッションを楽しみながらも、大切に長く着ていただき、最後にはまた繊維にリサイクルするという文化を根付かせようとする試みに挑戦しているところです。 服は服にリサイクル。「クローズドループ」という考え方ですね。

サステナブルファッションが広がる未来へ

焼却処分される古着が多い現状を、何とかしていきたいですね。地域の資源回収に出すとか、店頭回収をしている店を利用してもらう手もあります。私たちのほうで少しでも多くの古着を救えるようにしていきたいです。

回収された後どうなったのかが分かるところと、分からないところがあります。私たちはどう選べばいいのでしょうか。 これから重要になってくるのは、トレーサビリティー(履歴管理)とアカウンタビリティー(説明責任)ですね。回収した古着をどうしたかを開示することは企業の責任です。F.CDMさんは毎月、回収量やリユース・リサイクルした割合などをホームページで開示しています。「繊維to繊維」の古着回収リサイクルシステムに向けて、回収ボックスを様々な場所に置いていこうとしていますので、ひとつの目安にしていただけるとうれしいです。

どういった場所を想定しているんですか。 賛同してくれるアパレル店舗はもちろん、服を手放したいと思った時に、近くですぐに利用できるよう、コンビニや駅など、大勢が集まる場所も検討しています。 アパレルは小規模な店が多く、一括回収が難しかったと思います。こういう仕組みがあれば、大きな流れができ、リサイクルの規模が広がっていきますね。

企業として技術を育てていく一方で、生活者の皆さんには分別、資源回収への理解と意識を高めていただき、共に成熟することで、最終的に「繊維to繊維」の取り組みを実現できたらと考えています。 クローズドループという考え方が、今後の社会にはすごく大事だと感じました。新しい資源から新しいものを生み出し、使っていくだけというのは、もう違うなと。作る段階からリサイクルを想定し、私たち生活者はファッションを楽しみながら何度もリユースしていっぱい循環させ、それでも使えなくなったら、リサイクルに。こういうエコシステムが実現できたらと思いました。今日は本当に勉強になりました。ありがとうございました。