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家を考えることは地球を考えること長寿命・省エネ化する住まいのリフォーム

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家について考えることは今、環境について考えることでもあります。地球環境のために持続可能な開発が進められる中で、私たちが家について考えるとき、どういうことが大切になるのかーー。業界に先駆けて脱炭素化に取り組み、東京大学などとともに既存住宅リフォームの環境評価について調査を行っている住友不動産株式会社取締役の加藤宏史氏に話を聞きました。

主要な構造部を活用 環境負担が少ない全面改修

住み慣れた家を息長く使う

政府の定める2050年のカーボンニュートラルという目標に向けて、住宅建築の分野でも脱炭素化が求められています。特に重視したいのが既存戸建て住宅への対応。住宅ストックのうち大きな割合を占めるため、脱炭素化への貢献が大きいと考えられるからです。

そのためにまず大切になるのが「建物を長く活用するという発想です」と加藤氏はいいます。日本の住宅の平均寿命は約30年。60~80年という欧米に比べて非常に短く、古くなったら壊して建て替えるのがこれまでの常識でした。しかし、建て替えを積み重ねることは環境負荷を伴います。

「古くなった建物も適切な改修を施して息長く使い続ける。そのような考え方のもと、これまでのスクラップ&ビルドのフロー型からストック型社会への転換が求められていると思います」

■住宅の平均年齢の国際比較

減失住宅の平均築後年数の比較

CO2排出量少ない「新築そっくりさん」

住友不動産の「新築そっくりさん」は、建物の主要な構造部を残しながら耐震性などの住宅性能を高める全面リフォーム。

「住み慣れた家を長寿命化して使い続けるという、ストック型社会にふさわしい事業といえます」

基礎や柱などを活用する全面リフォームが、その分建て替えるより環境負荷が少ないことはわかっていましたが、住友不動産が東京大学と武蔵野大学と行った共同研究で、それが数値で示されました。「新築そっくりさん」の施工現場を調査した結果、そのCO2排出量が、同様の建物に建て替えたときと比較して約47%削減されることがわかったのです。

建て替えと全面改修の比較
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リフォームで断熱性能も向上

「断熱性を高めて家を省エネルギー化すること」も、環境のために大切な考え方です。「新築そっくりさん」は建物の耐震性能とともに断熱性能を向上させますが、新築住宅の省エネ基準と同等の断熱性能を確保できる「高断熱プラン」もオプションで提供されています。

このプランではリフォーム対象範囲の床・壁・天井の6面に断熱工事を施し、室内と室外との熱交換をすることで約5~8割の熱エネルギーを回収します。

「住宅ストックのうち、現行の省エネ基準に満たない住宅は約9割を占めます。そのエネルギー損失を減らすために効果的な改修といえます」

もちろん住む人にとっても、特に高齢者には、これからの冬の季節、ヒートショックなどの心配のない、快適な暮らしを実現できれば安心です。

さらに、「新築そっくりさん」と「創エネ」を組み合わせたプランも用意されています。初期費用ゼロで太陽光パネルと蓄電池を設置し、月々の定額料金で24時間365日サービスを受けられるという画期的なものです。

環境への負荷をどれだけ低減できるかを考えることが、これからの家のためには必要です。

「脱炭素、ストック型社会の実現に向けて、住友不動産は今後も、そのための取り組みを続けていきます」

太陽光イメージ
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既存戸建てリフォームの環境性能を「見える化」

清家剛教授顔写真
国立大学法人東京大学
大学院新領域創成科学研究科教授

清家 剛

日本政府により2030年=下図参照=、2050年とCO2削減の2つの大きな目標が掲げられ、その要請は日に日に増しています。住宅においても同様で、これまではZEHなどに代表される環境性能の高い新築住宅の供給に特に議論が集中していました。

しかしながら、新築住宅の供給量は、日本の住宅総数約5000万戸に対して限られており、効果が限定的であることから、昨今は、大量にストックされている既存住宅への対策に注目が集まっています。

既存住宅の建物性能を向上させる手法は、単純化すると建て替えかリフォームの2つです。

建て替えは、1戸あたり約100トンの資材で構成されている住宅を一度すべて解体・廃棄して、また新たに同程度の資材を投入することになります。それに対し、リフォームでは大規模なものでも、基礎・躯体など既存資材を半分残すことができ、新規投入資材を建て替えの半分程度に抑えられます。そのため、リフォームをして長期間住まう方が、短期間で建て替えるよりも、環境に優しいと考えられていましたが、どの程度環境に優しいのかを定量的に「見える化」することは困難でした。

その理由として、リフォームは、住宅設備の交換等の小規模なものから、耐震補強や断熱性向上をはかるような大規模改修まで、工事規模が多種多様であること。また、施主が長い間住み慣れてきた家を扱うため、新築物件よりも建物への思い入れが強く、研究対象となることへの抵抗感も起こりやすい傾向にありました。

今回公表した成果は、資材投入量の違い等からCO2排出量を評価した、研究の第一歩に過ぎません。今後、リフォーム後の建物性能や、リフォームによる建物寿命の延命効果など研究を深め、それらの研究成果を公開していく予定です。そして、リフォームは大きく環境貢献につながる一つの手法であることを示し、脱炭素に向けて、少しでも既存住宅のリフォームが進む後押しになればと思っています。

国のCO2排出量削減目標(13年度比)
家庭部門30年度までに66%減

政府は2020年、温室効果ガスの排出量を全体でゼロにする、いわゆるカーボンニュートラルを2050年までに実現することを宣言しました。このための中期目標として、日本において温室効果ガスの8割以上を占めるエネルギー起源CO2の排出量を、30年度までに、13年度比45%減とすることが定められています。

また5つの部門ごとに目標が設定され、そのうち家庭部門は同66%減とされます。これを実現するため、既存戸建て住宅においても効果的な脱炭素化のアプローチや、既存戸建て住宅を再活用する気運が高まることなどが求められています。

■エネルギー起源CO2排出量と削減目標

エネルギー起源CO2排出量と削減目標
※環境省「地球温暖化対策計画」より作図

新築そっくりさんの施工現場を調査

「新築そっくりさん」の施工現場で調査は行われました。360度カメラで撮影したデータなどから建物を3Dモデリング化し、特殊なソフトを用いて構成資材の詳細なデータベースを作成。リフォームは、建物の資材を部分的に再活用して他は廃棄し、また新たに資材を投入して行われます。CO2排出に関わるのは、このうちの廃棄資材と新規資材。廃棄資材は上記データベースから抽出し、新規資材は発注書から把握。そこから日本建築学会の評価ツールを使ってCO2排出量を算出しました。

BIM(Revit)、3Dモデリング(Matterport)を活用して既存建物の資材構成等を精緻にデータ化し、分析 BIM(Revit)、3Dモデリング(Matterport)を活用して既存建物の資材構成等を精緻にデータ化し、分析
BIM(Revit)、3Dモデリング(Matterport)を活用して既存建物の資材構成等を精緻にデータ化し、分析
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長く住み続けられる家をテーマに小学校で出前授業

「くらしにSDGs」プロジェクトの一環として、住友不動産は東京都江戸川区立鹿骨東小学校の5年生児童に対して出前授業を行いました。同社ESG推進室の池大樹さんは、「住み続けられるまちづくり」を目指すために、防災・環境・人・地域の課題を建物で解決する同社の社会的役割について説明しました。

中でも、CO2削減やSDGsの観点から、今「リフォーム」について注目が集まっていることを紹介。既存住宅の断熱性を高めて省エネルギー化することで、家庭で消費するエネルギーを効率化し、CO2排出量を削減していくとともに、地震や台風被害に備えて強い家にしていく必要性を伝えました。

また、古くなった家は取り壊すのではなく、柱などの基礎構造の木材を活かしながら改修していくほうが、環境にも優しいことなどを、クイズを交えながら分かりやすく伝えました。

出前授業に参加した児童は「不動産会社はただ家を建てたりするだけではなく、CO2の削減やSDGsの達成についても考えていることがよく分かった」「家を新しくするときは建て替えではなくリフォームによって、CO2が47%も削減できることを知った」などの感想を語っていました。

鹿骨東小学校(東京都江戸川区)で行われた出前授業の様子 鹿骨東小学校(東京都江戸川区)で行われた出前授業の様子
鹿骨東小学校(東京都江戸川区)で行われた出前授業の様子
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