Now Loading...

リベラルアーツ教育を柱に
学びの可能性広げる改革

大学メイン画像

大学メイン画像

大学からのメッセージ学びの魅力と特徴

学長写真

森本 あんり学長

創立から百年以上にわたって日本の女子教育を牽引し続けてきた東京女子大学(東京都杉並区)が、新たな教学改革を始動させる。柱とするリベラルアーツ教育をさらに進化させるべく、来年度には全学共通カリキュラムの大胆な改革、情報数理科学専攻の立ち上げ、経営学分野の強化の3つを実施。その狙いや内容などについて、森本あんり学長、加藤由花教授、塩原佳世乃教授にお話を伺った。

  • 新科目「知のかけはし」が想像を超える出会いを生む

    東京女子大学は1918年、キリスト教精神に基づくリベラルアーツ教育を掲げて創立。当初から「新しい時代を切り拓く自立した女性の育成」を掲げ、見識や人格を養う教育を実践してきた。同大学の柱であるリベラルアーツ教育について、森本あんり学長はこう語る。

    「現代のリベラルアーツ教育は、偏見からあなたを自由にする学びと言えるでしょう。偏見は誰もが持っていて、それに気づかないままでいると物事を自分の枠の中だけで考えてしまうようになります。リベラルアーツ教育は、そこから起こる間違いを自ら発見し、正していく力をつけるためのものなのです」

    こうした教育をさらに進化させるため、2024年度から教学改革を実施する。その一つが全学共通カリキュラムの改革だ。第一に、文学と数学など異なる学問領域の教員が2人で授業を行う「知のかけはし科目」が新設される。

    「教員同士が一つの課題について、学生を巻き込みながら互いの専門領域を活かして議論を交わします。同じ授業の中でまったく違う思想や知見に出会える、まさに知と知のかけはしとなる科目です。前例のない試みで、本学としても大きなチャレンジですが、だからこそぜひやりたいという強い思いを持って設置を進めました。今、私も教員もワクワクしています」

    第二に、全学共通カリキュラムにAI・データサイエンス科目群を組み込む。同大学ではこれまでも一部の文系学科でデータサイエンス教育を行ってきたが、全学生にその基礎を身につけてもらう考えだ。

    第三に、英語での自己表現力を伸ばすため英語科目が強化される。ライティングを通じてクリティカルシンキングを鍛えるほか実践的なディスカッションスキルと表現を学ぶ授業も必修とし、英語センターが中心となり正課内外で英語教育を充実させるという。

    こうして"学びの根"に当たる部分を整備する一方で、学科教育でも改革を実施。数理科学科の中にある数学専攻と情報理学専攻を「情報数理科学専攻」として統合し、理系女性のニーズに応える。

    同時に、経済学専攻にある経営学分野の学びも強化。これは企業、NGO/NPO、地域コミュニティ、行政などにおいてマーケティングやマネジメントを担える女性を輩出していきたいとの思いからだ。森本学長は「女子大の強みを活かし、日本の女性リーダーの増加を後押ししたい」と力を込める。

    「女子大には女性が伸び伸びと力を発揮し、かつリーダー的立場を経験しやすい環境があります。こうした環境が糧となり、多くの卒業生が幅広い分野で活躍しています」

    2025年度には全学的な学科再編も予定。リベラルアーツ教育をさらに進化させ、「どんな状況でも自らの道を自信をもって歩いていける女性を送り出したい」と森本学長。創立時から受け継がれてきた思いは、教学改革の中にもしっかりと息づいている。

    「大学は予想もしていなかった新しい学びに出会える場であり、リベラルアーツ教育は学生が自分のやりたいことを発見するためにあります。大学で何を専攻しようかと迷っている人こそ、ぜひ本学に来てもらえたらと思います」

  • 東京女子大学イメージ写真03

  • 東京女子大学イメージ写真03

  • 東京女子大学イメージ写真03

  • 東京女子大学イメージ写真03

  • 全学生にAI・データサイエンスの知識を

    加藤由花教授は、今回の教学改革において、AI・データサイエンス科目の全学必修化のまとめ役を担っている。

    「今はどんな学問でも情報分野の知識が必須で、例えば心理学や社会学の卒論でも統計データの活用が求められます。その必要性や活用法を1年次から知ってもらえるよう、初心者も学びやすいカリキュラムを準備しています」

    2024年度には、データ分析で何ができるか、自分の学びにどう活かせるかといった1年次向けの授業が開始される。今後はより高度な授業も開講させていく予定だ。

    また、数理科学科に新たに誕生する情報数理科学専攻は、情報科学、AI・データサイエンス、数理科学の3分野を垣根なく、かつ専門的に学べる場になる。加藤教授は「女性が研究や議論を思う存分できる環境がある」と語る。

    「理系の知識は、今後どんな分野に進んでも必ず役立ちます。本学は1927年、『女性にこそ数学を』という考えのもと、私立女子大で初めて数学教育を開始しました。理系学生こそ、ぜひ歴史ある本学で学んでいただきたいと思います」

    日本は理系分野に女性が圧倒的に少なく、その育成が急務とされている。理系学科を擁する数少ない女子大の一つとして、東京女子大学に寄せられる期待は大きい。

  • 東京女子大学イメージ写真03

    現代教養学部 数理科学科 情報理学専攻 教授
    AI・データサイエンス教育研究センター長
    加藤 由花

  • 英語教育を強化し思考力や発信力を磨く

    塩原佳世乃教授の専門は言語学。教学改革においては英語教育の全学的な強化に携わる。2024年度からは英語必修科目が週2回から3回に増え、ライティング科目も新設。英語で書く力は、言語能力や思考力の土台を築くうえで大きく役立つという。

    「リベラルアーツ教育を軸に学生一人一人が深く考え、自分の考えを発信できるよう、英語の4技能を磨き上げていきます。学生の個性を重んじた形で深く学び、世界言語としての英語を身につけていくことが目標です」

    トップ層を引き上げるプログラムも大幅にリニューアルする。同年度から、国際社会で活躍できる英語力を養う選抜制の「Global Citizenship Program」を開始。専門分野を英語で学ぶ科目などのほか、一年間の学部留学も盛り込む。世界トップ100の大学への留学には一人あたり、最大600万円を授与する新渡戸稲造国際奨学金も継続する。

    「自分の思いを英語で発信し、それを世界に役立てられる人物を育てていきたい」と塩原教授。英語教育の更なる進化に注目したい。

  • 東京女子大学イメージ写真03

    現代教養学部 国際英語学科 国際英語専攻 教授
    塩原 佳世乃

大学一覧

大学一覧

関東

    近畿

      九州