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読売新聞オンライン

Energy Transformation Challenge

総合力と技術革新で脱炭素社会を加速させる

三菱商事が挑む「エネルギートランスフォーメーション」

2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロへ─。脱炭素社会への取り組みが加速している。カーボンニュートラル実現には、排出割合の大きい「エネルギー起源CO2」(燃料燃焼や熱の使用に伴って排出するCO2)を段階的に減らすことが重要で、特に、エネルギーの低炭素化、脱炭素化推進は大きな課題だ。三菱商事はこの課題に、「エネルギートランスフォーメーション(EX)」で挑む。総合力と技術革新で、脱炭素への確実な道のりとエネルギーの安定供給という社会的使命の両立を図っているのだ。同社のEXを、3つの視点からひもとく。

洋上風力 挑む安定供給

三菱商事は、将来のエネルギーの安定供給を目指して、国内外の企業の協力を得ながら自然界にある風力、太陽光などを利用する「再生可能エネルギー(再エネ)」の大規模プロジェクトを進めている。

直径200メートル超の風車

三菱商事は2020年3月、再エネ生産に取り組むオランダのエネコ社の株式80%を取得した。エネコ社は、オランダでは第3位の電力小売事業者で、発電量の約6割を再エネが占める欧州を代表するクリーンエネルギー企業だ。オランダ沖で建設を予定する風力発電施設では、風車の羽根の大きさが直径200メートル超、高さが東京都庁舎に匹敵する巨大な発電施設もあり、風力発電業界をリードしている。

洋上風力用風車の最大サイズの推移

エネコ社で再エネ開発加速

エネコ社が事業を展開する欧州は、北海油田の開発で培った海洋構築物の建設技術力を生かし、洋上風力発電が広がりを見せている。遠浅の海も洋上風力発電に適していることから、既に有力な電源に成長している。

二酸化炭素(CO2)の排出拡大は、世界各地の気候変動や海面水位上昇をもたらしているとされ、排出量削減は地球規模の緊急性の高い課題だ。太陽光や風力等の再生可能エネルギー電源は永続的に利用することができ、また、発電するときにCO2を排出しないのが特徴だ。しかし、日本の再エネ比率は現在20%程度と低く、政府が20年末に掲げた参考値「50年に50~60%」との開きは大きく、エネコ社の活躍の可能性は広がっている。

三菱商事は、30年度までに再エネの発電容量を19年度比で倍増を目指すという目標を掲げ、取り組みを加速させている。一方で風力発電と太陽光発電の共通した課題は安定供給と低コスト化だ。発電量は天候に大きく左右される上、化石燃料による発電と比べて割高で、本格普及の障害となっている。

オランダ・エネコ社の洋上風力

三菱商事は、エネコ社の技術力・ノウハウを活用し、欧州及び欧州外での再エネ開発を更に加速させ、経済価値、社会価値、環境価値の三価値同時実現による持続可能な社会構築への貢献を通じ、脱炭素社会への移行や地球環境保全といった社会課題の解決に貢献することを目指す。

世界初 水素の国際間輸送

工業用として水素の利用の歴史は長いが、二酸化炭素(CO2)を排出しない燃料として水素に新たに期待が集まっている。世界中で技術開発が加速している競争の激しい領域だ。

ブルネイから日本へ

水素は燃焼時に酸素と結びついて水になり、CO2や大気汚染物質を排出しない。燃料電池技術を使えば、水素から電気を取り出すこともできる。再生可能エネルギー(再エネ)で作られた電気を使い、水を分解して生産された水素は、製造段階でもCO2を排出しないことから「グリーン水素」と呼ばれ、「脱炭素化」の有力な手段として期待されている。

水素の用途は様々で期待も大きいが、更なる普及のためには水素の生産、貯留、運搬、利用などの各段階で技術開発や新設備の導入を効果的に行っていくことが必要だ。

三菱商事は2020年、「運搬」技術の確立を目指し、ブルネイから日本へと大量の水素を運び込む世界初の「国際間水素輸送」を実現した。まずブルネイ国内の未利用天然ガスから作られた水素をトルエンと結合させて、メチルシクロヘキサンという液体にして船で日本へ運ぶ。そして日本へ持ち込んだ後に、メチルシクロヘキサンから水素を取り出すことで、既存の設備を活用しながら、水素を大量に運ぶことに成功した。

国際間水素輸送の実証事業

各国で技術開発

日本は17年に世界に先駆けて水素の国家戦略を発表したが、その後、各国がコロナ後の産業育成を視野に入れて戦略を打ち出し、追い上げが激しくなっている。日本が打ち勝つために、今後は各企業が得意分野を持ち寄り、より積極的に水素事業に関与することが求められそうだ。

三菱商事では、多様な産業の知見を組み合わせた水素事業を展開することが可能だ。

総合力を発揮して、脱炭素社会を実現するための挑戦が続いている。

ブルネイの水素化プラント

CO2もリサイクル

「CCU(Carbon dioxide Capture and Utilization)」とは、排出された二酸化炭素(CO2)を回収し、工業製品などの原料として再利用する仕組みのことで、CO2を排出したままに放置しない、という発想だ。低・脱炭素社会実現の有力な技術として、期待がかけられており、挑戦は既に始まっている。

「CCU」 低・脱炭素へ新技術

製鉄やセメントなどは業態の性質上、CO2排出を減らすことは難しい。このため各業界では、排出されたCO2を効率的に回収し、資源として再利用するCCUの実現に注力し始めている。CO2を不要物から資源へと転換させる構想と言える。

三菱商事もこの動きに着目し、2020年7月、富山大学や日本製鉄などと協力して、CO2からポリエステル繊維やペットボトルの原料となる「パラキシレン」を製造する技術の研究開発に着手した。各種工場で排出されるCO2と、再生可能エネルギーで作られた「グリーン水素」を組み合わせたパラキシレンの製造が目標で、中長期的な視点で取り組みを進めている。

また短期的な取り組みとしては、コンクリート産業で事業を始めている。20年12月、コンクリート建材にCO2を注入する技術を有するカーボンキュア社(カナダ)と資本業務提携を結んだ。同社の技術や設備を用いれば、生コンクリート工場の製造工程を大きく変えることなく、CO2を注入したコンクリート製品の生産が可能になる見通しだ。同社の技術は既に海外では大手企業の社屋の建材としても技術導入が始まっており、事業として実用化されていることから、今後の協業による展開が期待されている。今回の資本業務提携を生かして三菱商事は、カーボンキュア社の日本を含むアジアでの事業展開を後押しする考えだ。

コンクリート産業についてはこのほかにも、20年8月にCO2をコンクリート原料に固定化する技術をもつ米ブループラネット社と協業を開始している。21年度にかけて米シリコンバレーで実証事業を進める計画だ。

一方国内では鹿島建設、中国電力、デンカ、ランデスの4社が開発した製造時におけるCO2排出量が実質ゼロ以下の無筋コンクリート製品「CO2-SUICOM」の事業展開に参画している。ほかにも、鹿島建設、中国電力の両社と協力し、ダムや河川構造物などのコンクリートでCO2を有効利用する研究開発に着手するなど、業種を越えた協業によって、CCUを促進する事業開発を進めている。

CO2-SUICOMを使用した建築物、「Brillia ist 中野セントラルパーク」(Photo:Nozomu Shimao/SS)

温室効果ガス削減を巡り15年に各国で合意されたパリ協定の目標達成においても、CCUによるCO2排出削減は重要な一部を担っており、期待は大きい。CCUの開発は未来社会への投資と言える。実現すればCO2に対する考えが変わる可能性さえ秘める。

再エネ、水素、CCUなどエネルギー関連事業のポートフォリオを進化させるEXの取り組み。強みである多様な産業での知見と技術革新で、三菱商事は脱炭素社会への転換に対応していく。