
PCシェアNo.1のLenovoが
包括的なサーバーソリューションを提供
日本の医療を
DXが
進化させる
IT SOLUTION
超高齢社会の到来で医療へのニーズは高まる一方ですが、病院の厳しい経営環境や、医師や看護師らの長時間労働など、日本の医療には課題が山積しています。解決の突破口として期待されているのが、デジタル技術を活用して、業務を抜本的に見直す医療DX(デジタル・トランスフォーメーション)です。政府で健康・医療戦略の立案を担ってきた元内閣府大臣官房審議官の江崎禎英氏とレノボ・エンタープライズ・ソリューションズのジョン・ロボトム社長が対談し、進むべき方向性について話し合いました。
Theme 01 /現場が支える質の高い医療
コロナ禍で弱点あらわに

日本の医療の現状は。
江崎
日本では、世界に冠たる国民皆保険制度のもと、医師や看護師の高い技術とモラルに支えられた質の高い医療サービスが提供されています。ただ、国際的に見て人口あたりの医師の数は少なく、入院期間は長い。
このため、医療関係者の業務量が多くなり、患者にとっては、「3時間待ち3分診療」と言われる事態が生じています。
ロボトム
患者の立場からすると、いつでも安心してサービスを受けられる日本の医療制度は、世界的に見ても素晴らしい環境を作り出していると思います。ただ、個別に導入された古いシステムが乱立し、オペレーションや業務プロセスを柔軟に変更できず、医師や看護師らの現場の頑張りに頼る状況のように見えます。ITがもっと力になれるはずです。
江崎
今やどの病院にもコンピューターは入っていますが、単に従来の作業を電子ファイルに置き換えただけのシステムも少なくありません。個々のシステムも連携していないため、同じデータを何度も入力するといった作業も発生しています。
ロボトム
医療分野のトップは必ずしも経営の専門家ではなく、ITの専門家でもありません。 俯瞰 的な視野から変革することは容易ではありません。

新型コロナウイルスの感染拡大で明らかになった問題点は。
江崎
今の医療は患者が病院に行かないと始まりません。しかし、新型コロナでは、感染防止が徹底された空間で対応することが求められました。このため、比較的感染者数が少なかった時期から、医療現場は危機的な状況に陥ったのです。
ロボトム
体調が悪いと、日本では一般的に「病院に行く」と言いますが、英語では普通は「医者に会う(=see a doctor)」と言います。「病院に行く」というのは、病状が深刻な時です。すぐ入院できるのは日本のいいところでもありますが、今回は弱点になったかもしれません。
江崎
新型コロナの感染者の多くは軽症であり、対応も経過観察が中心です。体調の常時モニタリングなどでは、あらゆるモノをインターネットでつなぐIoTが本来その能力を十分に発揮できる場面でした。
ロボトム
コロナ禍をきっかけに広まった在宅勤務も、医療業界ではあまり進みませんでした。ITを活用すれば、リモートでできた仕事はあるはずです。
Theme 02 /データ活用が生む新サービス
個人情報保護を前提に


DXが医療にもたらす未来とはどのようなものか。
江崎
新型コロナの流行前から、在宅医療の重要性が指摘されていました。超高齢社会の到来により、入院を基本とする対応では、いくら病床があっても足りません。さらに、生活習慣病の患者も今後増えると予想されることから、センサーを通じて患者の健康状態や運動能力を把握して、日常的にアドバイスを送り、体調に変化の兆しがあったときに病院に来てもらうといった対応が必要です。これによって、予防や早期対応が可能になり、医師や看護師の負担は減り、患者も楽になります。
ロボトム
まずは、現在のサービスを効率化させ、現場の負荷軽減に役立てていくことが大事だと考えています。IoTが発達していますから、個人情報の保護を前提にしながら、人工知能(AI)も活用し、データをもとにした新しいサービスが生まれる可能性があります。
江崎
日常の健康データや医療データを病院間で共有できるようになれば、患者が診察室に入る前から、医師や看護師が既往歴や治療実績、体調などを把握することが可能になります。
ロボトム
データの共有は簡単ではありませんが、技術的には十分実現できます。データをどこまで共有するかをしっかり分類することが必須になります。
Theme 03 /ゲノム解析を予防にいかす
生活の質向上に貢献

遺伝情報を解明するゲノム解析が進んでいます。
江崎
ゲノム解析が医療の現場で使えるようになるには、まだ時間がかかりそうです。ただ、ゲノム解析によって、特定の疾患リスクが分かります。治療というよりは、発症前の段階から生活習慣を変えることで、予防につなげていくことが期待されます。
ロボトム
新型コロナウイルスのゲノム解析で、どういう人が重症化しやすく、また、ウイルスがどう広がるかなどが分かってきました。レノボの最新システムでは、解析にかかる時間を従来の約160倍高速化できます。世界中で様々なコロナ対策の研究を大きく後押しします。
江崎
今後多くのデータが集まれば、画期的な治療法の開発につながる可能性が高まります。そのためにも、データを共有するシステム作りが不可欠です。
ロボトム
データを保有するコストは非常に下がっています。将来的にデータを利用しやすい方法で大量のデータを集めることが大切になってくるでしょう。
江崎
DXはシステムを導入することではなく、業務のあり方を見直すことです。DXによって患者と向き合う時間を確保し、予防から在宅医療まできめ細かい医療サービスを提供することが、人生100年時代の医療になるでしょう。
ロボトム
DXの目的は、国民や社会のクオリティ・オブ・ライフ(生活の質)を上げることです。やはり健康が何よりも大切ですから、レノボとしても医療に貢献していきます。

世界に広がる「レノボリューション」が
日本の医療現場を変革しています
システム刷新を全面サポート 業務効率化と省スペースを実現牧田総合病院(東京都大田区)

長年にわたり地元住民に親しまれてきた地域医療の中心。病院の移転をきっかけに、院内のハードウェア、ソフトウェアを刷新した。
中核となる電子カルテシステムは、各医局でサーバーが乱立し、運用面での負担が増していた。管理ソフトウェアとサーバーを一体化させたLenovo社のHCI(ハイパーコンバージドインフラストラクチャ)「ThinkAgile HXシリーズ」に統合することによって、管理業務を大幅に効率化するとともに、将来的なシステム強化に備えた拡張性を確保した。
電子カルテ以外の複数の部門システムは、仮想環境(※)上に集約した。院内でサーバーの占めるスペースは約4分の1に減り、空調費の圧縮にもつながった。レノボのコンサルタントやエンジニアらによる「プロフェッショナルサービス」が、システム移行を手厚く支援した。
パソコンも「Lenovo ThinkPad」に切り替え、業務効率の大幅な改善と操作性の向上により、現場の負担が大きく減少した。
(※) 仮想環境では、最新のクラウドソフトウェア技術により、複数台のサーバー上に仮想的に多くのサーバー環境を簡単に構築して、一元管理と運用ができる。
信頼性の高さを最重視
拡張にも備え、長く使える慶応義塾大学病院(東京都新宿区)

約1,000もの病床を持つ日本を代表する大規模病院。電子カルテに加え、臨床検査技術室、薬剤部、食養管理室などで様々な業務に特化した部門システムが数十の単位で存在していた。早くからサーバーの仮想化を進めてきたが、機器の能力の限界に近づいたことから、新しい基盤にLenovo社のHCI「ThinkAgile HX3310」を採用した。
最も重視したのは、信頼性の高さだ。24時間365日の連続稼働が前提となるため、障害が起きてもバックアップが働く冗長構成となっていることや、障害の事前検知・通知などの機能、保守サービスの提供などを求めた。リソースを簡単に増減できるため、将来的に拡張しやすく、長く使えるシステムになることも決め手となった。
医療機器管理システムから段階的に導入した。初期費用を抑えつつ、院内での効果を確認しながら、適応範囲を順次広げていくことが可能となった。ハードウェアの設置スペースは従来の半分になる一方で、リソースは大幅に増強した。

元内閣府大臣官房審議官(科学技術・イノベーション担当)
東大教養卒(国際関係論)。経済産業省ヘルスケア産業課長や内閣官房健康・医療戦略室次長などを経て、20年内閣府大臣官房審議官。
退官後の21年、社会政策課題研究所を設立。岐阜大客員教授、藤田医科大学教授も務める。岐阜県出身。

レノボ・エンタープライズ・ソリューションズ合同会社
代表取締役社長
横浜で生まれ、3歳半から豪タスマニアで育つ。英語と日本語のバイリンガル。タスマニア大で法学士と理学士を取得。サン・マイクロシステムズやデル、日本マイクロソフトなどでの要職を経て、2019年から現職。