「お互い様」の精神で違いを受け入れて”を

身体障がいなどによる移動の制約を解決する手段として、介護現場や病院だけでなく、学校や会社でも活用されている分身ロボット「OriHime(オリヒメ)」。開発者である株式会社オリィ研究所の吉藤オリィこと吉藤健太郎さんに話を聞きました。

―OriHimeの開発経緯や特長は?

 子どもの頃から「なぜ、人間の体は一つしかないのだろう」と思っていました。一つしかないから、事故や病気、老化などで体が動かなくなったら「自分の目で見て感動する」という体験が難しくなってしまう。それを解消したくて開発を進めました。また、私は「“出会い”と“憧れ”によって人生は変わる」と信じているのですが、移動が制限されれば、人と会うことすら困難になるでしょう。それをOriHimeで解決できればという願いもありますね。

 カメラやマイク、スピーカーが搭載されているこのロボットがあれば、その場の景色や音を楽しめるほか、現地の人との会話もできます。例えば、入院している子どもでも、学校にOriHimeを置いておけば、授業を受けることや休み時間に友達と喋ることが可能になるでしょう。

OriHimeを操作する吉藤オリィさん

―現在の日本の社会や介護について思うことは?

 近年「ダイバーシティ」や「多様性」という言葉をよく耳にしますが、弱者救済の意味で使われている場面が多いような気がします。しかし、「人と違う」というのは短所ではなく「新しい価値や発見を生むポテンシャル」だと思うので、そういう意識が広まってほしいですね。

 「違いに価値がある」というのは、介護を受ける障がい者や高齢者も同じです。どこかしらが動かしにくい、あるいは動かなくなった自分の体と付き合いながら、やりたいことにチャレンジすることで“その人らしい”人生を送ることができると思っています。

―介護に携わっている人や、これから介護の道へ進む若者へメッセージをお願いします。

 介護施設に足を運んで感じたのは「介護を受ける人も、誰かの役に立ちたいと思っている」ということ。彼らは生きていくために誰かの助けが必要だけど、助けられ続けて生きていきたいわけじゃないんです。そういう意味では「お互い様」という感覚を持って、時には介護される方を頼ることも必要だと思います。身体的特徴や価値観の違いを受け入れて、支え合えるような関係を築いていってください。

プロフィール

吉藤オリィ 株式会社オリィ研究所代表取締役CEO。高校時代に電動車椅子の新機構の発明に関わり、2004年の高校生科学技術チャレンジ(JSEC)で文部科学大臣賞を受賞。05年にはアメリカで開催されたインテル国際学生科学技術フェア(ISEF)に日本代表として出場し、グランドアワード3位に輝く。早稲田大学創造理工学部へ進学後、対孤独用分身コミュニケーションロボット「OriHime」を開発。12年、株式会社オリィ研究所を設立。趣味は折り紙。

吉藤さんが登場します

BSフジ『にっぽんの要~わかる・かわる 介護・福祉~』
2020年2月2日(日) 14:00~14:30
第4回テーマ「テクノロジーからわかること」

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