ホームメイト・リサーチHP
建設・不動産大手の東建コーポレーションが展開する検索サイト「ホームメイト・リサーチ」が面白い。よくあるお部屋探しのサイトではなく、探すのは生活関連の「施設」。その情報量が半端ではない。全国の病院や保育園、喫茶店、老人ホームからお城まで、それぞれ詳しい情報が無料で手に入るのだ。サイト構築の陣頭指揮に立つ同社の社長兼会長、左右田稔さんに、サイトの特徴や狙いを聞いた。(聞き手・読売新聞東京本社メディア局 丸山淳一)
代表取締役 社長兼会長
左右田 稔氏
――それにしてもすごい情報量ですね。
「暮らしに関連する施設を114のカテゴリーに整理して、約180万件について情報を収容しています。情報を仕分けして表示する仕組みはほぼできあがりましたが、肝心の情報の中身がまだ不十分です。弁当箱はできたから、おいしいおかずをどんどん入れているところですね。地図や住所、施設名、電話番号が分かるだけでは職業別電話帳と同じです。例えばレストランなら、外観写真はもちろん、メニューやサービス、口コミの評判まで読めるようにしなければ」
「例えばあなたの会社を検索してみましょうか」と、左右田さんはタブレットを操作し始めた。「新聞社」のカテゴリーから入っていくと、ほどなく読売東京本社ビルの写真が10枚、動画が3つ出てきた。住所や電話番号、最寄りの駅からの距離、地図や航空写真もある。「中身はこれから」と言うが、「新聞社事典」では新聞社の仕事について詳しく説明し、当サイト「読売オンライン」へのリンクも張ってある。さらにすごいのは、半径1キロ以内の周辺施設情報が、牛丼店や小さな歯医者に至るまでどんどん出てくることだ。行きつけのラーメン店はメニューや口コミ評価まであった。近くにバス停が22、接骨院が12もあるとは知らなかった。
サイト運営を行う専門部隊
――どうやってこれだけの情報を集めているのですか。
「社員も協力してくれていますが、基本的にはユーザーの皆さんの投稿です。情報集めに億単位の資金を投じ、買い物ができるポイントを付与したり、写真コンテストをしたりして投稿を募っています。100人近い当社の専門部隊がどんどん機能開発して、2年ちょっとでここまでつくり込みました。飲食店や旅行・ホテルの情報を集めた専門サイトはありますが、その専門サイトを114も1つにまとめた検索サイトはほかにはありません」
――なぜこのサイトをつくろうと考えたのですか。
「最大の理由は、同業他社との差別化です。当社は8つの公式サイトを運営していて、他社がやっている賃貸物件の検索サイトは10年以上前からあります。しかし、これでは部屋を探している人しか見にきてくれません。暮らしに関連する施設情報が見つけられるなら、誰もが見に来てくれるはず。いい情報を見つけた人のなかには、その施設の近所や沿線に住みたいと、お部屋探しを始める人もいるでしょう。ホームメイト・リサーチでもお部屋探しはできますが、検索の起点は家賃や間取りではなく、施設です。これは他社にない武器です」
――とはいえ、すべての施設情報は無料で見ることができます。お部屋探しまでいかない人が多ければ、本業の利益につながらないのでは。
「掲載した施設に一部のスペースを提供し、広告を出してもらうビジネスも始めています。でも、広告収入を増やすためにも情報をさらに充実させることが必要なわけです。施設の情報が増えれば、施設と施設を結ぶ電車やバスなどの交通アクセスの情報も増やさなければなりません。施設と交通の情報をしっかり入れて、最終的には日本中の施設を網羅するネットワークにしたいのです」
大きな夢を実現するため、左右田さんは年中無休でサイト充実の陣頭指揮をとる。当初、携帯サービスでホームメイトを立ち上げた際は、表示を確認するため常に携帯を離さず、操作ボタンに穴が開いた。今はスマホとタブレットをにらむ日々。ここ3年、ほとんどベッドで寝ていないという。
――どこまで情報を充実させれば完成したと言えるのですか。
「建設・不動産産業は、急速にIT(情報技術)化が進む中で、総合生活情報産業に変化していくと思います。情報ネットワークという武器を持たないと、やがて行き詰まってしまうのです。情報を幅広く、深く収容できるデジタルの強みを活かすには、きりがないことにこだわり、やり始めたらやり遂げるしかありません。日々懸命に充実させていきますので、ぜひ一度のぞいてみてください。
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