ハート・リング フォーラム 2020

口から考える認知症

世代を超えた課題“認知症”に光をもたらす視点

主催:読売新聞東京本社、NPO法人 ハート・リング運動 
後援:厚生労働省、日本医師会、日本歯科医師会、日本看護協会

協賛:株式会社ロッテ

 加速する超高齢化とともに認知症患者の数は増え続け、大きな心配事となっています。私たちは認知症をどのようにとらえたらいいのでしょうか。このフォーラムでは「食べることと認知症の関係」をテーマに、医科、歯科、栄養学、介護の視点からの講演が行われました。講演はすべて動画でご覧いただけますので、認知症の方を支えるためにお役立てください。

ハート・リングフォーラム
「口から考える認知症」2020 動画 全編

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全編

講演1

認知症とともに生きる
高齢者の社会的孤立について

東京都健康長寿医療センター研究所 副所長
認知症未来社会創造センター長

粟田 主一

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講演1

「一緒に生きよう」地元が支援

 長寿国日本では、今や認知症高齢者の一人暮らしは普通のこととなっています。しかし、認知症とともに一人で暮らすのは簡単ではありません。私たちが東京都の高島平団地で行った実態調査では「認知機能が低下すると身体的・精神的健康状態が悪くなる、社会的孤立が強まる、必要な社会支援サービスへのアクセスが難しくなる」などの問題が明らかになりました。

 今日では、すべての地域に保健・医療・介護の社会的ネットワークがありますが、一人暮らしの認知症高齢者に対して十分な生活支援が提供できない場合もあります。そこで私たちは、認知症高齢者が住み慣れた地域で一人暮らしを継続できる社会支援を創出する試みとして、高島平団地の中に「高島平ココからステーション」を設置しました。この場所では認知症や障害の有無にかかわらず、誰もが居心地よく過ごすことができます。生活課題の相談ができ、共に学び、共に活動して楽しむことができます。研修会の実施で認知症や人権に対する意識も高まり、認知症の人たちの本人ミーティングも開催されて、より暮らしやすい地域のあり方が話し合われています。この一連の活動は、認知症とともに暮らせる地域づくりの手引き書としてまとめてありますので、認知症とともに生きる人が孤立しない社会をつくるための参考にしていただきたいと思います。

一人暮らしの認知症高齢者数の将来推計

グラフ

認知症の一般的特性:複雑化の傾向

図

講演2

歯科と認知症
-噛まない、噛めない対処法ー

日本歯科大学教授
口腔リハビリテーション多摩クリニック院長

菊谷 武

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講演2

真っ先に歯科で「口」を守ろう

 認知症と診断されたら、まず歯科医院に行ってください。口を開けて治療を受けることは認知症患者には難しいことなので、対応できるうちに必要な歯科治療を済ませておくことが必要です。そして、認知症のステージに応じて、かかりつけ歯科医に口の管理をしてもらってください。

 認知症患者は、食べることに様々な問題を抱えるようになります。なぜ食べないのか、なぜ食べられないのかの理由を知ることが重要です。本人は目の前にあるものが食事だとわからない、食事の場所・時間だとわからない、食事の手順がわからないのかもしれません。対策としては、料理を作るところを見せると、食事の時間であることが理解できます。一緒に食べて手順を見せると、食べ方がわかります。食事の場面での情報が多すぎて、食べることに集中できないことも考えられます。この場合は、テレビを消す、食事中はあまり声をかけない、皿の数を減らすなどして、食べることに集中できる環境を作りましょう。しゃく機能が低下する中では、やわらか食にする、とろみをつけるなど、食べ物の形を工夫することも重要です。食べることは、生きる力を支えます。「口を守る」「食を守る」という視点で、認知症の方の食事に取り組んでいただければと思います。

認知症の人の“口”を考える

説明

認知症患者の“食”に関する問題点→対策

説明

講演3

認知症と「食べる」を考える

大妻女子大学家政学部食物学科
臨床栄養管理研究室 教授

川口 美喜子

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講演3

「おいしい!」が元気を支える

 「食べる喜び」は、心身の回復を支えます。健康に長寿を生き抜くために、元気なうちから「食べる」セルフケアに取り組みましょう。高齢者が食べられない原因には、食べる機能の低下、こうくう内や義歯のトラブル、病気やケガの影響、服薬している薬の副作用などが考えられます。「高齢になったら活動量が減るからあまり食べなくていい」など、間違った思い込みから食べずにいて、栄養障害が出る例もあります。食べられなくなることは、認知力低下、身体機能低下につながるので、食べ続けるためのお口のケアをし、食べ方と食事の質を見直して、しっかりとした食事を心がけることが重要です。

 私は低栄養・フレイル予防の食事スタイルとして、主食の炭水化物、主菜のタンパク質、副菜の野菜・海藻・きのこを食べること、1日1回乳製品とフルーツ、スープを摂ることを勧めています。食べる喜びがあると人は元気になるので、量よりも質を重視し、食べる人がおいしいと感じるような言葉を重ねて食事を勧めて、食べてもらうようにしています。

 食べることと同時に守りたいのが、しゃべる生活です。楽しく食べ、しゃべれたら、その人は必ず笑顔になります。食べる口としゃべる口の健康を維持して、孤独を遠ざけ、毎日を笑顔で過ごしてください。

「食べたい」なのに「食べない・飲まない」

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低栄養・フレイル予防の食事スタイル

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講演4

よく噛んでおいしく食べる介護を目指そう
~認知症介護20年の経験から~

NPO法人ハート・リング運動
専務理事

早田 雅美

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講演4

命を守る「食べ続けられる口」

 私は認知症の両親の介護経験から、在宅でも施設でも、環境を作り、食べさせるという目標を立てれば、非常に有益な結果が得られることを実感しています。日に3、4回、よく噛んで食べることで、確実に意識は覚醒し、体もしゃんとしてきます。食べることは生きがいや楽しみにつながるだけでなく、認知症を含めた全身の重症化抑制に深くかかわります。ただし、食べることには窒息というリスクが伴うので、摂食えん機能やリハビリに詳しい専門家の評価と指導を受けて行うことが必要です。

 認知症に対しては誤解や偏見がまだ残っていて、できることややりたいことを必要以上に制限されている人も少なくありません。認知症の人も、障害のあるふつうの生活者と考えて、その人の大切な暮らしを前向きに支えるという視点が重要です。特に食べること、噛むことは生死を分ける重要な問題です。

 「食べ続けられる口」を持つことは命を守る上でとても重要なことなので、高齢者は要介護になる前からかかりつけ歯科医を持つこと、介護界・医療界は、口腔の働き、正しい口腔ケア、食べることの意味をしっかりと知ることが必要です。人生100年時代の今、食べること、噛むこと、噛める口、正しい口腔ケアを見直して、ご自身とご家族の健康を守っていただきたいと思います。

認知症への誤解と偏見

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在宅でも、施設でも、
環境をつくれば、目標を立てれば、できること

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抽選で
各20名様に

先生方の本を
プレゼント

書籍写真

A

絵で見てわかる

認知症「食事の困った!」
に答えます

―「食べてくれない」には
  理由があります

菊谷武著

書籍写真

B

いっしょに食べよう

―フレイルを予防し、
老後を元気に暮らすための
らくらくメニュー

川口美喜子著

認知症患者が食べない理由とその対処法をアドバイスする菊谷先生の本と、老後を元気に暮らすためのメニューを紹介する川口先生の本を、それぞれ20名様にプレゼントします。

応募はコチラから

応募締め切り:2020年10月20日(火)

プレゼントに関するお問い合わせ:03-5847-7703(平日10:00~17:00)