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投げた 打った 笑顔咲いた

日本からグローブやバットが届き笑顔を見せるブルキナファソの子供たち

 用具がなくて野球ができない世界の子供たちにグローブやボール、バットなどを贈り、コーチを派遣する「世界の野球グローブ支援プロジェクト」。3年目の今年度は、前年度(4532個)を上回る4902個の用具が集まった。寄贈先は世界15か国。読売新聞社が独立行政法人国際協力機構(JICA)の協力を得て実施している活動だ。

喜びの声 次々届く

松井秀喜さんもプロジェクトへの協力を呼びかけた

 「兄が野球をしているのを見て始めたかったのですが、道具がありませんでした。僕たちも始めることができます」。西アフリカの内陸国ブルキナファソから、バットを手にした11歳の少年の言葉が届いた。使っていたグローブが破れてがっかりしていた14歳の少年からは、寄贈のグローブで「たくさん練習をしたい」と喜びの声が伝えられた。現地では、2004年に野球・ソフトボール連盟が設立され、競技人口は着実に増えている。だが、用具の購入が困難で、競技者の増加に用具の数が追い付いていないという。野球を普及させるため、野球チームの選手たちが学校を巡回して教えているが、グローブが足りず、素手で捕ったり打ったりできるルールを採用していた。「今回、用具を贈ってもらって、本格的に野球を始めたいという子供も出てきました」。現地に用具を届けた青年海外協力隊員は話す 。

 クリケットが盛んなスリランカでも、最近は野球が人気。始めたいという学校もあるが、用具がそろわなかった。寄贈された学校では、子供たちがグローブやバットを取り合い、すぐにキャッチボールや素振りを始めるなど、とても喜んでいたという。

競技人口拡大目指す

 ザンビアのシムカレ初等学校では、放課後にスポーツの時間が設けられているのに、用具や器材が十分になかった。「今回、用具が届けられ、子供たちにとって野球を知る機会になりました」。チャールズ・ハルコボ学校長から、感謝の手紙が送られてきた。

 野球は1992年からオリンピック正式競技に採用されたが、2012年以降は外されている。競技として定着させるには競技人口の拡大が急務。だが、開発途上国では用具や指導者が不足している。そこで、日本から用具とコーチを届けようとプロジェクトが始まった。スタートした2016年度は用具が1649個、17年度はその3倍近くが集まり、今年度はさらに上回った。寄贈先は、16年度は5か国、17年度は12か国、今年度はアルゼンチン、コロンビア、チリなど計13か国。「野球・ソフトボール」がオリンピック競技として復活する2020年の東京オリンピックまで続けられる予定だ。

 用具の寄付はウェブサイトなどを通じて募集された。活動の様子は公式フェイスブックで随時、更新されている。元大リーガーの松井秀喜さんも賛同し、「世界には野球用具を買いたくても買えない人たちがたくさんいます」とフェイスブックの動画メッセージなどで呼びかけた。

 「小学校の甲子園」と呼ばれる「高円宮賜杯全日本学童軟式野球大会マクドナルド・トーナメント」では、出場チームや関係者がグローブを寄付。全日本中学野球選手権大会ジャイアンツカップなどでも集められたほか、社会人野球チームなどからも用具が届いた。

 用具は現地で活動する青年海外協力隊員を 通じて手渡された。また、昨年12月には読売巨人軍が運営する「ジャイアンツアカデミー」の北篤コーチがフィジーで子供たちを指導した。

コーチも派遣 楽しさ伝える

Gアカデミーから 島国・フィジーへ

フィジーの子供たちを指導するジャイアンツアカデミーの北コーチ(手前)

 昨年12月、ジャイアンツアカデミーの北篤コーチは、6日間の野球指導のためフィジーの地に降り立った。フィジーは、南太平洋の群島国家。滞在する首都スバは、フィジーの中枢を担う商業都市である。

 到着したその足で、練習会場のアルバート国立公園に向かった。広大な公園の主な用途はラグビーだ。フィジーは、2016年リオオリンピックの7人制ラグビーで金メダルを獲得したが、野球はマイナースポーツ。用具を買うことも難しい。

 公園では、「ケントー! ケントー!」と子供たちの声が響いていた。ノックを打ち込むのは、青年海外協力隊員の大嶋賢人さんだ。駐在2年目で、フィジー野球協会と連携しながら小学校から中学校までの子供たちに野球を指導している。その用具は、ほとんどが寄付によって集められたものだ。

 練習初日。子供たちが集まっていない。「フィジーでは、時間通りに集まることはないんです。フィジータイムと呼ばれ、フィジーの人は気にも留めないし、ストレスもありません」と大嶋さん。

 子供たちがそろうと、北コーチは、日本から持参した野球用具とジャイアンツユニホームを一人ひとりに手渡した。そして、「6日間で、うまくなってもらえるように技術の指導もしますが、なにより野球を楽しむということを伝えたい」と語った。子供たちは、緊張と高揚が入りまじった様子だった。

 「捕る、打つ、投げる」の基礎的な練習から、実戦形式まで段階的に指導が行われた。最初は力まかせにボールを投げていた子供も、足の動きや肩の位置、手首の向きを意識すると、みるみるフォームが改善。子供たちの技術は日に日に成長し、会場に集まる時間も早くなっていった。

 最終日は、現地在住の日本人の大人たちとフィジーの15歳以下の選抜チームで交流試合が行われた。子供たちは、教わったキャッチング、送球、バッティングを試みながら、何より野球を楽しんでいた。一進一退の攻防は、北コーチ率いる日本人チームがかろうじて勝利した。

 試合で特大ヒットを放ったキャッチャーのマーフィー君(15)は、「バッティングやグローブのさばき方などたくさんの新しいことを学んだ。日本からもらった道具も大切に扱い、ベストキャッチャー、ベストバッターを目指したい」と語った。

 「楽しそうに野球をする姿に、野球の原点を見たと感じました。フィジーの子供たちは身体能力が高い。楽しみながら可能性を広げてほしい」。最後のミーティングで、北コーチのそんな言葉に耳を傾けながら、子供たちの目はフィジーの野球の未来を見つめていた。

 フィジー野球・ソフトボール協会事務局長 イノケ・ニウバラヴ氏「子供たちは、今回の指導を誇りに感じていると思う。目標は、野球をフィジーのメジャースポーツにすることだ」

世界各国より感謝状届く

野球用具寄贈先から届いたメッセージ

 集まった野球用具は、国際協力機構(JICA)を通じ世界13か国へ寄贈。青年海外協力隊の現地隊員が受け取り、それぞれの任地で活用してもらっている。現地からは、野球用具を受け取った子どもたちの様子や感謝の言葉、教育機関等からの礼状が届いた。

ブルキナファソ野球連盟会長 セールジュ・ユベール・ティアオ氏
 今年で3年連続となる大切な野球道具を野球連盟に供与していただき、心からお礼を申し上げます。これらの野球道具は、ブルキナファソの野球の普及にとても重要なものです。また、2020年開催予定の東京オリンピックへの参加を目指しているブルキナファソ野球代表チームにとって、供与された野球道具は技術強化のためにとても重要な役割を果たします。ブルキナファソ政府からも今回の支援の価値を認識し、感謝の意が述べられました。今後も日本とブルキナファソの両国民の友愛の絆が更に強くなることを願います。

ブルキナファソ青年海外協力隊 川畑陽平氏
 今までは学校巡回の際、グローブが足りないため素手で捕ったり打ったりできるようなルールで行っていましたが、今回の提供によってより一層野球の魅力を伝えることができます。装具を使うことで今までよりも野球への興味を持つ子どもが増えました。そこから本格的に野球を始めたいという子どもも出てきています。グローブを初めてはめた子どもたちは野球を知らなくてもとても楽しそうでした。

スリランカ・リッチモンド・コレッジ 副校長 ピヤシリ・クマラージ氏
 この度は、寄贈していただいた野球用品に関しまして、皆様のご厚意にリッチモンド野球部一同感謝しています。我々の活動を理解していただいたことに対し、深く感謝を申し上げます。

スリランカ・マヒンダ・コレッジ 校長 ガミニ・ジャヤワルダナ
 貴企画によって本校に寄贈された以下の野球用品を受け取った事をお知らせするためのこの手紙を書きながら、大変嬉しく思っております。
 深く感謝申し上げるとともに、今後とも本校への支援を続けていただく事をお願い申し上げます。ありがとうございました。

スリランカ青年海外協力隊 高野光一氏
 ここスリランカで使用されている野球道具のほとんどが日本から同プログラムをはじめとした、様々な支援を通してくださったものです。長年使用した道具を大切に子ども達は使用しており、グローブの紐が切れたら靴紐などを代用して使っております。現在、子ども達に野球を教えているコーチも子どもの頃にこのようにして日本から道具を送ってもらって、野球をしてきた人たちです。「この感謝を忘れてはならない。大切に道具を使って、野球をもっと好きになって、もっと上手になろう!」というコーチの言葉を聞いて、今回のプログラムを申請して良かったと心から感じました。
 各学校の練習日に道具を届けに行ったのですが、どの子ども達もすぐにグローブとボールを手に取り、キャッチボールを始めたり、バットで素振りをしてみたりしていました。練習前に道具を寄贈したので、練習を開始してからは道具の取り合いになっていました。普段道具の数が少なく、なかなか長い時間使うことができないので、非常に嬉しそうな表情で練習に取り組んでおりました。

ザンビア・シムカレ初等学校 学校長 チャールズ・ハルコボ氏
 私たちの学校に野球用具のご寄付をいただいたことにつきまして、学校長として、私個人としてお礼申し上げます。このスポーツはザンビアにおいては珍しいスポーツだと思います。ですが、今回いただいた野球用具は、子どもたちや学校にとって野球というスポーツを知る機会を与えてくれました。
 改めて心からお礼申し上げるとともに、今後も支援が必要となる私たちの学校にご協力いただければ幸いです。

ザンビア青年海外協力隊 田中悠太氏
 この度は、貴プロジェクトより、シムカレ初等学校に野球用具を寄贈いただき、心よりお礼申し上げます。届いた荷物を開いたときの子どもたちの新鮮な表情がとても印象的でした。
 本校では放課後の時間にスポーツの時間を設けておりますが、十分な道具や器材がなく、その時間が有効に活用されていない状況にあります。しかし、今回いただいた野球用具によって、この時間の有効活用はもちろん、子どもたちのスポーツに対する関心の幅を広げられることと確信しています。既に子どもたちはキラキラとした表情で、使わせてほしいと歩み寄って来ています。

グローブの手入れをするブルキナファソの子供たち

野球用具を受け取ったザンビアの子供たち

休憩時間にもかかわらずに素振りをする様子

[主催]読売新聞社 [事業協力]JICA [賛同企業]日本マクドナルド [協力]全日本軟式野球連盟、アンダーアーマー [特別協力]読売巨人軍

WEB登録締切 2019年10月30日(水)

野球用具の必着日 2019年10月31日(木)

寄付いただいた用具が多数となった際、募集を早期終了する場合がございます。

事前登録はこちら

【問い合わせ先】
世界の野球グローブ支援プロジェクト事務局 TEL:03-5577-3064(平日10:00~18:00)
主催:
読売新聞社
事業協力:
JICA
協力:
全軟連JABAアンダーアーマーNPO法人 松井 55 ベースボールファウンデーション合同会社EXP
賛同企業:
マクドナルド
JEEP
特別協力:
ジャイアンツ

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